13-2.暴れん坊5人組、学園に行く 後編
特別講義を終えてちょっと昼食には早いけど、ボクたちは学食にやって来た。学生さんのほとんどが寮住まいなので、夏休み期間中でも通常営業だ。
午前11時半前なので、空いていたね。
「ここが学生食堂だよ。学校によってルールが違うけど、ここではお金を払ってこの大皿を取って、好きなおかずを好きな量取るんだよ。ただし、お皿に乗る分だけね!」
「面白そう!!おれ、何にしようかな~?」
子どもたちはどのおかずにしようか悩んでるね~。かなりの種類があるし、『大皿に載せれる分だけ』っていう制限もあるからね。ただのバイキングよりも難易度は高めだ。
この方式なら人件費いらないし、ムダになる食材も少なくて済むからね。安くする工夫なんだよ。
ルイくん以外はてんこ盛りに盛ってたよ···。育ち盛りなのか、うちの子どもたちって普通の大人の倍近く食べるんだよ。戦闘種族だから基礎代謝がスゴイのかな?ハルもボクより少しだけ多いって感じなんだけどね。
「それじゃあ、食べようか。いっただっきまーす!」
「「「「いっただっきまーす!」」」」
「い、いただきます···」
ルイくんがビックリしちゃったよ。うちの子どもたちって元気過ぎるところあるからなぁ~。
「うん!おいしいわ!うちのパパの料理じゃないってだけでおいしく思うわ〜!」
「そうだね、姉ちゃん!パパには悪いんだけどね~」
う〜ん···。リナとケンって、かなり我慢してたんだなぁ~。リオの料理がヤバいってのもあるけど、ある程度までは食べてるからね。
これはこの旅で料理教えちゃったら自分たちで作っちゃうね。リオには悪いけど、二人の料理の腕はまだ1回だけしかやってないけどそこそこいいんだよ。
「うっま〜い!···でも、パパの味付けに似てるかなぁ~。なんか食べ慣れた味だよ?」
「···お兄ちゃんもそう思った?ナツも同じ」
「おっ?気づいちゃったかぁ〜。実は、元の世界の料理をちょっとだけ教えてるんだ。それと引き換えに料理を教えてもらった事があったんだよ。だから似ているんだと思うよ」
そう、ここの職員になった時にいきなり聞かれたんだよ。『別の世界の料理って興味あるんだけど、作ってくれない!?』って。
簡単な料理だけ教えて、あとはこんな料理があったよ~、って話たらあっさりと再現されちゃったのもあったんだ。プロだなぁ~、って思ったよ。
そんな会話を楽しくしていると、少しずつ学生さんが入りだしてきた。お昼時だからね。
すると、何人かの学生さんがボクたちに気付いたんだ。
「あれ?アキ先生だ〜!って!!···キャーーー!!かわいい子がいるぅーーー!!」
「えっ!?本当だ〜!かわいいぃ~~!もしかして、先生のお子さん!?」
「ドラゴン族の子どもさんも一緒だよ~~!!かわいいねぇ〜〜!!」
どうやら子どもたちは女学生を魅了してしまったようだ···。レジストでの手形兼握手会を思い出しちゃうね。こっちはあれほど圧はないけど。
「えっ!?おれ!?あの!?ちょっとぉ!?」
「···ナツはどうしたらいいのかな?」
「あ〜、レジストのアレよりはマシなんだけど、ここはフユとナツが人気なのね···」
「いや、姉ちゃん。ぼくたちも思いっきり見られてるよ?」
「あの〜、ちょっとキミたち?子どもたちがびっくりしてるからほどほどにしてね。今日はうちと知り合いの子どもたちを学園に案内してるから」
「だったら昼から私たちが案内しますよ!ねぇねぇ!お姉ちゃんと一緒にデートしよっか!?」
「そこのドラゴン族の子も、あたしたちと一緒に学園回らない!?お姉さんがケーキをごちそうするよ~!」
「えっ!?お、おれとデートですかぁ!?パパ!どうしよう!?」
「ぼ、ぼくもですか!?アキパパ!どうしよう!?」
「う〜ん···。変な事しないならいいけどね。午後2時に訓練場に連れて来てよ?」
「やったぁ~!!言ってみるものね〜!!」
「ちょっと!?パパ!本当にいいの!?」
「アキパパ!ちょっと困るんだけど···」
「まぁ、学生さんの方が詳しいってのもあるからね。せっかくだから軽く交流するのもいいかもね」
「そう言うなら···。わかったよ、パパ。じゃ、じゃあ、よろしくお願いします」
「これも経験なのかなぁ~?ぼくもよろしくお願いします」
「···可愛すぎる。もう鼻血出そうだわ!」
「まだ早すぎるわよ!先生!ありがとね~!さあ!こっちよ〜!!」
「···行っちゃった。ホントに良かったの?」
「まぁ、これも経験だよ。アクロだと、お友達とかできなかったからね」
フユとケンとルイくんが女学生に連れて行かれてちょっとすると、今度は男子学生がやって来たんだ。すると、やっぱり···
「おっ!?アキ先生じゃん!···って!?ナニこのかわい子ちゃん!!髪の色からして先生のお子さん!?」
「こっちはドラゴン族のかわい子ちゃん!?先生!オレに紹介してよ!!」
「紹介って···。まだ8歳だよ?ボクの娘と知り合いの娘さんだよ。今日は学園を案内してるんだよ」
「先生?なんでこんなかわい子ちゃんがいるって隠してたんです!?今からちょっとだけデートしてもいいっすか!?」
「別に隠してないんだけどなぁ〜···。あっ、デートはダメ。学園を案内だけならいいけど?午後2時に訓練場に連れて来てくれるならね」
「それでいいっす!じゃあ、オレたちが立派に学園内をエスコートします!!」
「···パパ?本気?」
「アキパパ···。本当にいいのね?」
「まぁ、ヤバかったら制圧してもいいよ。まず瞬殺だろうし。それに、フユとケン以外の男の子とも付き合う練習だと思ってね?」
そうして渋々ナツとリナは男子学生と一緒に出ていった。
···うちの子どもたちって人気高いなぁ~。
確かにボクとハルの子どもだからかわいいに決まってるよ?さすがに顔立ちは男の娘じゃないけど、まるでお人形さんのような整った顔立ちはしているよ。
体つきもしっかりした細マッチョだし。そういう均整のとれたのがうちの子どもたちだ。だからかな?
リナとケンも、数少ないドラゴン族の子どもだし、ナナに似てかわいい顔してるからね。人気がありそうなのも頷けるよ。
そして午後2時になった。訓練場で待っていると···!たくさんの人だかりがゆっくりと訓練場に向かって来たぁ!?
一番先頭はフユとケン、そしてルイくんだ!人だかりは全員女学生だった!ど、どういう事!?
「パパ〜···。なんだかいっぱい女の人に好かれちゃってついてきちゃったんだけど···」
「アキパパ···。なんでかこうなっちゃったよ···。どうしよう?」
「え〜っと?キミたち、なんでついてきちゃったのかな?」
「「「「これから3人のカッコいいところを見るためです!!!」」」」
お、おう···。訓練場でやるっていったら試合だもんね。まさか観客付きになるとは思わなかったけどなぁ~。
そして道の反対方向からも人だかりがこっちに向かって来た!一番先頭は···リナとナツだ!!
人だかりは全員男子学生だ!···『親衛隊』って旗立ってるけど?いつの間に作ったんだ!?
「···パパ、なんかナツたちの試合を見たいんだって」
「歩いてたらどんどん人が集まって来ちゃったけど···。アキパパ、どうしよう?」
「どうしようって···。皆さん、うちのナツと知り合いの子のリナの試合が見たいんですか?」
「「「「そうです!!カッコかわいい二人の活躍が見たいです!!!」」」」
はぁ〜〜···。まぁ、夏休み中は暇って人多いからなぁ〜。余興としては魅力的か。しょうがないね。
「じゃあ、皆さんは観客席で見て下さいね。それとも、誰か相手になります?うちの子どもたちは軽く魔獣を倒せちゃいますよ?」
···誰も相手にはしないようだ。ちょっとだけビビっちゃったかな?ま、いっか。4人でやってみるか。
最初はフユ・ナツ・ケンでそれぞれ計3戦やり、その後はフユとナツコンビとリナとケンコンビで魔法合戦をしてもらった。
最初は大歓声だったけども、あまりにも自分たちと実力が乖離していて、少しずつ息を飲んで集中して見ていたよ。
まぁね~。とんでもないコンビネーションだから見応えあるんだよ。
そして終了すると拍手喝采だった。子どもたちは自分たちの試合が喜んでもらえるとは思ってもいなかったようで、嬉し恥ずかしい顔になってたね。
これだったら学園に入れてもやっていけそうかな?そんな手応えを感じたね。
子どもたちが可愛すぎて学生たちも魅了されてしまいました···。
まぁ、かわいいは正義ですけどね(笑)。
ただ、ナツちゃんには言い寄る男の子に対してダメって言ってます。そこは父親ですから当然ですね!
さて次回予告ですが、旅行を再開し王都を目指すのですが、その前にちょっとした寄り道をしたいと子どもたちが言い出します。そこでキャンプをするわけですが、ついに!ナナちゃんが料理をします!
ナナちゃん曰く『血を見る』と言う理由がついに明らかに!血まみれになる犠牲者がでてしまうのか!?
猟奇的な作品ではないですが、どうなるかは明日の
朝をお楽しみに〜!土日なので朝と夜に投稿しますよ!




