表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結済・第6章まで加筆修正完了】アキの異世界旅行記 ~旅先でなぜか変なフラグ立ってトラブルに巻き込まれて···ホント困ってます~  作者: ぷちきゅう
第12章 帰省するぞー!?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

205/341

12-18.悔しさをバネに

 本日2話目の投稿です。朝に船の上から1話投稿してますので、先にそちらを読んでからこちらをお楽しみくださいね!

 子どもたち4人のコンビネーションはカーネさんとアイリさんのコンビネーションには全く敵わなかった。

 

 

「ふうーーー。なんとか勝てたな。この幼さでここまで食いつくとは思わなかったぞ」

 

「合図や作戦も一切立てずにここまで以心伝心な連携力は初めてですわ。まるで『意識すら共有』しているような感覚でしたわね。非常にやりづらかったですわ」

 

「そう言いますけど、ボクからしたら余裕に見えましたよ?」

 

「ええ、『そのように見せかけてました』からね。余裕な私たちの姿を見て、この子たちはどんどん焦っていってましたね。作戦のうちだったのですよ。もっとも、内心はヒヤヒヤでしたよ〜」

 

「うむ!こちらも一瞬でも油断した時点で一気に追い込まれそうだったな!最後はトランスをすると宣言していたし、疲労困憊状態でムリさせるわけにもいかんので、ああして強制終了にしたのだよ。ただ、本人たちとしては消化不良になっただろうなぁ~」

 

「そうだったんですね。相手していただいてありがとうございました」

 

「さて、目が覚めるまで少しかかりますし、反省会は夕食後にしましょうね。それまでは客間でゆっくりとくつろいでくださいまし」

 

 

 ボクとハルで気絶しているフユとナツを背負って客間に向かった。リナとケンは歩ける状態だったので、リオたちが連れて行ったけど、気持ちが沈んでいたね。

 

「···ん、う〜ん。···あれ?ここは?」

 

「···?ベッドの上?」

 

「目が覚めたかい?」

 

「···パパ?···そうかぁ~。おれ、負けちゃったか」

 

「二人ともよく頑張ったね。見ていたけどすごかったよ」

 

「···ありがとう。でも···、ひっく、ひっく、悔しいよぉ~···」

 

「···ぐすっ、···歯が立たなかった。もっと、いけるとナツは思ったのに···」

  

「···それはどうして?」

 

「だって!変身までして強くなったのにまったくかなわなかったんだよ!?全力でやったんだ!それなのに···。最後の切り札のトランスを使う前で終わっちゃったんだ···。あと一歩だったかもしれなかったんだよ?···最後までできなかったのが悔しいんだ」

 

「そうかぁ~。全力を出し切る前に終わっちゃったから悔しいんだね?じゃあ、次があったらどうしたい?」

 

「もちろん勝ちたい!」

 

「···ナツも!」

 

「どうやって?」

 

「それは···」

 

「············」

 

「フユ?ナツ?焦ることはないんだよ?フユたちにはまだまだたっぷり時間があるんだ。さっきカーネさんが言ってたよね?『経験』がまだまだ足りてないんだよ。どんなに力があっても、その使い方を知らないんじゃ強くはなれないんだ。

 すでに力や技はかなりあるんだ。あとは戦い以外にもいろんな経験をしていけば、自然と強くなるよ。そして、この負けも貴重な経験なんだ。

 そういう意味では勝つよりも素晴らしい経験(・・・・・・・)をしたとボクは思うよ」

 

「···勝つことよりも負けた方が素晴らしいの?」

 

「状況にもよるけども、自分の命がかかってないならね。勝ってしまったら嬉しいけど、よほど苦戦して勝たない限りだいたいそれで終わりだね。逆に負けて悔しかったら、次はどうすればいいか?を真剣に考えるんじゃないかな?それをやってうまいこといけば、それでいいんじゃないかな?ボクの元の世界ではそうやってどんどん良くしていく方法を『PDCA』って言われてたね」

 

「PDCA?」

 

「そう、『Plan(計画)』を立てて、『Do(実行)』する。その結果を『Check(確認)』して次に活かす『Action(実行)』。これを何度も繰り返していく事でどんどん良くしていくんだ。

 何も戦いだけじゃないよ?普段の生活や、お仕事でも同じなんだ。これができるようになれば、フユとナツはどんどん強くなっていけるとボクは思うよ?」

 

「···わかったよ、パパ。それと、ありがとう。おれたちは今回はとてもいい経験をしたんだね?」

 

「そうだよ。今日の戦いを自分なりに、次はどうするべきか?そしてどうやったら切り抜けられるかを考えてみてね。それを4人で共有したらいいよ」

 

「···ナツも、今回いろいろ考えさせられた。次はもっといい内容にする」

 

「そうだね。試合は勝たないといけないわけじゃないんだから、相手の良いところ、参考になるところがあったらマネするのもいいと思うよ。

 さて、そろそろ夕食の時間かな?疲れただろうから、たくさん食べるんだよ。先に食堂へ行っておいてね」

 

「「うん!!」」

 

 

 ···これでよかったかな?子どもたちはちゃんと立ち直ったようだよ。強い子になったなぁ~。ボクだったら3日は落ち込んでしまいそうだけどね。

 

 でも、カーネさんとアイリさんが言ったように、今回は負けて大正解だった。もし勝ってたらあの子たちは『変身すれば勝って当たり前』という強い思い込みが発生して、強敵に当たった時に『逃げる』の選択肢を自ら無くしてしまいかねない。さらに、この考え方になってしまうと、『力でなんとかなる』という思い込みにもなってしまいかねないんだ。これはあの子たちの命に関わる重大な懸念点だったんだよ。

 

 カーネさんとアイリさんはそこまで見抜いちゃったんだね。やはりあの二人はすごいね。ホント、助かってますよ。

 

 ボクが子どもたちに話している間、ハルは何もしゃべらず、ずっと見守ってくれていた。このハルのやさしさもありがたいね。 

 

 

「ハル?こんな感じでよかったかな?」

 

「···うん。もうだいじょぶ。かなり自信過剰になってたから、ちょうどよかったよ」

 

「あとは4人でどういう結論を出すか?かな?リオの方もうまいことやってくれてたらいいんだけど」

 

「···リオはやる時はやるよ?ナナもついてるし、心配はいらないと思うよ?」

 

 

 さて、リオたちの方はどうなってるのかな?荒れてなければいいけどね。

 

 

「二人ともよくやったなー。4対2とはいえ、相手はあのカーネとアイリだったからなー」

 

「···全力でやったのにまったく歯が立たなかったわ。パパとあれだけ魔法戦をやった後なのに、勝てないとは思わなかったわ」

 

「ぼくも。アイリさんは魔法がメインなのに、負けるとは思わなかった」

 

「···さっきから聞いてると、『勝てて当たり前』とまだ思ってるな?負けた理由を言うぞ。『その考え方』のせいだ」

 

「なんでよ!?変身してまで戦ったのよ!?あれだけの力があれば、大丈夫なはずだったのよ!」

 

「変身しても力で勝てなかったのは、ぼくたちが勝てるって思ってたから?」

 

「そうだ。確かにお前たちの力はとんでもないぞ。だけど、それだけ(・・・・)だ。確かに極端に力があれば技を超える事もある。カーネがやった斧を地面に振り下ろしただけで衝撃波が出てフユたちが吹き飛ばされただろ?それぐらいまでになれば力だけでなんとかなる。

 しかし!お前たちはそこまでには至っていない。要は力や技、魔法がいかに強くても、使い方がなってないんだ。カーネが言ってただろ?『経験』が圧倒的に少なすぎるから、応用が利かないんだ」

 

「じゃあ、どうすればいいのよ!?経験経験って言うけど、どうやって経験すればいいのよ!?」

 

「ぼくたちってどうやって経験すればいいのかわからないよ。教えて!パパ!」

 

「簡単なことだぞ。今回のように負ければいいぞ」

 

「···負ければ経験になるの?」

 

「命の危険がない限りはな。確かに勝つことも大事だし、嬉しくなるだろうけど、技や魔法の上達はそんなに速くないぞ。こういった試合では負けた方が、どうして負けたのか?どうやったら次は勝てるのか?を考えるからな。そうやって工夫をして実践して成功したら、それが経験だ。

 誰だって最初は経験なんてないぞ。経験なんてこれからしていけばいいんだ。オレだってそうだ。力こそすべての白銀竜の集落で、力が弱すぎて狩りに連れて行ってもらえない。悔しい思いをして考えた結果が魔法だった。

 必死に練習して魔法を集落で誰よりも扱えるようになっても、狩りには連れてってもらえなかった。だからオレは集落を出た。そして、いろいろ旅をしていろいろな経験をしたから強くなったんだ。

 リナとケンはまだまだ時間がたっぷりとあるんだぞ?戦いだけじゃなくていろんな経験をすることで強くなれる。まずは自分ができること、できないことを整理して、できることを増やそうな!オレもちゃんと指導するぞー!」

 

「···わかったわ。今回はデバフとか障壁の使い方でわたしはやられてしまったわ。次はデバフ対策とかしてやるわ」

 

「ぼくも。初めてデバフを食らってあせっちゃったんだ。次はどうすればいいか考えるよ」

 

「よし!あとでフユとナツともしっかり話をしておくんだぞー。カーネとアイリからもアドバイスをしてくれるらしいから、ちゃんと聞いて参考にするんだぞー!」

 

「「うん!!」」

 

「う~ん···。立ち直りが早いぞー。ホントに大丈夫かなぁー?」

 

「まぁ、前向きに考えるところはアンタに似たんだから大丈夫じゃない?」

 

「うっ!それを言われるとなー。でも、アイリの言った通り、デバフの訓練はしてなかったからやられちゃったなー」

 

「仕方ないんじゃない?アンタはデバフとか得意じゃないでしょうしね~。あたしも苦手だし」

 

「ま、いい経験にはなっただろうからなー。次はもっといい試合になるぞー」

 

 

 リオの方も立ち直ったようだね!あとはカーネさんとアイリさんからもアドバイスをもらえるから、それもあの子たちの成長に役立ちそうだね!

 普段は家事がダメダメなリオくんですが、ビシッ!と決める時は真剣に決めちゃいます。語尾が伸びてないのはそれだけ真剣だったんですね~。

 子どもの接し方というのは非常に難しく、こうすれば絶対OK!というのはありません。ほめて伸びる子もいれば叱って伸びる子もいるんです。その子がどういった子なのかをわからずに接すると思わぬ反発を食らう可能性もありますのでね。まぁ、大人もそうですけどね。


 さて次回予告ですが、練習試合の反省会が行われますが、そこで意外な事実が明らかになります。いったいどんな事なのでしょうね?


 明日から17日までは平日なので第12章が完結する水曜日を除き、夜21時頃に投稿します。お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ