12-17.ここは『現実』を知ってもらった方が今後のためにもなるだろう
本日も朝と夜に1話ずつ投稿します。
ただいま投稿してる場所は昨日大阪南港をお昼に出港した商船三井さんふらわあ様の『さんふらわあくれない』の船内です。別府観光港に停泊して下船までゆっくりとくつろぎながら投稿ボタンを押しました。
船旅はいいですよ~!
リオとアイリさんの魔法合戦は非常に見ものだった。
そんなエキシビジョンマッチを見せられて子どもたちも興奮冷めやらない中、カーネさんが帰ってきたんだ。
「おっ!?何やら楽しそうな事をしてるな?そして、こっちはリオたちの子どもたちだな!?」
「こんにちは、カーネさん。今日の朝に着きまして、さっきまでアイリさんにボクたちの子どもたちの魔法を見てもらってたんですよ。みんな、カーネさんに自己紹介してあげてね」
「うん!こんにちは。フユと言います。よろしくお願いします!」
「···ナツだよ。よろしく」
「わたしはリナよ!パパと同じで白銀竜なの」
「ぼくはケンです。ママと同じ青竜です」
「···ほう?なかなかしっかりしてるじゃないか!リオに似なくて良かったなぁ~!オレはカーネだ。リオから聞いてるとは思うが、かつてはパーティーを組んでたんだ」
「おい!カーネまでアイリと同じ事言うなぁーー!」
「はっはっはっ!リオの行動を見ていた者からすれば共通の見解よ!」
「兄さん?この子たちの魔法は先ほど見せていただきましたけど、とてもこの年齢で繰り出せるとは思えないほどでしたわ。次は武術を試そうと思うのですわ!」
「おお!わかった!じゃあ、疲れてないなら始めるが、どうだ?」
「わたしはパスさせてもらうわ。魔法専門だし···」
「じゃあ、おれたち3人でお願いできますか?」
「良かろう!では、3人まとめて相手にしよう。身体強化も使っていいぞ?全力でどこからでもかかってきなさい!!」
「「「はい!お願いします!!!」」」
3人とも魔力剣を展開し、構えた。しかし、少しも動くことはなかったんだ。冷や汗もかきだしたよ?
「···お兄ちゃん」
「ナツ、ケン···。思った以上に厳しいぞ」
「ほう?開始早々に気づくとは!さすがだな!ハルさんから教わったのかな?」
「···そうです。ぼくたちはハルママに教えてもらいました」
「やはりな。視線の動かし方や構え方がそっくりだな。そして、相手の力量を測る鑑定眼もなかなか!
···そして『厳しい』という感想。真意としては『まともに相手しては勝ち目がない』という事だな?そして、『まともに相手しなければ勝ち目がありそうだ』といったところか?」
「!!!ど、どうしてそこまで見抜くんですか!?」
「はっはっは!やはりか!!とんでもない子どもたちだな!この幼さでそこまで考えてるとはな!ただ、考えが顔に出ているぞ?そこはまだまだ子どもといったところだな。何度も死線をくぐっていると、ある程度読めるのだよ。
···これが『経験』というものだよ」
「···すごいですね。まだまだおれたちはそこまでできないです。だから!これからおれたちができるすべてを出します!よろしくお願いします!」
「うむ!遠慮せずかかってきなさい!!」
「では···、行きます!!」
フユが覚悟を決めて突っ込んでいく。その隣にナツが続き、ケンは翼を大きく展開して低空飛行をしだした。
まずはフユが飛び上がって上段から斬りかかり、ワンテンポずらしてナツが胴を薙ぐけど、両方とも腕の籠手で受け止められた!
でも、この一撃はフェイクだ。
このスキにケンが後方から襲いかかったものの、気づかれており、左腕の籠手で受け止めたフユを振り払った後にケンに向けて籠手を差し出して受け止めた!
振り払われたフユは受け身を取ったあと、今度は膝を狙って低姿勢で突っ込んでいった。
それもカーネさんには気づかれていて、蹴りをお見舞いしたその時!ナツとケンが軸足を思いっきり払った!!
「ぬおっ!?」
払われる瞬間にカーネさんは身体強化を使って耐えきった!若干冷や汗かいてるよ···。
「はっはっは!やはり身体強化なしでは勝てんな!とんでもない連携力だ。作戦もなしにお互いの動きの先を読んで動くとは!双子とはいえ、こんな連携は出来ぬよ。
···興が乗ってきた。こちらも全力で相手しよう。魔法もアリだし、なんならフユくんとナツちゃんはトランスを使用してもいいぞ!」
「兄さん。子どもたち4人は変身なる特殊能力が与えられてるらしいですわ。それで相手してもらったらいかがかしら?」
「おお!?そんな能力まであるのか!?ますます面白くなってきたな!リナちゃんも魔法を使って全力でかかってきなさい!」
「えっ!?1対4ですか!?···さすがにハンデがありすぎると思うんだけど」
「では、私も参加しますわ。2対4なら大人と子どもということで問題なくて?」
「わかりました。みんなもいい?」
「···ナツはいいよ。ラストはトランスしよう。変身してトランスって試してないし」
「ぼくもいいよ。変身した力をまだまだ試したいしね」
「わたしもいいけど、結界がもつのか心配だわ~」
「···すごい自信ですわね。···ちょっとこれは叩きのめした方が今後のためになりそうですわね」
「···そのようだな。子ども相手にちょっと心苦しいが、ここは『現実』を知ってもらった方が今後のためにもなるだろう。久々にオレらもコンビネーションを見せつけるか!」
「ですわね!準備はよろしくて?いつでもかかっていらっしゃいな!」
「わかりました!アイリさんもよろしくお願いします!みんな!いっくよ~!せーの!!」
「「「「エヴォリューション!!!」」」」
「これは···!なるほど、手加減はできそうにないな!」
「魔法防御もかなり強化されてそうですわね?でしたら、こちらも容赦は必要ありませんわね!」
「みんな、いくよ!おれたちの全力を見てもらうんだ!!」
先制はリナがドラゴンキャノンを放った!しかしアイリさんはノータイムで障壁を展開し、ドラゴンキャノンを上へ逸らしてしまった。
続いてフユとナツが分身で4人になり、カーネさんに真正面から突っ込んでいった!
しかしこの攻撃も、カーネさんが大斧を床に思いっきり振り下ろして衝撃波を発生させて行く手を阻んだ!そして、怯んだフユに突進し、大斧を横薙ぎに振ってフユとナツを吹っ飛ばしたんだ。
空中で倒れずに体勢を立て直したフユとナツは分身状態で8人で襲いかかっていたが、カーネさんの身体強化100倍に手も足も出ない状態だった。
そんな状況を打破しようと、いったん分身を解除して、フユとナツが合流した!
「「いっけぇーー!!」」
ここでフユとナツが雷属性の合体魔法をぶっ放した!!
「甘いわぁーーー!!」
なんと!カーネさんは持ってた大斧をフユとナツに向かってぶん投げた!!
放った雷属性の合体魔法は大斧に当たり、相殺されてしまった!そして投げた勢いのまま、カーネさんはフユに突っ込んで、強烈なパンチを食らわせて吹っ飛ばして気絶させてしまった。
吹っ飛ばされたフユに気を取られたナツの一瞬のスキを、カーネさんは見逃さなかった。すかさずナツに強烈な腹パンチを食らわせて、ナツも気絶してしまった。
一方、ケンはアイリさんをバックアタック!しかしこれも障壁で防がれ、その際にアイリさんは素早さを下げるデバフをケンにかけてしまった!
「な、なに!?体が···、重い!!」
「どうやらデバフをかけられた事がないようですわね?さすがにリオは子どもたちにかけるのはためらわれましたか···。この機会に覚えておくといいですわ」
そう言って腰につけていた大ハンマーでケンの腹を思いっきりぶち当てた!!
「ぐぅっ!!」
「素晴らしい防御力ですわね。この程度で済むなんて、竜気と身体強化だけだと無理なんですけどね」
ケンが吹っ飛ばされてしまったが、そのタイミングを見てリナが今度は氷の槍をアイリさんに放った!
しかし、この魔法も障壁でそらされてしまった。
「素晴らしいタイミングでしたわね。普通の相手なら攻撃をした直後が最大のスキになりますわ。···しかし、その程度の対策を何もしてないと本気でお考えになってるのかしら?」
「そんな!?貫通力に特化したわたしのとっておきよ!?障壁すら貫通させれるのに!!」
「確かに真正面で相手したらそうでしょうね。···しかし、当たらないように逸らすだけならそこまで頑丈な障壁は必要ありませんわ。アキさんから物理をまだ習ってないようですわね?知れば大した魔力を使わずにこの程度はできてしまいますわよ?」
「きゃ!!な、なに?あれ?ま、魔力が···、練れない!?」
「あなたもデバフを受けた事がない···。リオは優しすぎますわね~。魔法は撃たせることができなければいいのですわ。···それでも中程度未満だと撃てそうですわね?とんでもない子ですわ~」
アイリさんはケンとリナにデバフをかけて行動を大幅に制限してしまったよ···。アイリさんの本気って見たことなかったんだよね。リオからバフとデバフが得意って言ってたけど、こういうことだったのか···。
これがカーネさんとアイリさんの本気なんだ。しかも、まだ余裕があるようだよ?整調者時代だとこれ以上だったのか···。改めてすごい人たちだ。
アイリさんはすぐにフユとナツに回復魔法をかけた。リナとケンにかけたデバフも解除してくれたようだよ。
とんでもない訓練になっちゃったなぁ〜。
誰しも力を得たら使いたくなってしまいますし、使っている間は気分が高揚するものです。
力とは何も物理的でなくても権力もそうですね。
おごり高ぶった行動というのは非常に危ういものです。フユくんたち子どもだとその制御はほぼ不可能でしょう。
そこで、今回は力に溺れてしまわないようにカーネさんとアイリさんが本気で相手をして完膚なきまでに叩き潰しました。上には上があるという事を思い知らせて頭にのらさない様にするためですね。このあたりは親であるアキくんたちにはなかなか実行できません。どうしても手加減してしまうからなんですね。
さて次回予告ですが、完膚なきまでに叩きのめされた子どもたちにアキくんたち親はどのように接してあげるのでしょうか?これも親子愛だと思いますね。
次回は本日夜投稿します。お楽しみに~!




