13-6.『よくできました!アンタはえらい!』って式をやるのよ?
本日2話目の投稿です。朝に1話投稿してますので、先にそちらでクスッと笑ってからこちらをご覧ください。
グロー歴514年8月16日 晴れ
昨日はファッションショーで大変だったよ···。スカート履かされるとは思わなかったし。子どもたちがいなくて良かったよ···。
恥ずかしいけど、意外とハルは喜んでくれたんだ。でも、だからといってまたスカートは履かないからね!
「アキくん!今回も助かったわ~!また定期的に会いたいわね~!」
「スカート履かせられるならお断りです」
「もう!そんないじわるしないの!そういえばアキくんって家はあるんでしょ?どこに住んでるの?」
「うちにまで押しかける気ですか!?教えるわけないでしょ!?」
「家はアクロの別荘よ~。あたしたちはお隣同士だし」
「ちょっとナナ!?言っちゃダメでしょ!?個人情報保護法違反だよ!?」
「ナニソレ?わけのわからない言葉使っちゃって。いいじゃないの?こんないい服をもらっちゃったんだしね~」
「ふむふむ。なかなかいいところに住んでるわね。仕事で近くに寄ったらあいさつに行くわね!新作着てもらうわよ〜」
「あぁ、そうですか。マタオアイシマショウ」
またもや無表情でボクは答えたよ。こうしてまたまたたくさんの服をもらったのだった。
さて、気を取り直して!今日ぐらいには王都に着けるかな?ちょっと普通の徒歩だと厳しいので、身体強化3倍くらいで進むことにした。
これも長時間魔法を維持する訓練になるからね!
···と思ってたんだけど、子どもたちはリナ除いて1.5倍ぐらいで良かったんだ。一番倍率を上げたのはボクだったよ。
やっぱりボク以外は戦闘種族だからね。リナですら体力結構あるんだよ?こればかりは仕方ないね。
そして午後3時あたりで王都リスタに到着できた。結局ボクは身体強化5倍まで引き上げたよ。ドンドンペース上げていくんだもん···。ついていくのに必死になってしまったよ~。
さて、入国審査だ。ちょっと早く着いたので、少しだけ混雑してたけど、15分ぐらいでボクたちの番が回ってきたよ。
「こんにちは!リスタへようこそ!観光目的ですか?」
「はい!3日ぐらい滞在の予定です」
「いい時に来たね~。ちょうど建国祭が明後日からなんだよ。この先の予定が空いてるなら長く滞在して楽しんでいけば?」
「建国祭ですか!?いいですね~。そうしようかなぁ~?」
「まぁ、滞在期間は長めで許可しておくよ。せっかくだから楽しんでいってね~!」
どうもいい時に来ちゃったようだね!この世界の祭りなんて実は初めてなんだよ。どんな催し物があるんだろうね?
そんな事を考えていると、リオ一家の審査でトラブルが発生したようだった。
「えーーー!?オレだけ別室ってどういうことだーー!?」
「大変申し訳ありません。ご家族の方はお通しできるのですが、あなただけは別室へご案内になってしまうんです。ご家族の方は先にホテルに泊まられるか、ここでお待ちいただく事になってしまうんですけど···」
「むー···。時間かかるならナナたちは先にホテルへ行っておいてくれー。すぐに向かうからなー」
「アンタ、何悪いことしたのよ?あたしたちは通れるのに···」
「いやー?何もしてないぞー。現役時代に世話をしたぐらいだけどなー」
「ナナ?ボクたちもここで待つことにするよ。ひとりぼっちは寂しいもんね!」
「アキー!ありがとなー!!そういう事言ってくれるのはアキだけだぞー!」
「でしたら、お連れさんたちも別室へご案内しますね。こちらへどうぞ」
なぜかリオだけが引っかかってしまったので、一緒に別室についていくことにしたんだ。
別室は取調室みたいな部屋じゃなくて、応接室だったよ。···これってもしかして!
「リオ?王国の関係者に追われてるって事ないよね?」
「オレを追うってー?なんでそんな事されなきゃならないんだー!?むしろ感謝される側だぞー!」
「···なるほどね。そういう事かぁ~。リオ?カーネさんやアイリさんって、ムーオを倒した時にここで褒賞をもらったって言ってたよね?」
「そうだぞー。オレだけアキを連れて強制転移で拠点に戻ったからなー。···もしかして!そういう事かー!?」
「多分ね。王国はまだリオに直接褒賞を渡してないって事になってるんだよ。褒賞金はアイリさんが預かってたけどね」
そんなナゾトキをしていると、扉がノックされた。そして入ってきたのは···
「ああ!やっぱりリオですね!···少し小さくなってますけど、私にはわかりますよ!」
「イスピかー!!今回の企みはお前の仕業だったんだなー!!」
「まぁ!仕業だなんて野蛮な!まだ直接大魔王討伐の褒美の言葉をかけれてなかったのですよ?王都にしっぽを現したから捕まえてやっただけなのに!」
「···権力の乱用だぞー。そこまでしなくても褒賞金はアイリからちゃんともらって、楽しく生活してるからなー」
「そのようですね。こちらがリオのご家族ですのね?自己紹介が遅れましたね。私はこのレオナード王国の女王であるイスピです」
「じょ、女王様ぁ~~!?ア、アンタ!女王様と知り合いだったの!?」
「知り合いも何も、整調者時代に魔獣とムーオ討伐を『あいさつはいいし、褒美やるからうちの国を最優先でさっさとやってくれ!』って無理強いしてきたトンデモ王女だぞー!」
「自国の安全を最優先に考えるのは王として当然の務めでしょ?まぁ、うちの国が最も侵攻されていたから周りの国も納得してくれましたけどね~!」
「こういうヤツだから遠慮はいらないぞー。それで、いったい何の用だー?オレたちは気ままに子連れで旅してるだけだぞー?」
「用って、決まってるじゃないですか!今から王城へ行きますよ?謁見の間で私からリオに『よくできました!アンタはえらい!』って式をやるのよ?」
「···もう10年以上前の話だぞー。行くの面倒だからここでやってくれー」
「仕方ないですわね···。そう言うとは予想してましたけどね。
では!整調者リオ!あなたの働きによってこの地に平穏が訪れました。その働きを称えてここに褒賞を授与します。お疲れさまでした!」
女王の言葉を受けると、リオは片膝をついて貴族の礼の形でこう答えたんだ。
「···女王からの労いと褒賞、ありがたく頂戴いたします。私の活躍が王国民に希望と安心を与えれた事を、嬉しく思います」
···リオらしからぬ態度を見たボクたちは固まってしまった。えっ?カッコいいんだけど!?
「···パパって、こんなしゃべり方できたんだ。わたし、ビックリなんだけど」
「ぼくも、こんなかしこまったパパを見たのは初めてだよ···」
「リオってやる時にはやるってのは知ってたけどね~。これはとんでもないものを見てしまったわね···」
「お前らなー!オレだってやる時はちゃんとやるんだぞー!」
「あ、元に戻ったわ!やっぱりパパはこっちの方がしっくりくるわね~!」
「そうだね、姉ちゃん!パパはやっぱりこうでなくっちゃ!」
「うふふ!お子さんの言う通りですね!リオはやっぱりこうでなくっちゃいじれませんものね!さて、せっかくですから今日だけでも王城で1泊していって下さいね!」
「お城!わたし泊まってみたかったの!楽しみ~!」
「コラー、リナ!王城には行かないぞー!何されるかわからないからなー!」
「いいじゃないの~。あたしもお城で泊ったことないんだし、せっかくだからご厚意に甘えましょ」
「むー···、どうなっても知らないぞー」
「リオ、ボクたちも良ければ付き合うよ。それだったらいいでしょ?子どもたちにもマナー関係のいい経験になるし」
「···わかったぞー。アキたちも一緒だけど構わないだろー?」
「問題ありませんよ。それでは参りましょうね~!」
まさか王城で1泊する事になるとは思わなかったね。ピムエム皇国の時だって最高級ホテルだったってのにね。
女王様が登場しました!第1章では王様って表記でしたが、先日世代交代があって、女王に就任したイスピさんでした。
まぁ、これだけパワフルなので、就任前から王様の仕事を取り上げて政治の最前線で活躍してまして、父親である王様は存在感があまりなかったので、スムーズに世代交代が行われたようです(笑)。
そして、リオくんのあいさつ!皆さんもビックリしたと思いますが、このセリフだけを仕込まれてるので、他の受け答えはできません。それでも、よくできました!アンタはえらい!
さて次回予告ですが、王城で宿泊するとなると、心配なのが子どもたちのテーブルマナー!そこで、アキくんは子どもたちとリオくんに教え込み、晩餐会に挑みます!
まぁ、他に客はいないので身内だけなんですけどね。どうなるでしょうか?
明日からは24日まで平日なので、21時過ぎに投稿します。お楽しみに〜!




