12-3.アキたち、親としての威厳を取り戻す?
本日からGW後半戦ですね!本作も6日まで朝と夜に1話ずつ投稿しますよ~!
サイン会兼握手会という名のバトルロイヤルは、開始15分で集落のドラゴン全体の7割を子どもたちだけで殲滅してしまうという、無双状態になっていた。
「リオ?あの子たちってここまでできちゃうんだね···。何度か連携して魔獣退治はさせてあげたけど、まさかドラゴンの集団相手で無双するとは思わなかったよ」
「確かになー。まー、みんなリナとケンにメロメロだったから本気で襲えないってのもあるだろうけど、これはオレも想定外だぞー」
「···私も。あの子たち、お互いに全く合図や指示出さずに理想的な動きをしているね。···これは私たちではマネできないよ」
「それって生まれた時からず~っと一緒だったのと双子同士って事もありそうよね~。ホント、冒険者パーティー組めば最高じゃないかしら?まだ幼すぎて登録は2年後以降だけどね。バランスは非常にいいと思うわよ?」
「まぁ、登録するかはあの子たちに任せようね。···ボクたちの出番はなさそうかな?」
「まだ親父たちが残ってるからなー。あいつらも全力全開で戦ってるから、そろそろ魔力や体力が切れる頃だと思うぞー」
「···うん。動きにキレがなくなりつつあるね。···そろそろ私たちも準備しようか」
「そうだね。さすがにボクたちの出番がないってのは親としての威厳の問題でもあるからね。リオ?準備はいい?」
「おう!オレたちのかっこいいところを見せてやるぞー!」
「はあっ!はあっ!あ、あとどれぐらいだ!?そろそろおれも限界だよ···」
「はあ、はあ。ナ、ナツも···。集団はほぼ殲滅できたけど、まだ残ってるね」
「はあ、はあ。そろそろわたしも魔力が底を尽きそうよ···。やっぱりわたしと同じドラゴンなだけあって、耐久力がとんでもないわね···。最初の1発が決まりすぎちゃったから、後半は厳しくなっちゃったわ」
「はあっ、はあっ。ぼ、ぼくも···。思ったより後半は粘られちゃったよ···。でも、上出来じゃない?ここまで倒せるなんて、ぼくは思ってなかったよ」
「そうね···。ここまでわたしたちが連携できるなんて思わなかったわ···。でも!最高に楽しかったわ!」
「うん。おれも楽しかったよ。魔獣相手も楽しかったけど、ここまで連携できるとは思わなかったし、これだけの戦果を上げれたのは嬉しいよ。···続けるならトランスしてもいいけどね」
「···ナツも。ドラゴン相手にこれだけやりあえたのは楽しかった。トランスする?ナツはお兄ちゃんに付き合うよ?」
うん、よくやったよ。まだちょっとリオパパの家族のみなさんが残っちゃったけどね。あとはおれとナツでトランスして倒れるまでやっつけるか!
そう思っていたら、横にパパたちがやってきたんだ。···え?もしかして、残りはパパたちがやってくれるの?
「フユ、ナツ。よく頑張ったな!まさかここまでやれるなんて思ってなかったよ。···でも、もう限界だろ?ここからはパパたちがやるよ。少しはかっこいいところも見せないとね!」
「···よくがんばった。私もビックリだよ。あとは任せて、ゆっくりと見てて」
「リナ!ケン!よくやったぞー!もっと痛い目を見せてやっても良かったけどなー。ちょっと手加減しすぎだぞー?まー、あとはオレたちの出番だぞー」
「よくやったわ!次はあたしたちが頑張るわ。あんたたちはゆっくりと見てなさいね」
そう言ってパパたちは集落の残った皆さんの前に立ちはだかった!
「さすがはワシの孫たちだ!まさかここまで強いとはな!これで狩りはさらに楽しみになってきたぞ!」
「ここに住むわけじゃないからなーー!!そんな事は絶対にさせないぞーー!!」
「リオー!?どうやったらこんなかわいい子がここまでの強さになるんだー!?信じられないんだけどー!?」
「そうだよ!!瞬間的にはオレたちを軽く超えてるよ!?最初にやってたら確実にオレたちが負けてるよ!!」
「···ちょっと怖いんだけど~。まだ子どもなのにここまでの強さだなんて、これから成長したらとんでもない事になりそうだよ~!」
「恐ろしいほどの強さね~!若い時のお父さんを超えてそうだなんて!!でもリオくんが出てきたって事は交代して相手になるって事ね!母さんも前回から気合入れて狩りに出たりもしてるから今回はやられないわよ!さあ!かかってらっしゃい!」
「アキ!最後の仕上げをするぞー!二度とこんなバカな事を考えられないようにしてやるぞーー!!」
「ちょっと最後の部分が物騒だけど、概ね了解だよ!せーの!!」
「「インテグレーション!!!」」
パパとリオパパが叫ぶと、とてつもない光が広場を埋め尽くしたんだ!光が収まると、そこには白銀竜のかわいい着ぐるみを着たパパが立っていたんだ!
これが合体魔法!!パパとリオパパしかこの世界で使うことができない究極の創作魔法なんだって!!その力は大魔王に匹敵するほどだそうだよ。おれがこれを見たのは2回目なんだよ。
パパはあんまりこの合体魔法を使いたがらないんだ。『これは最終手段で奥の手なんだ。そう簡単に使っちゃいけないし、使い方によっては災厄を引き寄せるから使いどころが難しいんだ』だって。
ここは使いどころさんだったんだね!時間制限付きらしいけど、この状態のパパは無敵だ!
一方のママはナナママとコンビで動くようだね。ナナママがママに特製のバフをかけることで、ママはとんでもなく強くなっちゃうんだよ!
今回はパパがリオパパの家族の皆さんを、ママが残りの集団を相手にするようだよ!
まずはママだ!まずは4丁の魔力銃から魔力弾を一斉に掃射した!すさまじい数を発射して土煙が周囲に舞い、その中へママが目で追うのがやっとってぐらいの速さで突っ込んでいった!
土煙で状況が全く分からないけど、鈍器で殴られたような重低音がたっくさん響いてきたんだ。
土煙が収まると、ドラゴンの集団は全滅していた···。ママは強すぎるよ···。おれたちでも結構時間かかったってのに、たった一人で残りすべてを片付けちゃったんだ。
そんなママにイアおばあちゃんが挑んできたんだ。イアおばあちゃんは防御力が特に高いみたいなんだよ。ママの攻撃があんまり効果がなさそうだったよ。
でも、ママは自信満々だった!武器は魔力剣2本だったんだけど、そのうち1本をしまっちゃったよ!?1本で相手するって事?
次の瞬間!ママの姿が消えた!えっ!?どこいったの?そう思っていたら、なんと!イアおばあちゃんの背後を突き刺していた!!
「うぐっ!?ど、どうして!?私の防御がこんなにあっさりと貫通されるなんて!?」
「···いくら固いといっても、こっちの剣の威力をそのままで細くしたら、貫通力は倍以上に高まる。···これまで攻撃していたら、剣戟みたいな『線』や魔法攻撃みたいな『面』に対しての防御は貫けなかったけど、『点』ならいけそうだったからやったまでのこと」
「さ、さすがね~。だからあの子たちもこれだけ強いのね~···。ガクッ」
「···大勝利、ブイ」
···ママ、すごい。おれだったら完全にあきらめていたよ。でも、攻撃しながら分析していたんだね!まだおれにはできないけど、いつかできるようになればもっと強くなって、もっとみんなを守れそうだよ!
一方のパパはリオパパの3兄弟とカトルおじいちゃんと戦っていた!1対4なのに、パパの方が押していたよ!
カトルおじいちゃんが攻撃してパパが避けると、その瞬間のスキを狙って3兄弟がほぼ同時に襲い掛かったんだけど、パパはモフモフな翼を大きく広げて魔法で障壁を展開したんだ!そこからカトルおじいちゃんはブレスを放ったんだけど、パパが前方に斜めに障壁を張って向きを変えてやると、ギアさんに直撃したんだ!
すごい!相手の攻撃まで利用するなんて、考えもしなかったよ!パパはあんまり戦いは得意じゃないし、ママの方が強いっていつも言ってるけど、変身したらとっても強いんだ!
そして!パパは最後に渾身の超必殺技を放つ気だ!モフモフな翼を大きく広げて青白く光り輝きだした!周辺の魔力を強制的にかき集めて両腕に集中させて一気にぶっ放すんだ!まさに流星が夜空で一瞬の輝きを放つようなその超必殺技の名は!
『「スターライトキャノン!!!」』
4人は抵抗できず、屋敷の方へ吹っ飛ばされていったんだ!パパの技はかっこいいよ!!とってもいい戦いが見れて、おれも、そしてみんな喜んでいたよ!
こうしてリナとケンのサイン会と握手会は参加者全員戦闘不能ということで勝手にお開きとなった。
そうそう!握手はおれたち4人だけやったよ!だから握手会は成立だね!パパたちとはハイタッチで勝利を祝ったよ!
楽しかったなぁ~!!またバトルロイヤルやろうね!!次こそはおれたちだけで殲滅するぞ~!!
親の威厳を維持するぞー!と気合い入れてバトルロイヤルに挑んだ親たちでした。
ただ、子どもたちはそんな親の頑張ってる後ろ姿を、何も言わなくてもよく見てるんですよ。
心配しなくても、アキくんたち親に対して、こどもたちはちゃんと尊敬しているんです。
いい親子関係ですよね~!
さて次回予告ですが、外泊をした事のない子どもたちのために、アキくんたちは近くの宿場町で泊まることにしました。もちろん!第7章で宿泊した混浴の温泉宿ですよ~!
ということで、子どもたちは初の温泉回です!湯煙ビームがあるから全年齢対象ですので御安心ください。
次回は本日夜に投稿します。お楽しみに~!




