13-5.思わぬファッションショー開催 後編
本日も朝と夜に1話ずつ投稿しますね!
「いやぁ~、もとがかわいいから何着ても似合うわね~!フユくんとナツちゃんだっけ?もう筋肉の膨らみが見えるなんて、結構鍛えてるのね~!かわいいにカッコいいまであるなんて!モデルさんにピッタリよ!」
「リサ!こっちのリオくんのお子さんもなかなかいいモデル体型よ!リナちゃんにケンくんだったっけ?この服なら翼の邪魔にはならないんだけど、どうかな~?上着を工夫してしっぽ穴をズボンじゃなくしたから着替えやすいわよ~!」
「···かわいい!ドンドンアイデアが出てきたぁ~!なんで腕は2本しかないんだ!?アイデアを描ききれないじゃないのぉ~!?」
チサさんが服を選んで、リサさんがフユとナツを、ニサさんがリナとケンの着替えを手伝い、イサさんが子どもたちを見てアイデアが出すぎてデッサンが追いついてないといった状況だ。
特にイサさんはものすごい勢いでデッサンを描いていた!目が血走ってるよ···。
一方の子どもたちはいろんな服を着せてもらうなんて初めてだったので、意外と楽しんでいた。
「うわぁ〜!このジャケットは着やすいわね!服の左右にボタンがあるだけで着替えが楽だわ~!いつも翼に引っかかってたのよ!」
「この服ってズボンが工夫されててしっぽ穴ないんだ〜。上着にしっぽの部分がないからズボンがはきやすいよ!」
「この服って着心地がいいね!しっぽ穴の位置もしっくりくるし、おれ気に入っちゃったよ~!」
「···おしゃれってナツにはよくわかんなかったけど、これは気に入った。いくらなのかな?ナツのお小遣いで買えるかな?」
「お金なんて気にしなくてもいいわよ~!好きな服はみんな持って行っちゃって〜!
昔のアキくんモデルの服でたっぷり儲けさせてもらったからね!今日もイサのデッサンが久々にフル稼働してるから、さらに儲けれそうよ!
こちらこそ助かってるのよ~」
「だってさ。みんな、気に入った服があったらもらっちゃってね」
「「「「ありがとうございます!!!」」」」
「···ぐはぁっ!!かわいすぎて···、は、鼻血が!!あ、赤!?そうだわ!この服はこの色よ!!情熱の赤がいいわ!!(カキカキ···)」
イサさん···。鼻血垂らしながらデッサンは怖いんですけど?
予想通りというか、子どもたちは着せ替え人形にされていたよ。ボクもやられたからなぁ~。
ドラゴン族は翼があるからランニングシャツみたいな服しか着れないんだけど、チサさんたちがデザインした服は救命胴衣のように頭から被って左右のボタンによって留める方式だ。これだと翼は引っかからないね。さらにアームウォーマーを着ければ普通の服と同じ格好になるんだ。よく考えられてるね。
「うんうん!みんな似合ってるわよ~!人族以外の服って、なかなかモデルさんをしてくれる人がいないから大助かりよ~!特にドラゴン族なんて少ないからなおさらよ~!
旅の道中でこの服を着てくれてるだけで宣伝にもなるからね~。ありがとね!」
というわけで、前半戦の子どもたちのファッションショーは大盛況のうちに終了したよ。
子どもたちはそれぞれ4着もらっちゃってね。特にリナは大喜びだったね!
さて、その日の夕食は11人+1匹という大所帯で宴会っぽくなっちゃったよ。
そうそう、ジーンだけど最近喋ってないよね?実はペットっていうことにしてるから、人前では喋らないんだよ。ボクたちだけの時しか喋る事はないんだ。
これは、余計な人にまで情報を拡散させないためらしいんだ。しかも元の世界では神様だから、下手に話したり手伝う事は禁則事項って事もあるようだよ。
ボクたちにはジーンからの協力要請を受諾したから話してるだけっぽいね。
イサさんを除くチサさんたちは、早速デザインした服を着てくれた子どもたちに話しながら食事をしていたよ。
「チサさん、ありがとうございました。この服って動きやすいですよ!戦闘になっちゃうと動きづらい服って困っちゃうので助かります!」
「フユくんは戦闘もするんだ〜!これもいい参考になるわね!でも、危ないから気をつけるのよ?」
「はい!おれも含めてみんな戦闘はしますよ。4人で力を合わせて戦うんです!」
「···うん。動きやすい服は大歓迎。ナツはスピードが命だから助かるよ」
「ぼくは空からの攻撃なので、翼が服で邪魔にならないのはありがたいです」
「わたしは魔法攻撃だからね~。動きはそこまで気にしないけど、動きやすいのはありがたいわ!」
「みんなスゴイのね~!戦える人の意見って本当に貴重なの!そういう人ってオシャレには無頓着だからね~。本当に助かるわ!みんないい子ね~!」
ちなみにイサさんはデッサンが止まらないので酒場には来ていないんだ。後でチサさんがテイクアウトで差し入れるみたいだね。
そして、ファッションショー後半戦はハルとナナだ。
「···あんまりオシャレって気にした事なかったよ」
「あ〜、ハルは無頓着だからね。戦い以外はあんまり気にしなかったもんね〜。アクロにも服屋さんって1件だけで小さかったし」
「ボクもハルをデートに誘ってなかったからなぁ~。悪い事しちゃってたね」
「···?別に気にしてないけど?」
「まぁ、ハルならそうでしょうね~。···リオはアキみたいに女性に対する気遣いってまったくないのよね~」
「んー?気遣いー?」
「はぁ〜〜、白銀竜だからそのあたりはわからんか。期待するだけムダだわ」
「···なんかバカにされてるのかー?オレって何かしたかー?」
「何にもしてないからため息出るのよ···」
「はいはい、そこまでだよ?ナナもせっかくだし、いろいろ着させてもらったら?」
「それもそうね〜!今までの鬱憤を晴らしてみせるわよ~!」
「···なー、アキ?オレって悪い事しちゃったのかなぁー?」
「まぁ、何もナナにしてあげてなかったからね。これからは一緒に買い物や食べに行ったりってデートをしてあげたらいいんじゃない?」
「うーん、よくわからないぞー?一緒に買い物とかするのがいいのかー?」
「そうだね。それでいいと思うよ」
まぁ、そのうち気づくとは思うけどね。そんな話をしていたら、チサさんがちょっぴり怒ってきたんだ。
「ちょっとアキくん!?そんなとこで話してないで、アキくんとリオくんも着てもらうわよ!これなんかどうかしら〜!」
「···思いっきり女性ものなんですけど?これを着ろと?」
「そうよ!せっかく見た目がまだ女の子っぽいんだから、オシャレしてみましょうね~」
「だが断る!!ボクは男なんです!!」
「···アキの女性っぽい服を着た姿も見たいね」
「ハルさん?なかなかセンスいいわね~。あたしもそう思ったわ!アキ!これなんかどうかしら!?」
「ちょっと!?ナナ!?思いっきりミニスカートなんだけど!?」
「そうよ!普通の男がスカート履いたら犯罪だけど、アキは見た目女の子だから合法よ!!さあ!さあ〜!!」
「···アキのスカート姿か。似合ってそう」
「ちょっとハルさん!?羽交い締めにしないでよ!!あっ!?ちょっと、ナナ!!ボクのズボン下ろさないでよ!!あ、あーーーーっ!!」
「そんなに叫んでもムダよ!アキが開発して教えてくれた防音魔法を展開済みだから助けは来ないわよ~!」
そして、ボクはスカートを履かされた···。ハルとナナは『かわいい~!』って、スマホで写真まで撮ってたよ···。もうお婿さんに行けない···。結婚してるけどね。仲のいい夫婦じゃなかったらこれは犯罪だよ?みんなは嫌がってることを無理やりやらせたらダメだからね!
そして、それを見ていたリオは腹抱えて笑ったので、ボクはリオにもスカートを履かせてやった!!
「な なにをする きさまらーー!!」
もはやこれはファッションショーじゃないね···。女装ショーになっちゃったよ。
ちなみにハルとナナは気に入った服がかなりあったようで、6着もらってたね。
ボクとリオも仕切り直しで紳士ものの服を4着いただいたよ。
···知らない間にスカートまでもらってたのに気づいたのは、だいぶあとの話だけど。
今回のアキくんはチサさんではなく、ハルちゃんとナナちゃんに着せ替え人形にさせられました。
しかも!アキくんとリオくんを女装させた上で、スマホで撮影済みです!仲の良い夫婦だから許される行為ですけどね。ちなみにこの時の写真が後日、ある人物をハメるのに使われるのです···。
さて次回予告ですが、王都に着いたアキくんたちは、とある人物にリオくんが入国審査でワナにハメられてしまいます。
以前にあった手口にアキくんは気づきますが、犯人は誰なんでしょうか?
次回は本日夜に投稿しますので、お楽しみに〜!




