10-6.止まない雨
グロー歴505年3月10日 雨
2日連続で雨になっちゃったね。天気予報アプリによると、今日の夕方までは雨予報だった。
まぁ、だいぶ南の方だからね。地球でいう雨季に近い状況なんだろうけど。
「ナナ、今日は飛べそう?」
「そうね〜。これぐらいの雨だったら大丈夫と思うわよ。風が強いとしんどいけどね」
「あっ、そうか。そこは考えてなかったよ。ちょっと待っててね。···あ〜、ところどころ積乱雲が発達してるなぁ~。雷雨になってる箇所もあるし、今日はやめとこうか?急ぐ旅じゃないし、延泊して明日にしようか?」
「···そんな事までわかっちゃうのね?アキの魔法って、ホントにスゴイわ〜」
「まぁ、スマホのアシストがあるからね。避けられる障害は避けた方が楽だし。じゃあ、今日はゆっくりしようか?先日の戦いの疲れもあるようだしね!ボクは食料を調達しておくね」
「···私もいくよ。一緒に行こうか」
「そうだね!いっぱい買っちゃおうか!」
「必要なものだけにしとけよー。無限収納カバンがあるからってムダ使いはダメだぞー」
「···リオは食べ切れないほどのおやつ買い込んでるじゃないの?」
「ちゃんと食べてるぞー!?ちょっとした息抜きぐらいはいいじゃないかー!」
「あの量がちょっとした息抜きなんだ···。ホント太らないのが不思議だよ」
そんなやり取りのあと、ボクとハルは買い物に出かけたんだ。···これって、デ、デートになるのかな?もう結婚しちゃってるけど。
まぁ、買い物って言っても小さな食料品店と衣料店だけなんだけどね。元の世界みたいにショッピングモールで買い物してフードコートでお茶して···って定番コースがエーレタニアではできないけどね。
短時間だったけども楽しくお買い物をしたよ!お茶は宿の酒場でジュースを一緒に飲んだんだ。
午後はのんびりタイムだ。ハルと一緒にお昼寝して、のんびりくつろいだんだ。
午後からは結構大荒れの天気になったよ。雷鳴るし、今日出発を見合わせたのは正解だったね!
時間もあることだし、今日もリオとナナに授業をした。少しだけ理解はしてもらえたようだけど、前途多難っぽいなぁ~。
グロー歴505年3月11日 雨
初めて天気予報アプリの予報が外れた···。
まぁ、あくまでも『予報』だから仕方ないってのもあるんだけどね。
雨雲レーダーを見ると、南東方向から連続して積乱雲が来てるんだよ。バックビルディング現象ってやつかなぁ~?
まぁ、自然現象には勝てないからね。今日も延泊しておこう。
夕方には止む予報だから、明日こそは出発できると思うけどね。
さて、今日もゴロゴロしておこう。
そうそう、ハルもナナもボクのスマホに入ってるマンガやアニメにハマッたんだよ。
今も小さなスマホの画面にリオまで釘付けになってるんだ。
いい暇つぶしになってるんじゃないかな?
グロー歴505年3月12日 雨
···おかしいぞ?今日も天気予報アプリの予報が外れたんだよ。
積乱雲は外れたけども、南東方向から連続して雨雲がやって来ている。
天気図を見る限り、ず〜っと気圧の谷に入ってるわけじゃないんだよ。局地的な降り方なんだよね。
しかも同じ場所で雨雲が発生してるんだよ。う〜ん···、怪しいぞ。
···あんまり考えたくないんだけど、人為的に降らせてるのかな?ボクたち以外の足止めされた商人たちが困りだしていた。
「リオ?これって何か作為的なものを感じるんだけど、どうする?」
「うーん···。あんまり厄介ごとには首突っ込まないほうがいいんだけどなー。ここから出ることが出来ないんだったら調査に行くのもアリだとは思うんだけど、オレたちに危害が加わるような事じゃないからなー」
「確かにそうだね。こういった事は冒険者の人に任せる方がいいかもね。···でもなぁ~」
「···アキ、これからエイテ帝国に行くんだから、そこのギルドに寄ったらいい。もし、この調査依頼があれば私が請ければ問題ないよね」
「···そうだね。そうするか。ナナ、これぐらいの雨だと飛べそう?」
「まぁ、この程度なら大丈夫ね。マズそうだったらすぐに降りるわ」
「じゃあ、出発しようか。ムリせずに行こうね!」
そしてボクたちは予想外の3泊した宿をチェックアウトした。まぁ、レジストで疲れ切ってたからいい意味で休めたよ。
防音魔法を開発できたし、リオとナナに少しずつ勉強を教えれたしね!
ただ、意外だったのはハルが勉強の飲み込み早かったんだよ。『···それってこういう事かな?』って、逆に聞いてくるぐらいだった。
···これも神狼族だからなのかなぁ~?
そんな考え込むハルもかわいいよ~!
さて、そんな事を考えてると30分ほどで雨雲から抜けた。ここからは天気は良さそうだね!
今日はチェックアウト時間ギリギリの午前10時に出発したから、あんまり移動時間かけられないんだ。キャンプなり宿に泊まるにしても早めにして、余裕をもたせてるんだ。
今日は気分変えてキャンプだ!そう言えば4人でキャンプって初めてだね。これは久々にこのセリフを言っておこう!
「ではでは~、今日はここをキャンプ地とする〜!!」
「おー!って、久々だなー、この決まり文句はー!」
「···アキとリオはいつもこんなノリでキャンプやってたの?」
「···でも、なんか楽しそうでいいと思うけど?」
「まぁ、気分を高めるおまじないみたいなものだよ。元の世界の、とある有名パーティーの旅でよく言ってたから、ちょっとマネしただけなんだけどね」
「へぇ~、そんなのがあったのね?あたしも悪くないと思うわよ」
「じゃあ、テント張ろうか!今日は鍋にするよ~」
「やったー!アキの鍋はおいしいからなー!」
「···リオ?最近そうやっておだててボクに料理を全任せしよう!作戦はやめようよ。本音がバレバレだよ?」
「···えっ!?な、なんでバレたー!?」
「そりゃ、もう1年近く相棒なんだからね。これまでボクが料理しても『おー、うまいなー!』だけだったのに、料理前にそんな事言い出したら気づくって」
「アンタは純粋過ぎるから、気持ちが顔や言動に出やすいのよ。私でもわかったわよ?」
「えーーー!そ、そうだったのかー···」
「まぁ、アンタのそういうところが魅力ってのもあるけどね。ほら!食後の食器洗いはあたしとやるわよ!ちゃんと適量の水魔法出してよ?」
「···わかったぞー」
ちょっと落ち込んじゃったか···。まぁ、苦手意識あるのは手を出したくないよね?ここは励まして少しでも前に進めるようにしようか。
「リオだったら肉焼きセット使った串焼きはすぐにできると思うよ?少しずつできるようにしようね~」
「おうよ!コツ教えてくれよなー!」
···う〜ん。立ち直りが早いのも良いところなんだけど、そこをカーネさんやアイリさんにイジられたんだろうなぁ~。
このお話は難産でした。
この雨をどうするかで悩んだんですけどね?トラブル回避が主眼のアキくんなのに、原因不明なところに自ら突っ込んでいくのもおかしいよなぁ~?と思ったその時にお話が止まってしまったんです。
まぁ、ハルちゃんが『依頼あったら請けたらいい』って言ってくれたのが突破口でしたね!ハルちゃんに作者は助けられました。
そして、ハルちゃんとナナちゃん込みで初のキャンプです!リオくんの拠点は半分キャンプのようなものでしたけどね。
さて次回予告ですが、エイテ帝国に到着した4人。早速ホテルをとって船の予約に向かいます。
ちょっとしたのんびり回ですね。ほほえましいやり取りをお楽しみに!
明日と明後日は朝と夜に1話ずつ投稿します!




