12-21.リオ、『最高傑作』の料理を作る! 後編
本日で第12章は完結です。
そのため、本編は朝に投稿しています。
リオの最高傑作料理は4品のパイ包みだった!パイ包みだから、中に何が入ってるのかがわからないのがさらに不安感を煽っていた。
現時点で2品を披露して1勝1敗(?)という結果だった。ここからは後半戦だ。
3品目は何だろう···?リオは自信満々だけど···。
「気を取り直して、次はコイツだーー!」
「···え〜っと?リオ?これも丸ごと?」
「おう!よくわからないけど、見た目美味しそうな肉だったからそのまま入れてみたぞー!」
ボクが中身を確認したら···、今度は何かよくわからない分厚いお肉が丸ごと入っていた!
そしてそのお肉を切ってみると···、予想通り中まで火が通っておらず、ローストビーフっぽくなっていた。特に中心は生のまま!···お腹壊さないかなぁ〜?回復魔法使えるから多少は大丈夫だけど。
ものすごい不安感の中、今回はボクから食べてみる事になってしまったよ···。煽っちゃったのはマズかったかなぁ〜?
「で、では···。モグモグ···。ん?意外といける?ちょっと塩分足りないけど、食べれないことはないかな?」
「パパ、大丈夫?お腹痛くならない?」
「心配してくれてありがとう、フユ。そんなすぐに痛くなったら毒だよ···。うん、ボクとしては成功のほうだと思うよ」
「アキさん?信じてよろしいのですわね?では···。確かに塩みが足りませんけど、さっきよりかはマシですわね」
「これも食べたことのない料理だが、まあ改良の余地はあるがまずまずだな」
「じゃあ、ぼくも。···うん、姉ちゃん。これは大丈夫だよ」
「はぁ~、良かったわ。今のところパパの料理は2品食べれるものだったわね。···残りの1品が心配だけど」
「これも成功だったなー!だいぶ腕が上がったんじゃないかなーー!」
「調子に乗るな!食ベれる品を出せない時点でダメなんだからね!あたしや子どもたちに安心させる品を出してくれればいいんだからぁ〜!」
「お、おう。これからも頑張るぞー。じゃあ、最後はこれだー!」
3品目も成功と言っていいぐらいだった。最後はどうだろうか?
パイの中を見ると···、なんと!!お菓子が入っていた!!···食後のデザートのつもり?
「リオ?さすがにコレはないわぁ〜···」
「そうかー?食後のおやつは美味しいから入れてみたんだけどなー」
「アンタね?おやつは単独で食べるから美味しいのよ!!なんでパイ包みにして焼いたんじゃーー!?」
「ええーー!?美味しいものを一緒に食べれると思って作ったのにーー!?」
「では、まずはリオが食べてみなさいな。その後で私はいただきますわ」
「美味しいと思うんだけどなー。···うぇっ!?あ、あれー!?な、なんだかよくわからない甘さだぞー!?」
「パパ、だからちゃんと味見してから出してよぉ~。ぼくたちも食べるものなんだからさぁ~」
「結局半分はダメだったわね···。でも、2品成功はわたしとしては奇跡だと思うわよ?」
「···全部失敗の時がほとんど。ナツも酷い目にあった」
「そういう意味では成功かな?っておれも思うけど?」
「···皆さん酷い環境でしたのね?よくここまでまっすぐに育ったものですわね?これも奇跡ですわよ?」
「それはアキパパのおかげですよ。ぼくたちが逃げてきたら美味しい料理を作ってくれますし」
「アキパパが休みの日はほぼ必ず作ってくれたのよね~。わたしも楽しみだったし」
「アキさん?子どもたちが自立するまで大変ですわね?」
「ははは。でも、子どもたちは料理は上手でしたから、もうちょっと練習すれば自分たちで作れると思いますよ?」
「ある意味強制的な自立ですわね···。子育てとしていい事なのかわかりかねますわ」
そんな話をしていたら、メイドさんからオルさんとネータさんが着いたと連絡があり、すぐに食堂にやって来たんだ。
「よおー!久しぶりだなぁ~!」
「アキくんとハルちゃんもご無沙汰〜。今お食事中だったのね~。美味しそうなパイ···、なのかな~?」
その時!カーネさんの目が光った!!···なんだか嫌な予感がするぞ?
「おおっ!よく来たな。ちょうど良かったぞ!ここにリオが作った最高傑作の料理が2つあるぞ!お前たちも食べてみろ!」
「おっ!?ちょうど腹減ってたんだー。ありがとな、リオ!いっただっきまーす!!···ぐふっ!?な、なんじゃこりゃー!?」
「···もう一つってお菓子?どういうセンスなのかな~?」
「ゲホッ、ゲホッ!おい、リオ!?なんてもの作ったんだ!?」
「作りたくて作ったんじゃないぞー!結果的にこうなっただけだからなー!4つのうち2つは成功したんだぞー!」
「ということはハズレしか残ってない?···カーネ?ハメたわね?」
「はっはっは!リオの本当の料理を食べてほしかったのでな!ちゃんとした昼食も用意してるから安心しろ!」
「じゃあ、なんでこんなもの食わせたんだよー!?酷い目にあったぜ···」
「久しぶりのあいさつにしては乱暴ね~。そうそう、リオのトンデモ料理のせいで紹介し忘れたわ~。うちの子よ〜。ルイ、自己紹介してあげて〜」
「は、はじめまして。ルイって言います。よろしくお願いします···」
リオのトンデモ料理にみんな集中してしまっていたけど、オルさんとネータさんは今回子連れでやって来たんだ。
ルイくんについてはちーむッス!のアプリで画面越しで会っていたんだ。実際に会うのは初めてなんだよね~。
落ち着いたところで、アイリさんが手配していた昼食が運ばれてきたよ。同時にリオの実験作と失敗作はメイドさんによって下げられてしまった。
リオは『あ〜〜···』と、残念そうにつぶやいていたけど、アレはちょっと食べれる代物じゃなくなっちゃったからしょうがないね。
昼食後はいったん客室でくつろいでから、夕食前に情報交換をする事にしたよ。
そして···
「さて、皆さんお集まりいただき、ありがとうございます。今回はムーオの真実について、こちらのジーンが教えてくれました。その情報を共有したいと思います」
ここからはジーンが説明してくれた。みんな驚いていたよ。本当はちーむッス!で共有してもよかったんだけどね?さすがに重要な情報は質疑応答があるから、こうして顔合わせした方がスムーズだ。
それに、まだ慌てるような状況ではないからね。
「なるほど。どうやら今はムーオはどこかで力を蓄えてそうですわね?ここ6年はまったく音沙汰なしですし」
「それに、いつ活動再開するかがわからねぇ。兆候すらないから、オレとネータの情報網にも引っかからないんだよなぁ~」
「まぁ〜、当面は旅しながら情報を集めるわね~」
「ボクたちも旅しながら情報を集めます。ボクたちはこの後王都リスタへ行って、反時計回りでピムエムへ向かいます。学園が始まるまでですけど」
「じゃあ、オレたちはこのまま南へ向かうぜ。何かあったら連絡するわ!」
「そうだ!テリーさんにも連絡しなきゃいけないね」
「···アキ?その必要はないよ。そこに既にいるから」
「えっ!?」
「おやおや、やはりハルにはバレますか〜。相変わらずスゴイですね~。本気で隠れていたというのに」
「···クセは知ってるし、今の任務を考えたらそろそろ接触してくると思ってた」
「さすがですね~。お話は聞きましたが、私も任を降りる事になりましたよ。神もしばらく様子見をするようですし」
「···そう。もう会うこともないだろうから、気を付けて」
「そうですね。次に会うのがお仕事でない事を祈りますよ。それでは失礼」
テリーさんはあっさり帰っちゃったよ。結局は足取りをつかめなかったようだね。ちょっとかわいそうかな?
こうして、子どもたちを連れてリオたちの実家へ帰省はドタバタの中で終了した。少しだけゆっくりと過ごしてから、旅を再開しよう!ここから先はボクも初めてだからね~。2家族8人ってかなり大所帯だけど、楽しい旅にしようね!
第12章 完
『リオとナナの実家へ初の帰省かぁ〜···。どっちもとんでもない目にあったんだよなぁ···。子どもたちも、新しい力を手にしちゃって、この先も大暴れするからなぁ~···。ホント、元気に育って良かったよ···』
オルさんとネータさんは最悪なタイミングで来てしまいましたね。駆けつけ一杯ではないですが(笑)。
情報共有もして、アキくんたちの旅行はまだまだ続きますよ~!
次の投稿はネタバレ集です。本日昼頃に投稿しますね!




