13-1.暴れん坊5人組、学園に行く 前編
本日より第13章全27話+番外編2話という、本作最長のお話をお届けいたします!
グロー歴514年8月12日 晴れ
カイジの町まであんまりゆっくりとせずに旅をしてきたので、あと2日ほどゆっくりとさせてもらうことにしたんだ。
ここから先は王都まで行く間にあるアーマチュア街の手前まで転移で飛んでから徒歩での移動を予定しているんだ。
飛んでいくってのもいいんだけど、子どもたちに徒歩での移動も経験させたいしね。
2日ゆっくりするんだけど、今日はちょっと学園に行こうと思っているんだ。ついでに子どもたちに学園を見せようと考えたんだ。その話を朝食の時にしたんだよ。
「今日はボクは学園にちょっとした用事があるんだけど、一緒に行ってみる?」
「パパのお仕事しているところだよね?おれ行ってみたい!」
「···ナツも。パパのお仕事見てみたい」
「わたしも見てみたいわね!アキパパにはお休みの日にいろいろ教えてもらったけど、学園ってどんなところか気になってたのよね~」
「ぼくも行ってみたいね。いいかな?」
子どもたち4人は乗り気だ。さて、オルさんとこのルイくんはどうかな?
「オルさん?もしよろしければルイくんも一緒にどうですか?」
「おっ!?いいのか!?ルイが良ければお願いしたいなぁ~。ルイ、どうだ?」
「じゃあ、お願いできますか···?」
「いいよ!じゃあ、5人で一緒に行こうか!」
「「「「おー!!」」」」
「お、おー···」
まぁ、うちの子どもたちのノリはルイくんはわからないよなぁ~。昨日来てからうちの子どもたちはいろいろ話しかけたみたいだけど、人見知りが激しいみたいなんだ。まぁ、すぐに打ち解けてくれると思うけどね。
さて、子どもたちには玄関に集合してもらって、ボクも合流したら出発だ!
領主邸から学園までは徒歩10分程度だ。子どもたちは町の風景をキョロキョロ見ながら歩いていた。
そして、正門に着いたんだ。
「みんな、ここがボクの勤め先のアンペル学園だよ。ここでは自分が興味ある授業を選択して学ぶんだ。先にボクの仕事を終わらせてから案内するよ。ちょっとだけ職員室に行くね。すぐに用事を済ませるからね」
「うん!よろしくお願いします!パパ、じゃなくてアキ先生!」
「あはは、フユにそう呼ばれるのは恥ずかしいなぁ~。じゃあ、こっちだよ。ついてきてね~!」
そうして校舎に入って職員室に向かった。休み期間中だから先生たちはほとんどいなかったけど、たまたまアピアさんがいたんだ。
「おはようございます、アピアさん」
「あら?おはよう!アキくん。今日はどうしたの?お子さん連れで?」
「いや、旅行中の空き時間に作った資料を置いていこうかな?というのと、子どもたちに学園を見せてあげようと思いまして」
「なるほどね~。とってもいい事だわ!私はアピアって言うの。武術関連の講師よ。···って、アキくんと知り合いのドラゴン族のお子さんだから私の授業は必要なさそうね~」
「そんなことないですよ?いろんな人から学ぶのも大事ですから。じゃあ、みんな!アピアさんに自己紹介してあげて」
そうして子どもたちがアピアさんに自己紹介したんだよ。アピアさんも嬉しそうに聞いてくれてたね!
「いやぁ~、しっかりしてるわね~!まだ8歳なんでしょ?スゴイわね〜。確かここの入学レベルの学力まであるんでしょ?アキくんは教えるの上手いから当然かもね」
「そんなことないですよ。この子たちの頑張りの成果ですから」
「またまた〜!いくら努力だけでも、その道筋を教えるのも大変なのよ?おっと!長話は子どもたちには退屈だったわね。用事を早く済ませて、案内してあげてね~!」
「ありがとうございます。そうさせていただきますね!」
ちょっとだけ長話しちゃったね!さて、資料を置いて次の資料作成の参考書を回収して···。
「よし!お待たせ。さあ、学園の中を案内するよ。ついてきてね~!」
「···アキさんはここではかなり有名な先生なんですか?」
これまで黙っていたルイくんがボクに尋ねてくれたね。これは話のいいキッカケになるかな?
「うん、そうだよ~。教えてるのは数学·物理·電気工学だよ」
「···?ごめんなさい。ちょっと聞いたことのないものですね」
「お父さんからボクの事は聞いてないかな?ボクはね、ここの世界とは違う世界からやってきたんだ」
「···外の理の者?」
「まぁ、そうだね。500年前に侵略しに来た世界じゃないけどね。そこで学んだ知識をここで教えてるんだよ。知っていれば魔法の威力が上がったり、少ない魔力で魔法が使えたりもするよ。それに、知って損はないよ」
「···そうなんですね。ぼくはどうも魔法は苦手みたいなんです。パパやママみたいになれるか不安なんです···」
「···そうなんだ。でもね?オルさんとネータさんは、ルイくんにパパやママみたいになってほしいって言った?」
「ううん、何も言ってない。でも、パパもママも世界を救った整調者だったんでしょ?ぼくもそうならないといけないかな?って思っちゃって···」
「なるほど、そういう事か。でもね?それは気にしなくていいと思うよ?」
「···どうしてですか?」
「何も言わないって事はそうならなくてもいいって事だよ。決して期待していないわけでもない。ルイくんが好きなようにしてくれればいいとボクは思うよ」
「ぼくが好きな事···」
「まだ慌てて決めなくてもいいよ?ボクの子どもたちも、こうしたい!ってのはないからね。そうでしょ?フユ、ナツ?」
「そうだなぁ~。おれってどうしたいのかわかってないから、その時に思った事をやってるよ」
「···ナツも。これから先にやりたいことが見つかるかも」
「わたしもそうよ!パパも元整調者だったけど、そうなって欲しいなんて一言も言ってないわね。好きにしたらいいってママも言ってたし」
「ぼくも姉ちゃんと同じだね。やりたい事が見つかるのかなぁ~?」
「···そうなんだ。ぼくがやりたい事をこれから探せばいいんですね」
「まぁ、慌てずにね。そういう意味では学園で勉強するのもキッカケの一つかもしれないね。
そうだ!せっかくだから空き教室でボクの授業を体験してみない?興味持つかもしれないよ?」
「じゃあ、お願いできますか?」
「もちろん!みんなも受ける?」
「「「「うん!」」」」
というわけで、いつもボクが教えている大教室が空いてたので、授業を始めようか!
この教室は大きいので、机がひな壇状になっているんだ。後ろの方はかなり位置が高いよ。
「うわぁ〜。広いし階段っぽいね。パパって、こんなにたくさん学生さんが入る教室で教えてるんだね!すっご~い!」
「ははは···。それでは、特別講義『雷属性の魔法の理屈』を始めますね~!」
パチパチパチ〜!!
「あ〜···。拍手は授業ではいらないからね。今日はルイくんもいるから簡単な基礎の部分をやるね!
ただ、基礎だからといってバカにしちゃいけないんだ。ここを知らないと先がないからね。
じゃあ、始めようか!」
こうして1時間弱の講義を行ったよ。大学みたいに90分なんて子どもたちの集中力がもたないしね。
でもね?5人とも集中して聞いてくれたんだ。
内容は小学生高学年ぐらいのお話を簡単にしたものだよ。電気には+と−がある事、ずっと流すなら輪っか(回路)にしなければならない事、電圧と電流についても軽くだけやったんだ。
たったこれだけでも雷属性の魔法を使う時には魔力消費量がちょっとだけ減るんだよ。リオの言う通りイメージが大事って事だね。
「さて、今日はこんなところかな?どうだったかな?」
「面白かったです。続きも聞きたいです!」
「そう言ってもらえて嬉しいよ。他の魔法もそうだけど、理屈を知ってると扱いやすくなるからね。勉強していろいろ知るというのも楽しいよ!さて、ちょっとだけ早いけどお昼ご飯にしようか!」
興味を持ってもらえてよかったよ。学ぶってのは本来楽しいものなんだよ?元の世界では楽しくないようにしちゃってたから苦痛を感じる事が多かったんだけどね。
昼食後は体を動かしてもらおうかな?と考えてたら、学園内なのにトラブルに巻き込まれるなんて、この時は思いもしなかったんだよ···。
本来は子どもたちを教育機関に入れるべきなんでしょうけど、アキくんがかなり高度な教育を幼少期からやってしまったので、行く必要がないぐらいの学力が身についています。
ただ、学校ってそれだけじゃないんですよね〜。
人付き合いや人脈を作るって役割もあるんですよ。これが意外と役に立つんです。人にもよりますけどね。
今回は学校での授業を体験して、子どもたちはとても楽しんでいましたね。本来授業はこういった方がいいんですけど、なかなか熱意のある先生がいないってのも事実なんですよね〜。
さて次回予告ですが、昼食を学食で食べていると、学生さんから子どもたちに声をかけられて、学園内を案内に連れ出されてしまいます。
そして時間が経って集合したらとんでもないことになっていました。どうなったんでしょうね?
それでは明日の投稿をおたのしみに〜!




