11-11(番外編)暴れん坊4人組 ダンジョン攻略に挑む!
この番外編で第11章完結です。昼にネタバレ集、夜に設定資料集を投稿しますよ~!
グロー歴514年7月28日 曇
今日は子どもたちにダンジョンを経験させようと考えて、アクロ郊外にあるシーケンスダンジョンにやって来たんだ。
···前回はボクとリオで酷い目にあったから、ホントは行きたくなかったんだけどね。
ハルが『···せっかくそんないい訓練場所があるんだったら、連れて行ってあげないとね。そろそろ力もついてきたから頃合いだよ?』って、渋るボクに言ってきたんだよ。
まぁ、その通りだからね。一緒に行くことにしたよ。
今回はまず子どもたちだけで先行させて、親たちは少し遅れて後からついていく方針だ。昨日神様からもらったスマホにはみんなに地図アプリのオートマッピング機能がついてたし、みんなの位置情報がわかるから安心だよ。
ハルは探索も得意らしいし、今回はハルの言うことを聞いてれば、前回のように『すべてのワナを漏れなく踏む』といった事はないはずだろうね。
さて、ダンジョンに到着したボクたち。営業開始直後だったけども今日は閑散としていたよ。
「おはようございます!今日は親子でチャレンジですか?お子様でも安心して潜れますからね!楽しんできて下さいね〜!」
···この係員さんの言葉からしてワナなんだよなぁ〜。
さて、子どもたちはどうやって進んでいくかな?地図アプリとちーむッス!の会議モードで中継を見ながら思ったんだ。
今日はおれたちでダンジョンに初めて挑むんだ!ママから話だけは聞いてたけども、やっぱり話で聞くのと実際に感じるのは大きく違ったよ。
ここは魔獣が出なくてケガしないワナばかりなんだって。だから安心らしいけど、実際にワナにかかったらケガでは済まないよね?だから全部回避してみせるぞ!
でも、ワナってどうやって探すんだろう?ママはヒントくれなかったから、どういったものか観察して探してみせろって事かな?
いろいろ考えてると、ナツがおれたちを引き止めた。
「···ストップ。···何かある」
「ん?どこに?···おっ?床のここが少し高くなってるね?これって、もしかしてワナ?」
「···そうだと思う。でも、まだわからないね」
「ケガしないなら今回は踏んでみたら?ワナにかかるってどういうことか、わたしは1回経験しときたいかな?」
「え〜〜!?姉ちゃん!?本気なの〜〜!?」
「せっかくの機会よ!本番で引っかからなかったらいいのよ。それに、最初から全部回避したら面白くないわ!」
「じゃあ、これはわざとひっかかろうか?ナツ、いい?」
「···うん。これもいい経験」
「よ〜し!じゃあ、踏むぞ〜!」
おれは床の出っ張りを踏んでみた!···何も起こらないぞ?
「···あれ?何も起きないぞ?もしかしてハズレだったのかなぁ?」
「···なんか音が大きくなってない?」
「ホントだね···。なんだろう?」
ナツとケンが異変に気づいたけど、おれはまだ気づかなかった。この二人は結構敏感なんだよね。
すると···!後ろから通路いっぱいの大きな岩がこっちに向かって転がってきたんだ!
「まずい!!逃げろぉーー!!」
おれたちは全速力で走ったんだけど、岩は付かず離れずついてきたんだ!このままだとおれたちの体力がもたない!
そこでおれはとっさに思いついたことを試してみた!氷魔法で通路をちょっとだけ塞ぐんだ!
「これならどうだぁーー!!」
おれは壁に氷魔法を放った!横壁に氷が瞬時にできて、通路幅が少しだけ狭まったんだ。
ドーーーン!!
すると!岩は氷に引っかかって動きが止まったんだ!
「はあ、はあ、た、助かったぁ〜。これがワナかぁ〜。怖かったね」
「はあ、はあ、そ、そうだね。フユのおかげで助かったよ。ぼくだったら考えられなかったよ」
「···みんな、前を見て。ここにもワナがあるよ」
「はあ、はあ、こ、これって、油?あのまま走ってたら気づかずに踏んで滑って転んであの岩にぺしゃんこにされてたって事ね。わたしだったら絶対に引っかかってたわ」
「これは怖いね。次からはワナは避けていこうか?怖い思いするのは嫌だしね!」
「「「さんせ〜い!」」」
その後もゆっくりと慎重に進んでいった。先頭はナツとケンだ。二人ともワナに気付くのが早いんだよ。だから先に進んでもらって、おれとリナはついて行った。
だからって全任せにはしないよ?たまには前後入れ替えて進んだりもしたんだ。気づかないワナがあったら、すぐに後ろからナツとケンが教えてくれたんだよ。
すると、だんだんおれもどれがワナなのかうっすらとだけどわかるようになってきたよ。リナも同じだった。
昨日神様からもらった『すまほ?』っていう板に入ってる『ちずあぷり?』っていうもので、今おれたちがいる場所がわかるから、同じところを何度も通る事がないんだ。便利だね!パパはこういう技術がとても進んだ世界から来たんだって。どんな世界だったんだろうね?
途中にはなんだかおもしろいものもあったんだよ!タイミングよく進まないと、左右からなにかが入った袋のようなものが振り子のように左右に振れて邪魔しているところがあったんだ!
これは面白そうだ!リナは何度か下に落っこちちゃったけど、3回目にはクリアできたね!
うん!楽しいなぁ〜!こんな場所が家の近くにあっただなんて知らなかったよ。なんでパパは教えてくれなかったんだろうね?もっと早くココで遊びたかったよ〜!
順調に進んで、今はちょうどお昼ぐらいかな?ちょっとした広間っぽいところがあったから、そこで昼食にしたんだ。
今日の昼食はパパ特製のサンドウィッチだよ!パパの料理はなんでもおいしいんだよ〜!パパが言うには、元の世界ではそんなに料理はしてなくて、いつもお店で買って食べるか、お店で食べてたんだって。こっちに来てからいろいろ試しておいしくしたそうだよ。
リナとケンも嬉しそうに食べてたよ。···リオパパはたまにとんでもない料理作ってしまって、あまりにも酷い時はリナとケンとナナママまで泣きながらうちに逃げ込んでくるからね。
さて!お昼からも頑張って進むぞ〜!
おれたちは順調に···、というかかなりペースが上がってきたんだ。慣れてきたんだろうね!
もちろん、ワナは全回避だ!ず〜っとワナに集中するのはムリだから、4人交代交代で警戒しながら進んだんだ。
そうしたら、どうやらダンジョンの最奥に着いたみたいだった。目の前には宝箱っぽい箱が置いてあったんだ!
「もしかして、これが一番奥にあるっていう宝箱かな?」
「そうよ!やっとたどり着いたんだわ!あ〜、疲れたけども楽しかったわね!」
「姉ちゃんは元気だなぁ〜。ぼくはもう疲れたよ」
「···ナツも疲れたよ。中の物を確認して早く帰ろ」
「よ〜し!じゃあ、開けるぞ〜!···ん?ナニコレ?ただの棒きれだね」
「もしかしたら、入口に帰ったら何かと交換するんじゃない?重たいものとか、ここまで持ってくるだけでも大変だし」
「なるほどな〜!ケンの言う通りだよ。それじゃあ、コレ持って帰ろうか!」
「···お兄ちゃん、そこから入口に戻れるみたいだよ?···転移かな?」
「そのようね。これだけワナだらけなんだし、そういった物があっても不思議じゃないわね。帰りは楽させてもらうわよ」
そうしておれたちは転移で入口まで戻ったんだ。係員の人にさっきの棒きれを見せたらとんでもなく驚かれたよ。
「ええ〜〜〜っ!?きみたち4人だけで攻略しちゃったの!?しかも1日で!?は、速すぎるよ!?これは史上最速かも···」
「えっ?そうなんですか?面白かったからどんどん進めちゃったんだけどね。普通はどれぐらいかかるんですか?」
「何十回と挑んで2日がこれまでの最高記録だよ···。ズルもできないし、本当に奥までいっちゃったんだね。それじゃあ!これが記念品だよ!パパとママに自慢するんだよ!」
「「「「わ〜い!ありがとう!!」」」」
記念品はお揃いのバッジだったんだ。特に効果とかはないんだけど、4人お揃いってのが嬉しいね!
いやぁ〜、楽しかったなぁ〜!ワナについても勉強になったしね。ママがよく言ってた『今日もひとついい勉強になった』ってやつだね!
···そういえばパパたちがいないぞ?まだダンジョンで遊んでるのかな?
「わーーーー!?」
「ちょっとーーーー!!なんでハルが触るなって言ったところを触ったのよーーー!?」
「···子どもたちの方が完全に上手だったね。もう奥まで行っちゃって入口に帰ったみたいだよ」
「···見守るボクたちの立場がなくなっちゃったね。もう帰ろうか?転移で入口まで戻るよ」
「リオは帰ったらお説教よ!その注意力のなさを徹底的に叩き直してやるわ!!」
「ごめんよーー!触るなって言われても気になってうっかり触っちゃったんだーー!」
···ハルがいてもダメだったかぁ〜。ちょっとリオはうっかりしやすいからなぁ〜。
そうして転移で入口に戻ったら、記念品のバッジを胸につけて大喜びしていた4人がいたんだ。ボクたちが大変な目にあってるとは全く思っておらず、『楽しかった!連れてきてくれてありがとう!』って、満面の笑みで言ってくれたよ。
···ボクたちのプライドが涙目になった瞬間だった。
ハルちゃんが教えたトラップ回避の方法を忠実にこなしてしまった子どもたちでした。
4人協力するとスゴさを発揮してしまいますね。これにも理由はあるんですが、それは第12章で明らかになります。
一方のリオくんはうっかり属性がいかんなく発揮されてしまい、ハルちゃんのトラップ回避が無効化されてますね(笑)!パーティー組んでた時も同様だったので、アイリさんから怒られまくり、オルさんとネータさんからも呆れられ、カーネさんは笑ってました。このあたりのお話も書いてみたいですね~!
このお話で第11章は完結なので、昼頃にネタバレ集を投稿します。




