12-6.初めてやって来た異国の地
本日2話目の投稿です。朝に1話投稿してますので、先にそちらをご覧下さいね~!
グロー歴514年8月3日 晴れ
おはよう!今日はいい天気だよ~。
今日の朝食はボク特製のモーニングプレートだ!『何かよくわからないけどおいしい卵』を使ったスクランブルエッグは大好評なんだよ!
···リオが以前マネしたら『胃がスクランブル』になるスクランブルエッグを作って、ナナたちが早朝からうちに逃げてきたことがあったなぁ~。
さて、今日の昼にはエイテ帝国の首都レイスに着くよ。今回は船旅を経験してもらうために敢えて転移は使わずにアイム島へ向かうんだよ。久しぶりだなぁ~。
朝食を終えてテントを収納したら出発だ!
ケンもだいぶ長距離飛行に慣れてきたようだった。今日はリナが戦闘飛行ができるようにリオが鍛えていたよ。まだぎこちないけどもそれなりに飛んでたとボクは思うよ?
リオも『まー、魔法メインだから相手の攻撃を避ける事ができれば十分かなー?』って言ってたね。
そんな事しながら、ボクたちはレイスに到着したんだ。まずは入国審査だね!
そうそう、神様から全員にスマホをもらっちゃったけど、ボクと同様に身分証が『物理的に』スマホにインストールされてしまったんだよ。
だからボクたち全員の身分証はスマホのアプリで画面を提示するようになった。もちろん、決済も『モバイルアデリー』アプリなので、スマホでタッチ決済になっちゃったんだよ。
元の世界だと2万円が上限だったのに、こっちは上限ないんだよね~。まぁ使用履歴見れるし、家計簿機能付きで自動割り振りしたりもしちゃうので楽ちんに管理できるけどね。
「こんにちは!ご家族で入国かな?全員分の身分証を見せてもらえるかな?」
「こんにちは。ボクたちの家族と後ろの家族は全員この形の身分証なんですけど···」
「···初めて見るなぁ~。···ん?そういえば昔にこんな板っぽい、変わった身分証を持った人がいたって聞いたことあるなぁ~」
「それってボクですね。9年前にも入国して船でアイム島へ行ったんですよ」
「そうなんだ!キミだったのかぁ~。···うん、端末に入国情報書き込めたし、特に問題なしっと。今回もアイム島かい?ゆっくりと滞在していってね~」
「ありがとうございます」
「パパ?おれたち初めて審査って受けたけど、どこの国でも同じようにやってるの?」
「そうだよ。さっきみたいにちゃんと入国の手続きをして出国の手続きをしないと、不法滞在や犯罪者って勘違いされかねないからね。他にも国によって審査の内容が違うこともあるんだ。ボクが行ったところだと、ご禁制の品を持ち込んでないかを別室で念入りに確認されかけたりもしたなぁ~」
「あー、コレクトの事だなー。さすがにもう復興してると思うけどなー」
「だろうね。ただ、あそこはボクたちの変身の力を得ようとしてたからね。あんまり近づきたくなくなっちゃったなぁ~」
「···パパたちの力が欲しいってどういう事?」
「簡単に言えば『戦争の道具』にしたかったんだろうね。表向きは『魔獣に対する防衛』って事にしてね」
「そんな!それって酷いわよ!?」
「ナナ、そういうもんなんだぞー。みんなオレたちみたいに強くはないんだからなー。だからどうしても自分が持ってない力が手に入りそうなら、あらゆる手段を使ってでも手に入れたいってヤツもいるって事だぞー。お前たちも十分注意しとけよー」
「ぼくたちも注意って、どうしたらいいの?」
「簡単に言えば自分の実力を不用意に多くの人に見せない事だね。もしくは圧倒的な力を見せつけて手に入れることはムリだって思わせることかな?こっちはあんまりオススメできないけどね」
「う~ん···。難しい話だね。でも、いずれおれたちもそうなる日が来るかもしれないね」
「まー、もしそうなったらオレたちを頼るんだぞー。ある程度はなんとかしてやれるからなー」
「うん!わかったよ」
「さて、難しいお話はこれで終わり!まずはホテルを取ろうね。どこ行っても、『まずは宿を確保!』だよ」
そう言って中心部に向けて歩き始めたんだ。
気を付けないといけないのは、ここは人がとても多いんだ。子連れだと迷子になりかねないんだよね~。
「みんな!人通りが多いからボクたちを見失わないようにね!···って、あれ!?ちょっと!?フユ!?ナツ!?」
「んあっ!?リナ!?ケン!?どこ行ったー!?」
「···早速迷子になっちゃったね。どうする?」
「こんな人通り多いとスマホを開くのも大変だよ~!とりあえずまずはホテルに行こう!地図アプリの迷子捜索機能があるからすぐに探し出せるしね!」
「しっかし、なんでこんなに人が多いんだー?9年前よりも酷いぞー!?」
「···なんか嫌ぁ~な予感がするのはあたしだけ?」
「···あれ?パパ!?ママ!?···見失っちゃったよ。どうしよう?」
「こんなに人が多いとどっち行ったらいいかわからないよ~。飛んで状況を確認する?」
「街中で飛んじゃダメってパパが言ってたでしょ!?とりあえず道の端っこに寄って、どこか空いている道に行くわよ!そこで場所を確認するわよ!」
「···うん。そこを右が一番近そうだね」
「ふぅ~。こんなに人が多いところは初めてだよ~。歩くのがこんなに大変だなんて、おれ思わなかったなぁ~」
「···ナツも。子どもが歩けるような場所じゃなさそうだね」
「これからどうするの?ぼくたちだけじゃ何にもできないけど···」
「パパたちはホテルに泊まるって言ってたわよね?だったらこの『ちずあぷり』ってので場所はわからないかしら?」
「···でも姉ちゃん?その『ちずあぷり』でホテルの場所の探し方って知ってるの?ぼく、まだ見方がよくわからないんだけど···」
「この前のダンジョンよりも複雑な表示になってるなぁ~。おれもパパからアクロの町を例で教えてもらったけど、ここってややっこしいよ。どれがホテルかもわからないよ」
「···これはマズいね。でも、パパたちには『迷子捜索機能』ってのがあるらしいから、パパたちから見つけてくれると思うよ?」
「だったら、こんなところにいても面白くないわ。せっかくだしわたしたちだけで観光しましょ!その途中でホテルがあったら合流できるし、できなかっても『あぷり』で見つけてくれるわ!」
「う~ん、そうするかぁ~。よし!じゃあ、海行ってみようよ!おれ初めて見るんだよ!」
「そうね!わたしも初めてよ。じゃあ、行きましょうか!多分こっちよ!」
「あっ!?姉ちゃん、待ってよ~!?」
おれたちは見知らぬ街で迷子になっちゃったんだ。でも、そんなに心配してなかったんだよね。
ということで観光という名前の探検だ~!どこに何があるか全くわからないけど、とりあえず進んでみよう!
そうして誰も通らない路地を進んでいくと、どんどん変な雰囲気の場所になってきたんだ。···あんまりいい雰囲気じゃなさそうだよ?
「姉ちゃん?ホントにこっちが海なの?なんか怖そうなところに来ちゃったような気がするんだけど···」
「あれ~?おっかしいわね~?こっちのような気がしたんだけどなぁ~。まぁ、いいわ!そこの木箱に座ってるおじさんに聞いてみましょ!」
リナのカンでやってきたんだけど、なんだか嫌な予感がするよ?大丈夫かな?今から聞こうとしている人って、なんか危なそうなんだけど···」
「すいませーん!海ってこっちであってますかー?」
「ああん!?なんだ?このガキは?ここはお前らが来るような場所じゃねぇぞ!とっとと帰りやがれ!!」
「ちょっと!?道を聞いただけなのになんでそんな言われ方しなきゃならないのよ?道を教えてよ!」
「うるせえガキだな!!···んっ!?お前、ドラゴン族か!?」
「そうよ!それが何か!?」
「へっへっへ~!こいつはいいな!!集落の外にいるドラゴン族なんてほとんどいないし、しかもガキときた!こいつは高く売れそうだなぁ~?」
「···は?何言ってるの?売るってどういう事?わたしにケンカ売ってるのかしら?」
「そうじゃねえよ。よく見るともう一人ドラゴン族のガキもいるし、奥にはかわいい獣人が2人か~!4人まとめればもっと高く売れそうだぞ~!」
「···話にならないわね。道を聞いた人を間違えたわ。さよなら」
「待ちな!タダで帰れると思ってんのかぁ!野郎ども!出て来いやぁーー!」
どうやらここは悪人さんたちが住んでた場所だったようだね。30人ぐらい出てきたよ。
「へっへっへ~。さあ~、嬢ちゃんたち。おとなしくしていれば手荒な真似はしないからよ~。暴れてキズついたら価値下がっちまうからなぁ~」
「···はぁ~~。これは聞く人を選ばなかったわたしのミスね」
「姉ちゃん、この人たちはやっちゃっても大丈夫そうかな?」
「そうね~。私もちょっと怒ってるから、少しだけ晴らしましょうか!フユ、ナツ?付き合ってくれる?」
「「いいですとも!」」
迷子になった子どもたちがたどり着いてしまった先はギャングのアジトでした(笑)!
さっそくフユくんとナツちゃんのトラブルエンカウント率上昇の能力が発揮されてしまいました。
ただ、実際のところはアキくんほどひどくはないんです。でないと子孫が大迷惑です(笑)!今後強い孫とかが出てくるとは限りませんのでね。これもある意味呪いだよなぁ~。神様公認ですけど。
さて次回予告ですが、ギャングたちを相手に子どもたちが大暴れしますが、まぁ結果はわかりますよね?
アジトの中に踏み込むと、そこにはとんでもないものがありました。そこでナツちゃんはフユくんもビックリの提案をします。アキくんもリオくんですら考えもしなかった事実とはなんだったのでしょうか?
明日も朝と夜に1話ずつ投稿しますので、お楽しみに~!




