1-3.なんとか街にたどりつけたよ〜
グロー歴504年9月4日 曇
さらに翌日、元気いっぱい!魔力量満タン状態!になったので、改めてアーマチュア町に向けて出発だ!
魔獣レーダーで周囲の状況を確認しつつ、進んでいく。今日も身体強化2.5倍くらいを維持している。
ただ、一昨日までと比べて体がとても楽だったんだよね。どうやら命の危機まで追い込まれてしまった事と、超回復効果で魔力量と体が鍛えられたっぽいんだよ。
なんか某野菜っぽい人たちのようだなぁ。···もうあんな経験はゴメンだけど。
魔獣を避けているから途中でけもの道から逸れたり、茂みに隠れてやり過ごしたりと、某かくれんぼゲームのように進んでいく。
段ボールはないし、難易度はヨーロピアンエクストリーム超えてるけどね。発見されたら『ゲームオーバー=死』なんだし。
やっとの思いで、当初の計画で予定していた昼食ポイントである河原に着いた。あと6km、街までもう少しだ。
「やっぱりこの魔獣レーダーは反則だなー。近くにいてもこっちに気づいてるか気づいてないかまでわかってしまうから警戒心が削がれてしまうぞー」
そう、この魔獣レーダー、魔獣に近づかれた時に新たに気づいたんだけど、某かくれんぼゲームであったレーダーと同じく、魔獣がどこを向いてるのか?や、視界範囲や警戒度まで表示まで表示されたんだ。情報量が多くなると魔力消費量が上がっちゃうけど。
創作魔法はイメージが大事ってのはさんざんわかってるんだけど、過去にやったゲームの機能そのまま反映されちゃうんだよね。万能過ぎない?それだけ印象あるゲームでやり込んでたってのもあるけどね。
「確かにそうなんだけど、現状お互い戦力は無いに等しいんだから、当面は頼り切りになっちゃうよね。次の街で滞在中にもうちょっと魔法を創作したり、剣術が習えそうなら習って戦力強化した方がよさそうだね」
「そうだなー。となると、少し長く滞在するからまずは宿の確保、それからアキの身分証の登録、あとは仕事探しだなー。ある程度はお金稼がないとなー」
「お金って、ボク持ってないけどリオは持ってるの?」
「多少は持ってるぞー。ホントは大魔王討伐の褒賞金がたんまりあるはずなんだけど、受け取らずに拠点に戻ったからなー」
そうだった。リオはボクを救出するためにその場で貴重な『帰還の指輪』を使用して拠点に戻ったんだよね。
ということは、仲間に会えたら褒賞金がもらえるって事だよね?リオの褒賞金に頼り切るつもりはないけど、もらえるものはもらっといた方がいいから、いつかは仲間に会いに行きたいね。
「まぁ、街についてから考えようね。それじゃあ、そろそろ行こうか?」
「おう!さっさと街についてホッと一息つこうぜー!」
再び魔獣レーダーを確認しつつズンズン進んでいく。今回は魔獣が近づくことはなかった。あと1時間ぐらいで到着するかという時に、馬車とかが通れる街道に出ることができた!
ここまでくればひとまず安心だ。
そして無事アーマチュア街の外壁にたどり着くことができた。外壁を見た瞬間、緊張の糸が切れたのか、足に力が入らなくなってへたり込んでしまった。
「やっとたどり着けたよ〜。今まで気張ってたから一気に疲れがやってきたよ」
「まぁ、気持わかるぜー。ホントやばかったからなぁー。落ち着いたらとりあえず入街審査受けるぞー」
当たり前なんだけど、街に入るには審査がある。よそから犯罪者とか流れてきたらたまったもんじゃないからね。
でも、ボク身分証持ってないんだけど審査ってどうするんだろう?リオは「審査は任せろー!」って言ってるけど大丈夫なのかな?
夕方前の午後3時に到着したおかげで審査の列は短くて、ものの10分程度でボクたちの番が回ってきた。
「やあ、こんにちは。って、ドラゴン族を連れてるね?冒険者パーティー、にしては若すぎるけど···。身分証かパーティー証を見せてもらえるかな?」
気さくに声をかけてくれた審査官の人。やっぱり身分証の提示を求められたんだけど、リオはどうするのかな?
「おう!オレはリオだー!身分証ならこれだぞー」
って、リオの前に透明なスクリーンが登場したよ!?これがリオの身分証なの?ハイテク過ぎない?
「これはこれは!ハンティング家の方でしたか!こんな辺境にようこそお越しくださいました!検査などはございませんが、お連れの方はどういった方ですか?」
「アキはオレが保護した人間で、身分証がないからオレが後見人となって、ここで身分証を作ってもらおうと思ってるんだー。手続きはいけそうかー?」
「そういうことでしたら問題ないですね。申請は午後5時までですから、今なら間に合いますね!審査は以上になりますので、どうぞお通り下さい」
「おう!ありがとなー」
ほとんど顔パスだったよ。リオの身分証って魔法だったんだね。てっきりカードっぽいものかと思ってたんだけど。ってか、リオの実家って信用高いんだなぁ。
「リオ、さっきのが身分証なの?」
「ドラゴン族はこのタイプだなー。人型にならない限り、服なんて着ないから物を持たされても持ち運びができないからなー」
「なるほどね。そうすると、ボクはどうなるの?」
「カード型と魔法型が多分選べるぞー。どっちも財布代わりになるから、無くす可能性があるカード型はあんまりオススメしないけどなー」
「なるほど〜。そう言えば、発行手続きってどこでするの?」
「役所で行うんだぞー。だいたい街の中心地に近い場所にあるぞー」
「へぇ〜。てっきり冒険者ギルドっぽいところで登録するもんだと思いこんでたよ」
「何言ってるんだー?その冒険者ギルドが役所だぞー。手続きと仕事の斡旋をしてくれる便利なところなんだぞー」
···おおぅ。役所とハローワークがくっついた感じなのか。
確かによくある小説の冒険者ギルドって身分証を発行してくれたりするから、ある意味役所の役割もあるからね。
この世界ではその部分を効率化しちゃったって事か。まぁ、元の世界でも行政手続きはややこしいし待ち時間長いから、ワンストップで処理してもらえるならありがたいね。
「そうなんだ。じゃあ、まずは役所に行こうか!」
「ちょっと待ったー!まずは宿を確保するぞー。町中でキャンプするわけにはいかないからなー。まだこの時間だったら宿を確保してから役所行ってもまだ大丈夫だと思うぞー」
まぁその通りだね。町中でキャンプやったら怪しまれるし、住んでる人の迷惑になっちゃうしね。
「わかったよ。じゃあ、宿をさがそうか!」
「おうよ!人通りの多いところに宿はあるから、まずは大通りへ向かうぞー!」
リオと簡単に打ち合わせをしてボクたちはアーマチュア街に入った。結構大きな街のようだ。人間以外にもエルフやドワーフ、いろんな姿をした獣人たちが歩いている。
この世界では人種差別はほぼないらしい。
それは、かつて外の理の者たちの侵攻の際に一致協力して追い返したという歴史があり、その時の名残でお互いの長所を活かして協力してよりよい生活を目指そう!という事だそうだ。
元の世界の人たちにも聞かせてやりたいエピソードだね。
そんな事を思いながら大通りにやってきた。道の両側に商店や宿がそこそこあったよ。
さて、ここから宿探しなんだけど、またしてもここでトラブルに巻き込まれちゃうんだよね···。
なんとか街に着きました。
しかし!トラブルは街の中にもたくさん潜んでました!
アキくんとリオくんに襲い掛かる次のトラブルは何なのか?続きは明日の更新をお待ち下さい。




