10-2.『ねんがん(?)の嫁を手にいれたぞー!』 ⇒ 〇してでもうばいとる!
「今日はリオが嫁を連れて帰ってきてくれた。この幸せなひと時を祝って、明日は久々にバトルロイヤルを開催することになった。
前回は大変『残念』な結果だったが···、今回こそは健闘するように」
···予想通りバトルロイヤルやるんだね。ナナには事前に伝えておいたけども、それでもこの展開についていけておらず、『どうして···、どうしてこんな事に巻き込まれちゃったのかしら?』というような顔になってたよ。
まぁ、ボクも前回はそうだったけどね。
濃すぎるんだよなぁ~、この集落の竜たちって。何かと勝負したがるしね。
そうそう、ハルにも勝負を挑まれてたね。リオが『そういうのは明日以降にしろーー!!』って追い払ってたけども、ハルはその場で快諾しかけていたよ。アブナイアブナイ···。
そんなこんながあって、今はまたしても肉肉祭り開催中だ。もちろん今回もビールはないよ。生肉ドーーン!は、さすがにナナもドン引きしてたから、肉焼きセットでたくさんこんがり肉を、ウルトラ上手に焼いていった。
ハルが肉串を食べる姿もかわいいなぁ~!
えっ?今日はノロケ過ぎだって?いいじゃん。新婚さんなんだから!思ってるだけで態度や口にしてないからいいでしょ?してたら嫉妬されるかもしれないしね。
「ところでリオー、ナナさんとはどういうキッカケで結婚する事になったんだー?」
ギアさんがリオに馴れ初めを聞き出そうとした。某新婚さんのバラエティ番組っぽい流れだね。
「あー···、実はよくわからんうちに結婚してたんだなー。どうしてこうなったのか、未だにわからないぞー。ただ、悪くはないと最近は思い始めたんだなー」
「···え?それで結婚できるの?だったらオレだってできるんじゃないのかぁーー!?」
ティガさんがリオの話を聞いて絶叫した。まぁ、あれはナナの勢いだったから、感情そっちのけだったしね。こういう夫婦もアリなんだなぁ~。
それ以降もリオは兄弟から質問攻めに、ナナはイアさんのマシンガントークになんとか応えようとするものの、撃沈されて真っ白に燃え尽きていた···。
今日のイアさんはハンパなかった。ボクでもムリダナ!
一方、カトルさんはボクとハルの関係について聞いてきたんだよ。
「アキくんはそちらのハルさんと夫婦になってるのか?さっき聞きそびれたが、いい雰囲気なので気になってな」
「そうですよ。まぁ、ハルのパートナーがナナで、ボクたちが結婚したからナナもリオと勢いで結婚を決めてしまったんですよ。だからリオが結婚したキッカケはボクになっちゃいますかね?」
「ふむ。そういう事か。リオが一番最後か、独身のままだと思っていたからな。元整調者という立場もあって、厳しいと考えていたが···。まさか最初になるとはな。縁というものはわからぬものだ」
「そうですね。ボクもハルと結婚するなんて、最初は思いもしませんでしたしね。でも、今は離れることが考えられなくなりましたよ」
「ははは!素晴らしい事だ!···今後もリオと一緒に旅を続けるのだったな?あんな息子で世話をかけてしまうだろうが、どうかよろしく頼む」
「そんな!頭を上げて下さい!ボクの方こそ、リオに助けられてるんです!こちらこそよろしくお願いします!」
「ははは!···リオは本当にいい仲間に巡り会えたのだな。···明日のバトルロイヤルが楽しみだよ」
···いや、それはちょっと勘弁してほしいんですけどね。
今日の寝床だけど、ボクとハル、リオとナナで別々に分かれて寝たよ。···壁がないから今日はイベントなしだよ。さすがに恥ずかしいしね。
テント張って、ボクとハルはいつものように一緒に抱き合って寝たんだ。リオとナナは竜の姿のまま寝ていたよ。
明日はめっちゃ疲れそうだから早く寝たよ。おやすみなさーい!
グロー歴505年3月8日 晴れ
今回も会場は中央広場だったよ。リオは今日は早めに起きていたんだ。やる気マンマンだね!
そうして4人で会場へ向かうと···、前回とは異なった異様な『殺気』が渦巻いてるような感じが、素人のボクですら感じられたんだ。
ハルは既にいつでも戦闘態勢に入れるようにしていた。ナナは雰囲気に飲まれて帰りたそうな涙目になりつつあったよ···。
そして会場に入ると···、一斉に集落の皆さんの頭の上に『!』が幻視した!全員前回とは違った本気を見せていたよ···。ボクも帰りたくなってきちゃったよ···。
会場には『リオの嫁争奪!バトルロイヤル 〜オレが本当の旦那だ!!〜』って書いてあった!
···だから殺伐としてたのか。皆さん狩りや戦いしか興味ないから奪っちゃえ!って発想なんだね?···そんな考えようだからダメなのでは?とは口が裂けても言えないよ!
一方のリオは前回以上にやる気だ!常にナナの前に立ってかばおうとしているよ。カッコいいね!ナナは顔が真っ青になってたね。当然か。
さて、開会のあいさつだ。カトルさんが今回もするようだね。
「皆のもの!!今日はリオの結婚祝いのバトルロイヤルだ!!お互い後先考えず死力を尽くして挑んで欲しい!リオたちのいずれかに勝った者はナナさんを奪う交渉の権利が与えられる!皆の活躍をナナさんにアピールするのだ!!」
「「「「うおおーーーーー!!!!」」」」
···話違うんですけど?全員襲いかかられるの確定なのね?しかもハルとナナ込みで。女性の竜が勝ったら家族や息子さんに紹介するってことね。だから『交渉の権利』なのかぁ~。
すかさず、リオがその後に続いたよ。
「お前らーーー!!全員ぶっ飛ばすから全力でかかってこいやーーー!!ナナはオレのもんだーー!!ハルも全力でやっていいからなーー!」
「···うん。腕がなるね。どこまでナナとやれるか試してみるよ」
「···あたし、生きてここから出れるのかしら?出れたら好きな事して楽しむんだ···」
ちょっとナナが現実逃避してフラグ立てちゃってるけど、ハルがサポートしてくれるようだ。
今回はボクとリオ、ハルとナナの2ペアVS集落の皆さんという、前回同様の超不利な状況での戦闘になるよ!ただ、今回はボクたちは蓄魔の腕輪の魔力が満タン状態だから、変身時間には余裕がある。
もちろん、超必殺技も解禁だ!魔獣がわんさか出ても逆に喜ばれるから気にせずに全力全開で相手するぞ〜!!
そして開始の銅鑼がドーーン!って鳴った。
「···ナナ、パターンHで。薙ぎ払う」
「私には指一本触れさせないでね~!」
前回リオに向かっていって酷い目にあった竜が、ハルとナナに向かっていった!
ハルは魔力弾強化でアウトレンジからの銃撃でまずは掃討し始めた!
そして、今回のメインディッシュはリオだ!皆さんが囲みだしてきたよ。前回一気に殲滅されたから、今回は慎重だね。
もちろん、簡単にやられないよ?こっちも始めようか!!
「リオ、いいかい?」
「おうよ!!久々に大暴れするぞー!!」
「了解!せーの!!」
「「インテグレーション!!!」」
眩しい光が中央広場全体を包み、光が収まると、着ぐるみを着たボクが立っていた!
さて、今回はどう戦おうかな?
白銀竜は『力こそすべて』の世界なので、略奪愛とかも当たり前です。
ですので、女性の竜も『わたしのために争うなんてやめて!』なんて恋愛ものの小説のお決まり文句もよくあります。
···まぁ、勝ったほうにコロっといってしまいますけどね!ドラマもへったくれもありません(笑)。
以前のあとがきで書いたように、恋や愛はあんまりないですね。政略結婚か幼馴染同士がほとんどで、愛ゆえに力づくで奪うってのがなくて、腕自慢で奪うのはあります。
リオくんの付き合う時間が0秒だったのも、白銀竜としては良かったんですよ。
そんなところに来てしまって後悔してしまったナナちゃんでした。覚悟は決めてたんですが、ここまでぶっ飛んでるとは思わなかったんですよね~。まぁ、言葉だけでは伝わらないものです。
さて次回予告ですが、バトルロイヤルのシーンをお届けしますが、今回はハルちゃんの大暴れっぷりをメインにお届けします!
結婚して精神がさらに安定して一段強くなっちゃったハルちゃんの活躍をお楽しみに!




