10-17.新整調者内定!
本日2回目の投稿です。今日はここから読んじゃった!という方は朝に1話投稿してますので、先にそちらを読んでくださいね!
ボクたちがアイリさんの執務室に長距離転移した後すぐにカーネさんが帰ってきたんだ。
久しぶりにオルさんとネータさんに会えて、カーネさんはとても喜んでいたよ。なんだか同窓会みたいな雰囲気だね!
そしてあいさつを交わした後、アイリさんの執務室で情報交換と今後の方針についての話し合いが行われたんだ。
もちろん、ボクたちも参加させてもらったよ!
「改めて、ここに元整調者が全員集合できた。みなの無事を喜ぶとともに、大魔王ムーオが生きていた事について今後我々ができる対応について話し合おうと思う」
「しっかし、本当にあの野郎が生きていたとはなぁ~。確かにあの時に死体を確認できなかったから可能性としちゃあったってのはわかっちゃいたんだがなぁ~」
「あの時は雷に撃たれて消滅してしまった以上、私たちではどうすることもできませんでしたわ。神ですら倒したと思っていたぐらいですし」
「まっさかあのムーオがダミーだったなんてねぇ~。しかもたくさんいるみたいだし!そのうち1体をリオとアキくんで倒したんでしょ?」
「はい、ネータさん。···倒したといういうよりかは相打ちが正しいですけどね。でも、本体を叩かない限り骨折り損になってしまうのが嫌らしいですよね」
「そこなのだ!未だにヤツの目的が不明なのだ。複数のダミーを用意して何かを画策しているのは確実なのだが、いまいち目的がわからないのだよ」
「そうですね。ボクたちが旅先で確認できたのは次の5点です。
・ジスタ3国のコレクタで住民を殺そうとせず閉じ込めた
・ジスタ3国のベースを攻め滅ぼそうとした
・リーク砂漠の謎の塔で何かをしていた(リオが倒したはずの敵までいた)
・各地の魔物に魔玉を仕込んで強化していた
・ピムエム皇国の重要な魔石を強奪して皇国民の生活を崩壊させた
どれも一貫性がないんで、何を目的としているのかがわからないですね」
「ただ一つ分かっていることは、オレたちの邪魔をいっつもしてることだなー!」
「···リオ?今はそういう話じゃないよ?確かにそうなんだけど、ムーオの目的って何だろうね?」
「そりゃ、人類を絶滅させようって事だろー?オレたちが現役だった時は間違いなくそうだったからなー!」
「しかし、それは陽動だったと言ってたそうではありませんか?だとしたら、その目的はフェイクで、本当の目的があるのは間違いないのですわ」
「う~ん。こりゃどうにもならんなぁ~。目的が不明だし、居場所も不明。強力な部下が最低でも2名いるって事ぐらいなんだよな?」
「その情報だけだと私たちも動けないから、どうしてもその場しのぎの対応になっちゃうわね~。とりあえず私はオルと一緒に旅しながら情報収集って事でいこうかな?」
「そうですわね。アキさんたちも旅しながら情報収集をお願いしていますし、ピムエム皇国が全面バックアップしてくれてますので、何かしっぽが捕まえればすぐに対処に迎える体制を現在皇帝とともに構築中ですわ」
「えっ!?アイリさん、パスさんとそんな話をしていたんですか!?」
「そうですわ。アキさんのちーむッス!の魔法で逐次連絡を取り合ってまして、皇国からの情報をパス皇帝から提供していただいてますわ。ただ、それでも動きが全くつかめていないのが現状なのですわ」
「そうなんですね。ボクの魔法が活用されてるようで嬉しいですよ」
「そういえば、さっきからそのちーむッス!って魔法はアキくん以外でも使えるような話しぶりなんだけど?私たちも使えるのかしら?」
「それはアキさんが使えるように登録しないといけないのですわ。アキさん?オルとネータにも使えるようにしていただけませんか?」
「そう言われても、どうやって登録するかわからないんですよ。電話帳アプリにどうやって登録するか···、って!あれ!?登録されてるぞ!?」
「でしたらアキさん?オルとネータに使い方を教えていただけませんか?この二人の情報収集能力は桁外れにすごいので、大いに役立ちますわ!」
「わかりました!では後で教えますね!」
「なんだかおもしろそうな魔法ね!しっかりと使いこなして見せるわね!」
「おお!なんだかワクワクする魔法だなぁ~!頼むぜ、アキ!」
こうして元整調者とパスさんによる情報網の構築が出来上がったんだ。そんな話で盛り上がってたその時、みんなの頭の中に声が聞こえたんだ!!
『(エーレタニアに住む全ての皆さん、きこえますか···あなたの心に直接呼びかけています)』
「えっ!?ファ〇チキ!?こいつ直接脳内に···!じゃない!なんなんだ!?これ!?」
「アキは初めてだなー。これが神の神託だー。···ということは新たな整調者の内定だなー!」
···これって元の世界のSNSで昔流行ったネタじゃなくね?神様?どっぷりとボクの元の世界にハマってません?
『(ピンポンパンポーン!お知らせしま~す。本日、神は次代の整調者に『テリー』という名の人族1名を内定しました~。しかし、これは情報収集目的であって、世界に人が対処できないような危機が迫っているわけではありませ~ん。皆さんは普段通りの生活を送って下さ~い。ピンポンパンポーン)』
···なんじゃ?これが神託?どこかのショッピングセンターの呼び出し放送に似てるんだけど?話していたのは神様じゃない、若い女性の声だったなぁ。もしかして秘書か?よくわからん!
「···まさか元整調者が集合している最中に次代が内定するとはな。テリーという人物に聞き覚えはないが、神から引継ぎの話が当人にされてるだろうから、近いうちに訪ねてくるだろうな」
「そうですわね。とりあえず私たちの情報網の話をしておく事にしますか」
そう話していると、なにやら廊下が騒がしくなり、メイドさんが会議室のドアをノックしたんだ。···何かあったのかな?
「会議中に失礼いたします。テリーと名乗る人物が面会を求めておりますが、いかがいたしましょうか?」
「···早速やって来ましたか。これはあの神が仕込みましたわね?いいですわ。通しなさい」
···もう本人がやってきちゃったのかぁ~。あれだな?舞台袖で出番待ってる役者さんのように仕向けたんだろうな~。
そんなくだらない事を考えていると、なにやらハルの様子がおかしかったんだ。
「···どうしたの、ハル?何か考えこんじゃってるけど···」
「···もしかしたら、テリーって私の知っている人物かもしれない」
「···えっ!?そ、そうなの!?」
「···もし本当なら神様は人選間違えたと思うよ」
「···マジかぁ~。どういう思惑なんだろうね?」
ハルの心配は的中した!ボクが会話を終えたとたんにハルの姿が消えた!えっ!?どこに行ったの!?
すると、部屋の片隅にハルが剣を刺していた!!えっ!?どういう事!?
「···やっぱりあなただったか。久しぶりだね、テリー」
「···ふふふ。さすがはハル。お師匠のすべてを継承しただけのことはある」
「えっ!?い、いつの間に!?っていうかどうやって入ったの!?」
「普通に扉を開けて入ってきましたよ?おっと?ノックを失念してましたね。これは失敬···。私はテリー。次代の整調者です」
「···全く気付かなんだわ。次代の整調者は油断ならぬ者のようだな」
「···そうですわね。気づきませんでしたが、おそらくはメイドがドアを開けた瞬間に忍び込んだのでしょうね」
「う~ん、そうとしか考えられないかな?次代はオレたちと違って忍ぶ者なんだなぁ~」
「でも、情報収集にはいい能力ね!じゃ、私たちの情報を伝えて共有しておきましょうか!」
この人って、ハルの知り合い?でも、なんだか物騒な人のような気がするぞ?大丈夫かなぁ~?
新たな整調者はハルちゃんの知り合いでした!
神様もムーオのたくらみがいまいちわからないために情報収集に特化した人を投入してみよう!との判断でしたね。果たしてこれでしっぽが掴めるのでしょうか?
さて次回予告ですが、ハルちゃんとテリーさんのあいさつを終えた翌日の朝、出発前のオルさんとネータさんからびっくり情報がアキくんに知らされます!さすが情報収集能力が高い!ってものですよ。
どんな情報があったのでしょうか?
明日も朝と夜1話ずつ投稿します。お楽しみに~!




