13-4.思わぬファッションショー開催 前編
本日は土曜なので朝に1話投稿しています。
今日はここから見ちゃった!という方は1話戻って読んでからこちらをお読み下さいね!
グロー歴514年8月15日 曇
昨日はリオの拠点で過ごしたんだ。9年も放置だったけども、壊れてなくて良かったよ。
簡素な作りとはいえ、建物って住まなくなると急に劣化が激しくなるんだよ。野生動物が住み着いたり、草や木が家の中に生えたりもするしね。
まぁ、ドラゴン族が長年住んでたんだから、そのニオイかなにかでナワバリを侵さないよう近寄らなかったんだろうなぁ~。
夕食のあと、みんなナナの無差別包丁攻撃の緊張状態が解けた反動ですぐに寝ちゃったんだ。窮屈だったけども川の字でリオ以外みんな寝たよ。リオは寝相が悪すぎて、またナナの上にのしかかっちゃったから、ナナに蹴っ飛ばされて外に出されちゃったからね。
さて、今日から王都リスタへ向けて徒歩で向かうよ!まずはアーマチュアの街まで転移するよ。
えっ?往きは飛んで来たのに帰りは転移なのかって?
魔力消費量が大きいからだよ。出来なくはないんだけどね。あんまりギリギリだとしんどいからなんだ。家と学園の通勤は帰宅だし、疲れてるとお酒が美味しいからね~。
まぁ、足りないのなら魔力共有で家族から借りるってのもね。緊急時はやるけども、できる限りは回避したいね。まぁ、気分次第だよ。
「さあ、今日からは徒歩での旅だよ。夕方前までには宿場町に着くように頑張って行こうね~!」
「「「「おーーー!!」」」」
と言っても、街道を北へ向けて歩くだけなんだけどね。街道を歩いていると、いろんな商人や輸送部隊とすれ違ったりするから、見るだけでも子どもたちには驚きだったね。
そうそう、すれ違う人にあいさつをするように子どもたちには言っているんだ。そして、実際にあいさつすると···
「「「「こんにちは〜!!」」」」
「おう!かわいい子たちだな!気を付けてな!」
「こんにちは!かわいいわね~!親御さんと旅なの?気を付けてね〜!そうだ!アメちゃんあげるわ!」
「···やっぱりみんな好意的だね~。まぁ、ボクたちのように子どもたちを連れた旅人ってそんなにいないしね」
「そうだなー。いくら街道って言っても魔獣が出る時には出るしなー。危険過ぎるのは間違いないぞー」
まぁ、それなりの強さがないとこの世界では旅なんかできないもんね。ボクには魔獣レーダーがあるから、ある程度は回避できるってチートがあったからなんとかなったけどね。
そうそう、魔獣レーダーで周辺を確認しておこう。とりあえず近辺にはいないね。
今日は20km先にある宿場町だ。このペースだとチェックイン開始時間の午後3時には到着するかな?
道中はまったくトラブルはなかったんだ。フユとナツのトラブル体質とボクも併せてトラブルエンカウント率3倍になってるんはずなんだけどね···。まぁ、何もないならそれが一番なんだけど。
そうして宿場町に着いたボクたちは、まず部屋を確保することにしたんだ。
「こんにちは。4人2家族で1泊なんですけど、部屋は空いてますか?」
「いらっしゃい!ファミリールーム4人用ならちょうど2部屋空いてるね。それでいいかい?」
「はい!それでお願いしますね」
···今回は大丈夫だったかぁ~。さすがに子連れだったらボクが女の子に間違えられないよね?ホッと安心して部屋に向かうと、お隣のファミリールームに泊まっている人が出てきたんだけど···。
「あら?こんにちは。かわいい子たちね~!···って、あれ?あなたって昔どこかで見たことがあるような?···どこだっけ?」
「···え?ボクですか?どこかでお会いしましたっけ?」
「···ボク?···あーーーーっ!!思い出したわ!昔宿場町で女の子だと思ったら男の子だった青い髪の子じゃないの!?確か···、アキくんよね!?私よ!チサよ!覚えてない!?」
「···え!?あーー!チサさん!?ボクとリオに服をくれたデザイナーさんでしたっけ!?」
「思い出してくれたわね!?ホントに久しぶりよね~!って、こちらの皆さんはアキくんの知り合いなの?」
「知り合いというか、ボクの家族ですよ。結婚して子どももいるんです。こっちはリオとその家族ですよ。人型になってますけど」
「···ええ~~!?アキくん、結婚して子どももいるのぉ~~!?確かにアキくんの面影あるわ···。しかも!かわいいぞ~~!!」
「パパ?この人知り合いなの?」
「知り合いというか···。昔リオと二人旅してた時に宿場町で偶然出会った4姉妹のデザイナーさんのチサさんだよ」
「そうね!あの時出会ったキッカケは、アキくんが間違って女湯に入ってきたのよね~。懐かしいわね!」
「ちょっとぉ!?子どもたちの前でその話はやめてくださいよ!?」
「···パパは見た目女の子だから堂々と女湯に入ってたんだ。今でも大丈夫じゃない?ナツとママと一緒に入る?」
「入らないよ!!あの時も事故だったんだからね!」
「ははは!リオくんも人型になるとこんなにカッコいいのね~!あの時は小さな猫のようなサイズだったからなぁ~」
「おー、一応あの時の服はまだ残ってるぞー。もう着れないけどなー」
「残さなくてもいいのに~。そうだわ!後でその子たちに私たちの服を着させてくれない?今はリサ、ニサ、イサは買い出しに出てるから、帰ってきたら久々にショーをやれるわ!お母さんたちも一緒にいかがかしら?」
「···わたしも?別にいいけど?」
「ドラゴン族に合う服なんてそうそうないからちょうどいいわね!あたしも参加したいわ!」
「じゃあ、落ち着いたら私たちの部屋に来てね!昔、アキくんに会ってイサがデザインした服が大人気になっちゃってひと稼ぎさせてもらっちゃったから、今回はそのお礼と思っていいわよ~」
···ということで、夕食までと、夕食後にファッションショーをチサさんの部屋でやることになってしまった。
夕食前は子どもたち、夕食後はハルとナナの服を着させてくれるようだ。まさか10年ぶりだというのにボクを覚えていたなんてビックリだよ。
すっかり忘れていたのであの日の日記を読み返したんだけど、確かにたくさん服をくれたんだった。そういえば今も家で着ている部屋着はあの時もらった服なんだったよ。一回り大きな服までもらってたんだよね。
そしてボクからひらめいたデザインの服が大人気って···。某日曜朝の女の子が戦うアニメのアレか?誰が着るんだろう?さすがに違うと思うんだけど···。
そして30分後、リサさん、ニサさん、イサさんが帰ってきたんだ。
「えーーー!?あの時のアキくんが結婚してお子さんまでいるのーー!?しかも!この子たちもすごくかわいい~~!!」
「リオくんって人型だとこんなにカッコよかったのか···。彼氏になってもらっておけばよかったかな~?」
「リオくんの子どもたちもかわいいなぁ~!ドラゴン族にも着れそうな新たな服のデザインが思い浮かびそうだわ!」
「さあ!子どもたち~!お姉さんたちが作った服を着てみてちょうだい!そして感想を聞かせてほしいわね~!気に入った服があったらプレゼントしちゃうよ~!」
「え~っと···、パパ?この人たちの服を着てあげたらいいの?」
「まぁ悪い人たちじゃないし、みんなを服屋さんに連れて行くことってあんまりなかったからね。せっかくだしオシャレしてみたら?」
「···ま、ナツはいいけど。かわいい服って言われてもよくわかんないし」
「わたしみたいなドラゴン族の服ってあんまり見ないからなぁ~。いい服あったら欲しいわね!」
「ぼくはどっちでもいいんだけどなぁ~。着れたらいいんじゃない?」
みんなそれぞれ反応は違ったけど、チサさんたちが出した服を着始めると、楽しそうにしていたね。なかなか獣人やドラゴン族向けの服って少ないんだよね~。しっぽ穴とか加工しなきゃいけないしね。
しかし、子ども向けのそんな服まで持っていたチサさんたちはやっぱりすごかったよ。
第1章以来の登場となるチサさん4姉妹です!
アキくんたちを着せ替え人形にしてデッサンしたおかげで大儲けしたんですね〜。
実は今回チサさんが登場する直前にネタ切れで書けなくなって、2日執筆が止まりました。
これはマズイ!と思ってたらチサさんから
『待ちなさーい!新作できたのに着せ替えできないなんて許さないわよ!?』
って、作者が寝てる時に怒られまして、なんとか執筆が再開しました。
またもキャラに助けられましたよ。
おかげさまで第13章は本作で最長のお話になりました。
さて、次回予告ですが、次回もファッションショーです!子どもたちはワイワイ楽しくいろんな服を試しますが、親たちはすごいことになりますけど···。
明日も2話お届けしますので、お楽しみに!




