1-6.夕食会、もしかしてバレた?
今日はかなり好調に書けたので、もう1話特別にお届けいたします!
決してストロング飲んで酔ってるわけではないですよ(笑)
ここから読み始めた方!この話の前に1話投稿してますので、まずはそちらからどうぞ~。
上演が終了し、ボクたちは夕食会の会場へ案内された。演劇を見て興奮しているボクとは対称的に頭を抱えてしまっているリオ。もぉ〜、あんまり様子がおかしいと逆に勘付かれちゃうよ?
「(リオ、言いたいことはわかるけどね。普段通り振る舞わないとリオが本人だと思われちゃうよ?)」
周りに聞こえないようにヒソヒソ声で伝える。
「(アキが言いたいことはわかるんだけど、気持ちの整理がつかないんだよぉ〜)」
「(もう〜、じゃあとりあえず感想聞かれたらスゴかった!ってだけで誤魔化してね。もし本人か?って聞かれても人違いだって言うんだよ)」
「(わかったぞー。もうヤケ食いして聞かれるスキを作らないようにするぞー!)」
ちょっと不機嫌だけど、やり方がリオらしいや。さて会場についたけど、そこそこ大きいバイキング形式みたいだね。入ったらニーナが声をかけてきた。
「アキさん!劇はどうでしたか?」
「スゴく迫力あって面白かったよ!演劇なんて初めて見たから興奮しちゃったよ」
「ありがとう!お客さんからの感想って直接聞くことができないから、聞けて嬉しいわ」
ニーナと劇についての話をしている最中、リオは黙ったままだった。まぁ、ボクが興奮してしゃべり倒してるってのもあるけどね。
しばらくしたら劇団長のタクトさんがやってきた。夕食会が始まるようだね。
「みんな!今日も上演お疲れ様!お客さんも大変満足してくれたようで、これまでの練習の成果が思う存分発揮されたことを嬉しく思うよ。
あと、知ってるとは思うが、今日ニーナが誘拐未遂にあってしまった。再度みんなに周知しておくが、劇団のテントから離れる時は複数人で行動してくれ!もしくは護衛団の誰かを連れていくようにすること。
一人でも欠けたら劇は成立しないんだ。その事をよく考えてくれ」
うん、劇団長さんの言うとおりだね。護衛がいるなら一緒に行動してもらえれば抑止にもつながるしね。
そして、劇団長さんは話をこっちに振ってきた。
「今日はこの夕食会に特別ゲストが来ている!ニーナを誘拐犯から救出してくれたアキさんとリオさんだ!2人とも簡単に自己紹介してもらえないかな?」
えっ?別にいいのでは?ボクたちはそこまで知ってもらうような人でもないんだけど···。でも断れる状況じゃなさそうだから当たり障りのないかんじで。
「皆さん、初めまして!アキと言います。これから世界中を旅しようとしてます。今日の演劇はとても面白かったです!また、こんな豪華な夕食会に呼ばれまして、ありがとうございます!」
こんな感じでいいかな?さて心配のリオは···?
「おう!オレはリオだー!アキと一緒に旅してんだぜー。夕食会ありがとなー!楽しませてもらうぜー!」
よかったぁ〜。なんとか気持ち切り替えてくれたんだね。このまま始まってくれれば食事に集中してくれるだろうから、ひとまずは安心かな?
「2人ともありがとう!それでは乾杯だー!」
「「「かんぱーい!!」」」
乾杯の掛け声とともに会場は大賑わいだよ。今回は立ち席形式のようで、他の劇団員からボクとリオ用に皿を1枚ずつ渡されたけど、リオは持てないんだよね。だからまずリオが指定した料理を皿に盛っていく。
あのー、リオさん?ボクの頭の上に乗って指示出すのはいいんだけど、よだれを垂らすのはやめてくれないかなぁ〜?
言いたいんだけど、さっきの動揺した様子を見てたから、今日だけは勘弁してやるぞ!リオの料理を近くのスタンドに置いてから、今度はボクの番だ。どれもおいしそうだね〜!
リオのいるスタンドにボクも料理を持っていって食事を始めると、ニーナと他の劇団員がやってきた。
「アキさん!せっかくだからアキさんの話を聞かせて〜!」
まぁ、気になるだろうね。創作魔法見せちゃったし、内緒にしてもらってるからそこら辺を避けた話がいいかな?
といっても、ボクがこの世界に来て5ヵ月だから、話せる内容もそんなにないんだけどね。とりあえずリオの拠点からここまでの話をすることにした。もちろん、レックスから逃げるシーン抜きで。
「スゴイですね!私達は劇団として旅をしてるから、少人数での旅なんて想像できないんですよ。ありがとうございます!今後の参考にさせてもらいますね!」
うん?どういう事?ボクの旅を劇のネタにするって事?いや、ちょっと、それは恥ずかしいよぉ〜。リオも、もしかしたらこんな気持ちだったのかな?
ニーナさんにボクの話をしたら今度は一緒に来た劇団員の人がリオに話を振ってきたよ。ちょっと酔ってるけどね。ただ、その質問はかなりヤバかったんだ!
「リオさんって白銀竜なんですよね〜?今日演じさせてもらった白銀竜の整調者もリオなんですけど、まさかご本人って事はないですよね〜?」
どうやらあの着ぐるみに入っていた2人のようだね。やっぱり本物のドラゴン族が目の前にいるから話が聞きたかったんだろうけど、その質問は困るんだよなぁ。リオ、どう返すんだろう?
「んぐっ、んぐっ!おう、その事かー!よく聞かれるんだけど違うぞー。同じ名前なんで、何度も同じような事聞かれてこっちも困ってるんだー!」
おっと!うまい回答だね。もしかして事前にある程度想定してたのかな?これで退いてくれるとありがたいんだけど、その回答の返しがさらに想定外に尖ってたんだ!
「そうなんですか〜?いや〜実は今回の演劇って演じさせてもらったピースメーカーのカーネさんとアイリさんから直接話を聞く機会があって、その話を基に台本を書いたんですよ〜。
その時にリオの話があって、『語尾を微妙に伸ばすクセがある、結構ドジで面白いヤツだった!』と伺いまして〜」
ブフーーー!!
それを聞いた途端、ボクとリオは思いっきり吹き出した!ヤバい!ほぼ予想が当選確実状態だよ!?
どうしよう!どうしよう!ボクはともかく、リオの顔が真っ青だよ!?確実にバレちゃったよ!?すると、聞いてきた劇団員さんが、
「って大きさ全然違うから本当に人違いでしょう〜?実は〜あのお二人、劇中にあったようにリオが何も言わずに去ったことを心配してましたね〜。
よく聞かれるって事はなにか消息のうわさもご存知かな〜?と思ったんですよ〜」
あ、危なかったぁ〜。もう、ビックリさせないでよ!リオはあまりの驚きで放心状態で浮いている。これはボクからフォローした方がよさそうだね。
「そ、そうなんですね。でも残念ながら人(竜?)違いですよ〜。ボクたちってもっと小さい時から一緒にいましたから」
「そうでしたか〜。まぁ〜これから旅されるんだったら、同じようなこと聞かれるでしょうからぁ〜、聞いてきた人に消息を知ってるか聞いてみてくださいね〜。
そしてカーネさんたちに会えたら情報を伝えてあげてやってくださいな〜」
「はい!有名な方だから、結構早く見つかるかもしれないですよね〜!」
「そうだといいねぇ〜。ごめんね〜。酔っ払いが邪魔しちゃって」
「いいえ!情報ありがとうございました」
ふぅ〜っ!なんとかピンチを脱したぞ。しかし、カーネさんたち心配してるんだね。これは早めに会いに行ってあげたほうがいいね。あとで場所を聞いて計画しちゃおう!
冒頭からとんでもないドッキリ仕掛けられちゃったけど、宴もたけなわ、お開きとなった。するとニーナさんが今日の宿について聞いてきたんだ。
「今日はどちらの宿取られてるんですか?」
「それが、どこも満室で宿無しなんですよ。どこか泊まれるところがないか相談したいんですけど?」
ココぞとばかりに宿泊の相談を持ちかける。すると、とんでもない回答が今度はボクを襲った!
「なら私のテントで一緒はどうです?ちょっと狭いけど、それで良ければいかがです?」
アキくんとリオくん、共にピンチを迎えました!
この作品では戦闘は少ないので、トラブルといえばこういったものになります。
ただ、勘違いや逃げられない系が多いので、どう切り抜けるのか?をお楽しみいただければと思います。




