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【完結済・第6章まで加筆修正完了】アキの異世界旅行記 ~旅先でなぜか変なフラグ立ってトラブルに巻き込まれて···ホント困ってます~  作者: ぷちきゅう
第11章 嵐を呼ぶ幼児たち!涙目になる親たち!

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11-3.暴れん坊4人組の試練 前編

 今回は子どもたちの成長記録という事で、6歳半の時のお話なんだ。もうこの時には魔獣を倒せるようになっちゃったんだよなぁ~。



  グロー歴512年6月13日 曇

 

「じゃあ、行ってくるよ!ハル、あとはよろしくね!」

 

「···うん。任せて」

 

 

 今日もアキはお仕事だ。いつもの事だけど、学園でのお仕事の時の子育ては私とリオとナナでやってる。

 

 4人は本当に元気だ。私たちの教え方がうまいのと、本人たちの持っている才能のせいか、私よりも早く成長している気がする。

 

 ···ただ、気になることがある。アキにも話ししたけど、あまりにも身体能力が急成長過ぎる。だから、心がついていってないような気がする。

 

 強さは体ももちろんのこと、心も強くないといけない。

 

 けれど、それは見た目ではわからない。アキが言うには、たくさんの経験を積むことが大事って言ってたね。成功も失敗も数多く経験した方がいいって。

 

 だからアキは子どもたちが失敗しても怒ることは稀だ。怒ってるのはリオがほとんどだし、ある意味役割分担かな?私はお仕置き担当。どうも一番効果的みたいだから。

 

 今日は旅立つにあたって、4人がどこまで対処できるかを試すことにしていた。内容は

 

 ・魔獣退治(私が担当)

 ・魔法行使(リオが担当)

 

 まずは私の魔獣担当だね。アキが休みの日は私の腕が鈍らないように魔獣退治仕事を請け負っているんだ。状況によってはアキの転移で一緒に退治に出かける時もある。

 

 町の人は本当に喜んでくれた。今まではパスさんがやってたみたいだね。いなくなっちゃったから、その役目を私が今やっている。

 

 今日も訓練のために『そこそこ』なレベルの魔獣退治を請け負ってきた。今日は1人ずつ実力を試すよ。

 

 

「···今日は実際に魔獣退治をやってもらうよ。1人ずつね。連携はなし。フユとナツは魔力共有も切ってやってもらう」

 

「···え〜っと、ハルママ?それってかな〜り不利なんだけど?」

 

「···リナ、それは甘え。これから旅に出るにあたって、状況によっては連携が取れないこともある。そんな事言ってたら自分の生命が守れなくなる。まずは自分の身は自分で守る。そして、余裕があれば助ける。それができなかったら冒険者にも、旅行にも行けない」

 

「···うちのパパよりも厳しいなぁ〜。わかったわよ。なんとかしてやるわ!」

 

「···姉ちゃんは前向きだなぁ〜。ぼくはできるかなぁ〜?かなり不安なんだけど···」

 

「まぁ、どんな相手でも対応できるようになればいいってことだね!どこまでできるかわからないけど、おれも頑張るぞ〜!」

 

「···正直めんどくさい。ナツはさっさと終わらせてお昼寝したいな」

 

 ···うん。気合は十分のようだ(?)。じゃ、早速町の外に出ようか。

 

 子どもたちは産まれてすぐに身分証を作成しておいた。町民登録も済ませてるから、町の出入りは自由だけど、まだ子どものうちは親同伴じゃないと出ることはできない。

 

 今回は私だけ同伴だ。リオたちには今日は家事をお任せしている。

 

 ···料理だけはちょっと厳しいかもしれない。アキのおいしい料理に慣れてると、リオの料理は博打に近い。ちょっとだけ気が滅入る。

 

 

 ギルドから依頼された魔獣はこの森にいるようだね。

 

 ···今回の依頼内容は4人には伝えていないけど、相手はフィアーウルフの群れだ。1対多数の相手ができないようでは、いくら私たちがいたとしても厳しい。

 

 それに、どういった魔獣か?を聞いてこなかった時点で4人とも油断している。アキが言ってた『情報は大事だよ』の意味を深く理解していない証拠だ。

 

 さて、どうなるかな?油断していないって思ってる時点で油断している事に気付くかな?まずはどう対処するかを見せてもらうよ。

 

 

「···そろそろかな?まずは誰から行く?」

 

「じゃあ!まずはわたしよ!魔法で蹴散らしてやるわ!」

 

「姉ちゃん?気をつけてね?どんな魔獣が出るかわからないから」

 

「まっかせなさーい!」

 

 

 まずは自信満々のリナがやるようだ。さて、どう対処するかな?

 

 そう言っていたらフィアーボアの群れが出てきたね。まずは5体。どう対処するかな?

 

 

「出たわね!一気に蹴散らしてやるわ!」

 

 

 そうして放ったのは炎魔法。···うん。この時点で失格だね。森で炎魔法を使うことはオススメできない。生木でも高威力なら燃えるし、水分が多いから煙で見通しが効かなくなる。自分自身で不利な状況を作ってしまうのは味方をも巻き込みかねない。

 リオが炎魔法を使う時の注意点を言っていたけど、理解できてないようだね。

 

 まぁ、経験不足からくる失敗例だね。今回は私がいるからなんとでもなるけど、実際だと生命はないよ?

 

 

「うわっ!?ゲホッゲホッ!煙で見えなくなっちゃったわ!敵はどこに行ったの?」

 

 

 これもマズいね。敵を見失ったってことは自分の背後まで気遣う必要が出てしまう。こうなると注意力が散漫になって攻撃を受けやすくなる。

 

 予想通りフィアーボアはリナの背後に回っていた。そして背後からの突進を受けてしまった。

 

 

「きゃあ!痛あぁ〜!よくもやってくれたわね!お返しよ!!」

 

 ···今度は土魔法か。うん。その選択は間違いじゃないね。ただ、集中力が乱れて威力が激減している。その程度じゃ仕留められないよ?リオがいつも言っていた魔法制御が甘い欠点がここで露呈したね。

 

 ···なんとか5体倒せたね。リナは泣きながら戦ってた。さすがドラゴン族だから防御力が高いので、そんなに深手になっていない。まぁ、こんなところかな?

 

 

「···リナ。どうだった?」

 

「···最悪よ!思い通り魔法を放てないし、痛い目にあうし!なんで!うまくいかないのよ!?」

 

「···まずは選択した炎魔法が致命的。森の中では炎魔法はよほどの状況じゃない限り自分自身が不利になる。これはわかってくれたと思う。

 ···あとは魔法制御が甘すぎる。だから思った通りの魔法が放てない。リオがさんざん言っていた意味が、これでわかった?」

 

「···ええ。本当に痛い思いをしたわ。帰ってからパパにもっと教えてもらう」

 

「···うん。よくわかったみたいだね。フユ?回復してあげて」

 

「うん!リナ、よく頑張って倒せたね。次はもっと簡単に倒せるようにしよ!」

 

 

 ···この4人の絆は本物だ。十分に冒険者パーティーを組んだとしても、お互いの欠点を補えるだろうね。バランスはいいと思うよ?

 

 さて、次はフユかな?ポイントを変えてやってみよう。

 

 

「···次はフユ」

 

「はい!」

 

 

 ···さて、フユはどう出るかな?

 

 かなり感覚を研ぎ澄ませているようだ。ある意味正解だ。ただ、そればかりに注力し過ぎている。

 

 その状態だと味方の動きまで把握してしまうから、情報量が多くなってしまって処理しきれなくなってしまう。

 

 何事も程度が大事だ。さっきのリナの状況からそうならないように考えた結論なんだろうけど、それが思わぬ事態を引き起こすことについてまだ考えが至っていない。

 

 まだ接敵していない状況だから、そこまで警戒はしなくても大丈夫だ。身体強化で視力や聴力を強化している以上、魔獣を見かけてからでも遅くはないからだ。

 

 案の定、5分ほどで緊張が切れてしまった。人間の集中力なんて3分が限界だから、これでも保った方だ。通常は注意力散漫状態だ。そうじゃないと頭がパンクしてしまう。

 

 そんな状態でフィアーボアが6体も出てきてしまった。状況としては最悪だ。頭がムダに疲れ切ってるから、どのように攻撃していいかすぐに判断ができない。

 

 

「えっ!?く、くそ!うおおおお!」

 

 

 ···うん。自分から突撃なんて、相手からすればおいしい状況だ。しかも相手は群れだ。タコ殴りされちゃうよ?

 

 

「うわっ!ぐっ!くそっ!」

 

 

 ダメージは受けてるけど、都度回復魔法で治しているね。ムダが多い。まぁ、最初はこんなものかな?魔獣側も、いくらダメージを与えてもケロってしているフユを見て疲れ始めてきたのか、動きが緩くなってきた。

 

 

「今がチャンスだ!うおおおーーー!」

 

 

 ···うん。今回はフユのスタミナが物を言ったね。

 

 

「···フユ?どうだった?」

 

「はあっ!はあっ!な、なんとかなったけど、思ったとおりにいかなかったよ···」

 

「···うん。まずは敵の気配察知が早すぎる。身体強化しているのだから、視力強化で視界に入ってからでも間に合った。ムダに警戒しすぎたね。

 ···だから魔獣が現れても対処を考える余裕がなかった。あとは群れに突っ込むのは悪手。自らエサになりに行くようなもの。1対多数の場合は工夫して1対1に持ち込むか、大規模魔法で先制するのが常道だよ」

 

「···うん。そこまで考えられなかったよ。次は失敗しないよ!」

 

「···次を考える事ができなくなることもある。1戦1戦生死をかけてると考えないと、自分の生命が危険だよ?」

 

「···はい。ママみたいに冷静に状況を確認するよ」

 

 

 これでまずは2人試験をした。次はナツとケンだね。

 ハルちゃんのスパルタな教育方針をお届けしました。


 読んでて『幼児なのにやり過ぎじゃね?』って思われるでしょうね。作者自身もそう思いますよ。


 でも、この世界では死が非常に身近な存在なので、教えれる事がある以上は徹底的にやる!という考えが強いのです。

 ハルちゃんとしても魔獣に我が子がやられてほしくないという気持ちがあるからこそなんですよ。

 ハルちゃんというムチがあれば、アキくんというアメがあるんですね。バランスが取れています。


 さて次回予告ですが、後編はナツちゃんとケンくんの試練です。どのようにクリアするでしょうか?


 お楽しみに〜!

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