12-11.余と契約して魔法戦隊になってよ!
仕方なく子どもたちにも情報収集に参加してもらう事になった。まぁ、ボクたちがついてるから大丈夫だとは思うんだけどね。
先日のバトルロイヤルで見せてもらった実力は本物だったから、それなりの相手だったら問題なさそうだけどね。
···さて、さっきのジーンと神様の話の中で気になる事があるので、ちょっと聞いてみよう。
「さっきの力を与えるのと命を守る神器って何なの?」
「おっ!そうだね〜。まずはこの腕輪···って!アキたちみんな着けてるぅ~!?」
「まさか、蓄魔の腕輪?ボクは別の外の理の者の方からもらって、あと3人は結婚祝いで神様からもらったんだけど?」
「そ、そうなんだ···。意外とメジャーだったんだなぁ~。···ってことは、この機能も知ってるんだね?」
「とんでもない量の魔力を蓄えて、自爆機能付きなんでしょ?使った途端に転移させられるらしいけど」
「じゃあ、説明不要だね!子どもたちも着けてもらって、何かあれば逃げて爆発させちゃえばいいから!」
「そんな物騒なものを子どもたちに渡すなぁ~!!」
「パパ!そんな事ないよ!自爆ってカッコいいよ!」
「···ナツもそう思う。爆発、最高」
「···えぇ~?、ボクと感性が違うのかなぁ~」
「ま、確かに安全ではあるでしょうけど、物騒だから爆発させないようにするのよ。···あたしも爆発させたくないけど」
「キーワードを言わなかったらいいだけだからね~。魔力を蓄えるってのは何かと便利だよ。後は力だね!なんと、変身する能力なんだよ!」
「···それってアキパパとパパがやる合体魔法みたいなものなのかしら?わたしもやってみたいなぁ~!って思ってたのよ」
「···すでにいるの!?···あ〜、面白みがなくなっちゃったなぁ~。余の変身能力は戦闘服に身を包んで戦闘能力アップって形なんだよね~」
「···ナニ、その戦隊モノっぽいの?···4人って中途半端だけど?」
「パパ?戦隊モノって?」
「悪の組織と戦う正義の味方5人組の事だよ。元の世界では子どもたちに人気なんだよ」
···バブル後の不況の時は製作費が削減されたのか、3人にリストラされた事もあったなぁ~。正義の味方も不況には勝てないっていう現実を子どもたちに見せつけたのはいけなかったと思うけどね。
「なんかかっこよさそう!リナ、ケン!いいよね!?」
「面白そうね!わたしはやるわよ!」
「ぼくも。パパみたいな変身って、憧れてたんだよね~」
「···はぁーー、まー、安全ならいいぞー。あんまり危険な事はさせるなよー」
「マカセテ!じゃあ、余と契約して魔法戦隊になってくれるね!?」
「ちょっと待てぃ!!そのセリフはダメだ!魔法少女じゃなくても、絶対にウラがあるぞ!契約って言うなら契約書出せ!!」
「契約書か~。ちょっと細かい字が多いから読むの大変だけどいい?」
「···元の世界での『見られたら不利になるけど、書かないと法律違反になるから読み飛ばされるようにしちゃえ!』作戦かよ。怪しすぎるわ!」
「アキは心配性だね~。大丈夫だよ!嫌になったら一方的に契約解除できるから。気軽に考えてもらったらいいよ!」
「だから怪しいんだって!元の世界での悪質な勧誘と同じ手口なんだから!」
「···パパ?心配してくれるのはありがたいよ。でも、おれたちはやってみたいんだ!」
「フユ···。本当にいいんだね?」
「うん!4人で力を合わせて頑張るよ!」
「···わかったよ。ジーン、よろしくお願いするよ」
「心配なのはよ~くわかったよ。じゃあ、キミたちにはこの変身機能付きの蓄魔の腕輪をあげるね!変身する時の掛け声は『エヴォリューション!』でいいよ!早速やってみる?」
「うん!じゃあ、みんな!いっくよ~!せーの!!」
「「「「エヴォリューション!!」」」」
···うん、まぶしく光るのはお約束なんだね。ボクたちもそうだけどね。魔法少女のように変身バンクが入って素っ裸になって衣装を着るって子どもでもさすがにマズいでしょ?
光が収まると、そこには肌にフィットしたバトルスーツを身に着けた4人がいたんだ!
···若干危ないような気もするけど、まぁ子どもの戦隊ごっこのようなものだからいいか。深く考えるとまずそうだ。
このバトルスーツは着替えを全く考慮していないため、ドラゴン族のリナとケンは背中の翼の根元まで服になっていた。普段は翼が引っかかるのでランニングシャツぐらいしか着れないんだよね。
そして戦隊モノだから、バトルスーツにはそれぞれ色が異なってたよ。どうも魔力剣の色のようなんだよね。フユは濃い青、ナツは緑、リナは黄色、ケンは紫だった。
···うん。思いっきり戦隊モノのカラーリングとしては微妙だなぁ~。リーダーは赤ってお決まりだったけど、この世界では関係ないか。知ってるのはボクだけだし。
「お~!?これが変身した姿かぁ~!かっこいいし、なんだか力があふれてくる感じがするよ!」
「···ナツも。もっと早く動けそう」
「へぇ~!なかなかいいじゃないの!翼があるから上の服ってオシャレができなかったけど、この姿ならいいわね!なんだか魔法制御も上手くできそうよ!」
「ぼくも、なんだか空をさらに自由に飛べそうだよ」
「気に入ってくれたようだね!もしピンチになったらこの変身を使うんだよ。ただ、変身中は魔力を多めに消費するから、長く変身できないからね」
「わかったよ!これでパパたちと一緒だね!今度はパパたちをおれたちが守ってみせるぞ~!」
「「「おーーー!!」」」
子どもたちは大喜びだったよ。まぁ、いいか。子どもたちだけで行動する事はあんまりないだろうからね。
グロー歴514年8月5日 晴れ
今日は子どもたちの戦隊変身の試運転を行うため、レイス郊外の森にやってきた。
ちゃんと使い方を知っておかないといざという時に困るからね。ボクたちも同行して見学する事にしたんだ。
「さ〜て!ここなら多少は暴れても大丈夫だね。さっそく変身してみようか〜」
「うん!みんな、いっくよ~!!」
「「「「エヴォリューション!!」」」」
「さーて、変身すると、それぞれの特性が強化か補助されるんだ。試しに武器を振ったり魔法を使ってみて!」
「おお?身体強化しなくても大剣が振れるぞ!?身体強化したら···!すっごーい!片手で振れちゃうよ!」
「···スピードが速すぎる。慣れるのにちょっとかかりそうだよ」
「うわぁ~!速く飛べるし、急旋回も思いのままだ。動きやすいよ」
「···はぁ〜、こんな少ない魔力で結構な威力の魔法を撃てるわ。魔力制御も完璧にできちゃってるわよ。これはいいわね〜!」
「ナツ!合体魔法やってみようか?」
「···うん。今なら簡単にできそう。せーの」
···雷魔法の合体魔法はとんでもない威力だった。放った二人はケロッとしてたので、魔力消費量が少ないのだろうね。
「それが合体魔法なのね!ケン!わたしたちもやるわよ!」
「うん、姉ちゃん!せーの!」
「···おー、おっそろしい威力だなー。これを完全に制御できてるし、黒魔力が発生しないって怖いぞー」
リオですら驚愕の威力だったよ。
···これは気をつけないといけないぞ?まだ心が成熟してないから、この力に溺れてしまう可能性が極めて高いよ。感情任せでぶっ放さないよう教育が必要だね。
「うんうん!みんな初めてなのにもう使いこなしちゃってるね~。素晴らしい戦闘センスだよ~」
「···リオ?これってもしかしたら、ボクたちよりも強いんじゃない?」
「···言うなよー。バレたら反抗期が怖いぞー」
「···お仕置きは本気じゃないとダメかも」
「あたしたちの親としての威厳がまたなくなっちゃいそうね~」
子どもたちの急成長についていけてない、ボクたちだったよ。
有名な悪質勧誘ネタばかりでしたね(笑)!なんでジーンは別の世界の神様なのにこんな方法で勧誘したんでしょうね?皆さんもおいしい話には必ず裏がありますからね!おいしいエサで釣り上げられないようにしましょうね~!
そして子どもたちが変身に憧れるとしたら戦隊ものですよね~!これもボツネタだったのですが、子どもたちが作者のごみ箱からこのネタを書いたメモを拾い上げて胸ぐら掴まれて脅迫···、いえ、熱烈に希望したので『仕方なく』登場してしまいました···。
リオくんもそうだけど、キミたちも一緒なんだなぁ~。これも遺伝なのか、ただの目立ちたがり屋さんなのかは作者にもわかりません(笑)!
さて次回予告ですが、ドタバタしたレイスの滞在を終えてついにアイム島行きの船に乗り込んで、優雅な船旅···、ではないですが、のんびりと過ごします。
久々ののんびり回ですのでまったりとしておりますが、次回をお楽しみに~!




