9-7.アキ、初恋という感情に戸惑い、そして至る!!
本日は土曜日なので2話投稿しますよ!
グロー歴505年2月25日 雪
ボクの怒りが天に届いたのか、今日は朝から雷が鳴るほどの大荒れの天気だった。
早朝に大雨から大雪に変わり、視界がどんどん悪くなっていったし、積もりだしてきたんだ。
急に冷え込んだから強烈な寒気が入ったのかな?今まで結構温かかったから、気温差が大きい分だけ荒れてるようだね。
そんな冷え込んだ朝になってしまったけど···、ボクとハルはぬくぬくとしていた。
···そう、昨日ハルがボクに抱き着いてそのまま寝ちゃって、完全に密着状態でベッドでふとんに入ってるからなんだ。
ハルはとっても温かくて、とってもいい香りがしていて、ボクはこれまでにないほどリラックスして寝ちゃったんだ。
おかげで今日のボクは気力体力ともに最高な状態だ!なんだか今日はバブル時代に有名だった某CMのように24時間戦えそうだよ!
えっ!?息子さんも気力体力ともに元気MAXで目覚ましい成長してないのかって?···秘密です。その情報いる?
「···ん~?おはよう、アキ。···今日はちょっと冷えるね」
「うん、おはよう、ハル。どうも大雪になってるみたいだよ。昨日はあれだけ暖かかったから、今日の天気は荒れそうだよ」
「···そう。今日は出発を見合わせる?···急ぐわけでもないから問題なさそうだけど?」
「そうだね。今日はここでゆっくりするか。でもその前に···」
ハルが起きて抱くのをやめてくれたので、動けるようになったボクはさっと入口のドアのカギを閉めた!!
これで叛逆者は大雪の中で過ごす事になるのだ!!ははは!見ろぉ!!人が埋もれていくようだ!!
そしてボクは今日も二人分の朝食を作って、ハルと一緒に食べた。暖炉も朝食を作る前につけたので、小屋の中は外とは別世界のように暖かかったよ。
昨日ハルの身の上話をしたことから、ボクとハルはこれまで以上に親密になって、会話が大盛り上がりで楽しいひと時を過ごしていたんだ。
···そんな楽しいひと時をぶち壊す音が玄関のドアからけたたましくしたんだよ。
···チッ!誰だよ!?ボクの楽しい時間を邪魔するヤツは!?わかってるけど。
「ちょっとーー!!なんで玄関のドアにカギかけてんのよ!?開けてよーー!!雪が積もってテントじゃ寒すぎるんだけどーーー!!」
「アキくーーん!昨日はごめんなさーい!!心から反省するから!!中に入れてーー!ハーーックション!!」
「アキー!?なんで今日もオレまで巻き添え食ってるんだー!?いくらドラゴン族で竜気が使えても、寒いものは寒いんだぞー!!」
三者三様の訴えをボクにしてるけど、聞く耳持たずに無視してハルとの会話を再開したんだ。
ただ、途中からハルが少し怒りだしてきたんだよ。『···もういいんじゃないの?』ってね。ハルは優しすぎるよ。
ボクの怒りはこの程度では収まっていないんだけど、ここはハルの顔を立てて3人を中に入れてやることにした。
「うぅ~~~寒かったよぉ~~~。ドラゴン族でも寒いものは寒いのよ···。アキ!ホンットにごめんなさい!もうしないからね!許して~~」
「ハーーックション!!うぅ~風邪ひいたかもしれないわぁ~。アキくん、ごめんなさい!ちょっとからかいすぎたわ···」
「アキー!なんで今日もオレは巻き添え食ったんだよー!?何もしてないだろー!!勘弁してくれよーー!!」
「···ボクはまだ怒ってるんだよ。ただ、ハルがもう許してやれっていうから仕方なく入れることにしたんだよ。朝食は勝手に作って。それとリオ、今日もゴメンけど、できればリオも止めてほしかったよ」
「えーー!?な、何もしてないって理由でオレはとばっちりを食らったのかー!?蹴っ飛ばされて小屋を追い出されたんだぞー!?そもそもこの小屋はオレの拠点なのにぃー!!」
「ハーーックション!これはさすがにマズいわ。完全に風邪ひいちゃったわ···。これも罰なのかしら?」
「うぅぅ~、ここまで怒ってるとは想定外だったわ。ちょっとやりすぎちゃったかなぁ~。でも、やった甲斐はあったわね。ハルの顔を見ればあたしがやったのは間違いではなかったわ···。ブルブル」
···反省してるのかしてないのかわからない3人を放っておいて、ボクはハルと一緒に朝食後の会話を楽しむことにしたんだ。
昨日のボクとハルのやりとりを覗いていなかったリオは『なんだか雰囲気変わったけど、何かあったのかー?』って聞いてきたけど、適当にごまかしておいた。
落ち着いた頃に今後の行程について話をしたんだ。まずはナナに飛んでもらってカイジの町へ行く。そしてカーネさんとアイリさんとパスさんが直接正式な会談をして、パスさんはここでお別れする。
パスさんは王都に向かう予定なんだって。その後は北回りで皇国へ帰る予定らしい。なにかあればちーむッス!で連絡するそうだよ。
一方のハルとナナはカーネさんとアイリさんという元整調者の有名人と会える事に感動していて、いろいろ話を聞きたいそうだ。
ボクが『もしかしたらカーネさんが腕試しを申し込んでくるかもね?』って言ったらハルは『本気で相手して、どこまで通用するか試す』って気合入っていたよ。
その後はアクロの別荘を見てゆっくり過ごしたら、当初はボクたちとは別れて行動するつもりだったそうだけど、特に目的地もないから流動的って事らしい。
ボクとしてはハルとここまで親密になったから、『もうちょっと一緒にいたいなぁ~』って気になっちゃってるんだ。
···こんな気持ちって、元の世界で独身生活38年の人生でもなかったよ。···なんだろうね?この初めての気持ちは?
···えっ?それは恋や愛だって!?なぜそこで愛ッ!?
そんなわけないでしょ!?会ってまだ2週間弱だよ!?···でも、そうなのかなぁ~?ボク自身がわかってないんだよ。
でも、今はハルと一緒にいるのがうれしいし、楽しいんだよね。これがボクの正直な今の気持ちだよ。
さて、小屋でのんびりと過ごしていると、雪は夕方前には収まってきた。明日の天気は大丈夫そうだよ。さっき天気アプリで確認したからね。
今日の夜は鍋にした。冷え込んでる時はやっぱり鍋が一番だよね!う~ん···、やっぱりみそが欲しいなぁ~。あったら味噌煮込みできるんだけどなぁ~。仕方ないけど。
そして、寝る時間になった。
また寝る場所の問題が発生するんだけど、ボクが言い出した言葉で3人が騒然としたんだ···。
「今日は悪いけど、ボクとハルはベッドで寝かせてもらえる?」
「···ナナ、ちょっとだけわがまま聞いてもらえるかな?」
「···まさか一晩でここまで関係が進んじゃうとは!···ハル、恐ろしい子!!」
「いいわよ~。私たちに気にせずに楽しんじゃってね~!···なんだかイラっとしてきたのはなぜかしら?そうなるように仕組んだのは確かに私だけど···。なんだかとっても悔しくなってきたぁ~!!」
「好きにしたらいいぞー。ってか、今日は巻き添えはなさそうだなー!安心して寝られるぞー。···って、ここはオレの家なのになんでここまで気を遣うんだー?」
「みんなありがとう。じゃあ、おやすみ。ハル、今日もよろしくお願いできるかな?」
「···うん、こちらこそ。···じゃ、おやすみ。アキ」
「···これは本当にとんでもない結果になってしまったわ。ちょっとからかっただけで、こんなはずじゃなかったのに···。どうして···、どうしてこんな事に···。私はまだここまでの関係になった人いないのに···」
「···う~ん、あたしもそろそろ何とかしないとなぁ~。おんなじドラゴン族でそんな関係って···、えぇ~、このお隣さんですかぁ~?···どうしよう?」
「ぐぉーー。ぐぉーー。う~ん、ムニャムニャ···」
···ボクたちはとても幸せな夜を過ごしたんだ~。
アキくんの逆襲は大雪の中で家に入れないことと、パスさんに対する精神攻撃でした!
こうかはばつぐんだ!?
アキくんは今まで恋や付き合うといった経験がないため、戸惑っていますね~。これも青春でしょうか?
さて次回予告ですが、もうすっかりハルちゃんがいないとダメな体質になってしまったアキくんですが、これまでと行動が一変してしまいます!これも恋か愛の力なのか···?
次回は本日夜に投稿します。お楽しみに!




