1-7.男の娘効果(デバフ?)が発揮、そして身分証ゲット!
本日は日曜日だし、外は寒いので2話投稿します!執筆も順調なのでね。
もう1話は夕方に投稿を予定しています。
「なら私のテントで一緒はどうです?ちょっと狭いけど、それで良ければいかがです?」
···ハイ?ナニヲナニヲ、アナタハ、イッテルンデスカー?
「えっ!?それってマズいですよ!?」
「そんな事ないですよ〜!私の命の恩人ですもの!遠慮せずに私のテントに泊まっていってください!」
待って待って!どうしてこんな展開に!?そりゃあ、テントに泊まらせてもらえるなんてありがたいんだけど、女の子のテントっていくらなんでもマズい!
「私のテントではダメですか?せっかくだから旅の話をもっと聞きたいんですけど〜?」
「いや、だから!異性と一緒に同じテントってマズいですって!劇団長にも怒られちゃいますよ?」
「えっ、異性?も、もしかして、アキさんは男の子なんですか!?」
···そういう事か。神様のせいか。パッと見だとボーイッシュな女の子にしか見えないから、同性だと思われたんだ。
後ろでリオが放心状態から立ち直って笑ってる。あとでお説教だ!
「そうです。ボクは男です。見た目はこんなですけど」
「ほ、本当にごめんなさい!完全に私が勘違いしてました···。逃げる際に抱きかかえてもらって、こんなカッコイイ女の子がいるんだって憧れてしまって!」
ちょっと照れてるニーナ。同性にかかえられるなんて経験ないだろうから、そうなるのも仕方ないか。
「いや、もういいですよ。勘違いされる姿をしてるのも原因なんで」
「すいません。だったら劇団長のテントはいかがです?少し広めなので、大丈夫だと思いますよ?団長〜!アキさんたちを泊めてやってもらえませんか〜?」
「ああ!いいぞ〜」
「だ、そうですよ!」
「ありがとう、ニーナさん。ありがたくお世話になります」
「いえ!とんでもないですよ。ゆっくり休んでくださいね!」
とりあえずニーナのテントに宿泊は回避できた。今日の宿も確保できてとりあえずは良かったんだけど···。
精神的ダメージがボクもリオも大きくて、劇団長のテントに案内されたらすぐに爆睡してしまったよ。
グロー歴504年9月5日 晴れ
そして翌日。
いつもよりちょっと遅めに起きたボクとリオ。朝食までごちそうになってしまったよ。
さて、今日は役所に行かなきゃ!あとは仕事だね!多少の路銀は稼がないといけないし。
「劇団長さん、ニーナさん。お世話になりました」
「いや、こちらこそニーナを救ってくれてありがとう!主役級は替えが効かないから、本当に助かったよ。またどこかで会えたら、ぜひ訪ねてきてくれ。その時は旅の話も聞かせてもらいたいね。
あと、これはわずかながらの謝礼金だ。旅の足しにしてくれたまえ」
「えっ!?そんな···。いや、ありがとうございます。また皆さんに会える旅にするための足しにさせていただきますね」
「嬉しいこと言ってくれるじゃないか!そうだね。今度はもっと成長した元気な姿を見せてくれ!」
「ハイ!ありがとうございました」
続いてニーナから
「アキくん!本当にありがとう!また会えるといいね!」
「うん!ニーナさんも、劇がんばってね!応援してるよ!それじゃあ、また会いましょう!さようなら!」
こうして、ツーデン劇団の皆さんとお別れしたんだ。向こうも旅芸人だから、どこかで会えるよね!
さて、これから役所に向かおう。ここは中央広場だから結構近くにあるんじゃないかな?
「リオ、役所ってどこにあるんだろうね?」
「目の前にあるぞー?ここだぞー。書類のマークがついてるこの建物が役所だー」
こんなに近かったのか。探す手間が省けたよ。さっそく中に入るとすぐに総合受付があって、左がハローワーク···、ではなく冒険者ギルド、右が役所のようだ。···元の世界の役所とレイアウトが似ていたよ。
この世界、微妙にファンタジー感がないよなぁ〜。
「おはようございます。今日はどのような手続きですか?」
「おう!こっちのアキだけど、身分証がないんで作成をお願いしたいんだー。後見人はオレだぞー」
「承りました。では、こちら3枚の書類を記入していただいて、11番窓口横の提出カウンターに出してください」
「おう!ありがとなー」
···本当に役所だなぁ〜。雰囲気そのまんまだよ。とりあえず3枚の書類に必要事項を記入していく。
「リオ、名前って本名を書けばいいの?」
「いやー、愛称でいいぞー」
「えっ?でも公的な書類なのにそれでいいの?」
「問題ないぞー。ってか、前も言った通り邪法の件があるのと、身分証にはアキ固有の魔力を登録するから、あんまり意味ないしなー」
「なるほどね。住所はどうする?」
「『住所不定』のところにチェックでいいぞー。居住地なんてないんだしー」
「それって、ボクのいた世界ではかなりヤバいんだけど···。それで通るのかぁ。まぁいいか」
とりあえずボクが記入しなくちゃいけないところを記入し終えると、今度はリオが魔法を使って後見人のサインをしていった。書き終わったので11番窓口に提出すると、5分ぐらいでカウンターに案内された。
「では、アキさん。後見人の証明確認が完了しましたので、身分証受取のサインをお願いしますね」
「はい、って、カード型か魔法型が選べるって聞いたんですけど?」
「人間の場合は原則カード型なんですよ。魔法型だと財布機能に対応していないお店があったりしますし、そもそも魔法型はカード型を持つには不便な種族の方向けなんですよ」
そうだった。リオってドラゴン族だからカードを持つのは不便なんだよ。今は小さすぎるし、成竜って大きそうだから問答無用で魔法型だったんだ。まぁ、いいや。
そして受取のサインをした次の瞬間!身分証がボクのスマホに吸収されちゃったんだ!
えっ!?どういう事?リオも役所の人もビックリしてるんだけど!?
恐る恐るスマホを開いてみると、画面に新たなアプリが2つ勝手にインストールされてた。
というか、スマホに『物理的に』インストールってのがぶっ飛んでるなぁ〜。
インストールされたアプリの名前は
『身分証』と『モバイルアデリー』。
···ヲイヲイ!なんじゃこりゃあ!!
身分証はまだいいよ!タップしたらクルマの免許証みたいな書式で画面全体に表示されるし、その画面を見た役所の人もOK!って言ってるし。いや、それもどうなのかと思うけど。
ヤバいのはもう一つの方だ!何だよ!『モバイルアデリー』って!?某交通系ICカードのスマホ版のパクリじゃないか!?いいのか?神様!?怒られない!?
使い方は元の世界と一緒で、違うのはオートチャージとかクレジットカードチャージがないという点ぐらいだ。いや、なくて当然だけど。
というわけで、ボクの決済方法はスマホでタッチ!ということになった。もうやだこの世界···(泣)
アキくんは神様(作者)に男の娘の姿にさせられたので、今後こういった勘違いによるトラブルは日常茶飯事になります。
どうしても初めて会う人って第一印象が決定的なものですからね。
初めて会う人たちとの対応でアタフタするアキくんを今後も期待して下さい!




