8-6.技術発展の闇
本日は夜勤明けでしんどかったので洲本温泉に来ております。
そう!温泉宿からの投稿です!寒い日の温泉は気持ちいいですねぇ〜。
ホテルの窓越しから見えた赤色の狼煙。どんな意味かはわからないけど、黄色や赤色は『警戒色』って元の世界では言われてたから、あんまりいい意味ではなさそうなんだよね。
すると、スマホにちーむッス!のチャットから通知が来た!
『何者かが魔獣を率いて攻めてきた模様。目的は不明だが、城壁での戦闘は少々劣勢の状況。現在各地から応援を向かわせている』
思っていたよりも状況は悪そうだね。赤色ってことはかなりマズそうだ。
気になるのは『何者かが魔獣を率いて』の部分だ。思い当たる人物は一人しかいないね。
「リオ、これってムーオかな?」
「その可能性が高そうだなー。目的がよくわからないけど、これは軍では対応できないぞー」
「どうする?ここで変身して城壁の外に乗り込む?」
「さっきパスが言っただろー?現地で乱戦になってたら大規模魔法は使えないから大した戦力にはならないぞー」
「じゃあ、パスさんに出撃許可をもらうよ。状況を把握してるだろうから、効率的に配置してくれそうだしね」
「そうだなー。ただし、10分しか動けないからムーオがいる場所をピンポイントで迎撃しないといけな···危ない!!伏せろぉーー!!」
「え?」
「···!」
「な、なに!?」
リオが叫んだ瞬間、ボクはリオに押し倒されて、リオがボクの上に乗る形で伏せた。ナナは動きが遅かったけど、ハルに引っ張られて伏せる形になった。
次の瞬間!窓から爆風が部屋の中に吹き荒れた!
な、なにが起こったんだ!?
リオがボクをかばう形で伏せてくれたおかげでボクは無傷だった。リオは竜気のおかげで多少のガラスやがれきが乗っていてもへっちゃらだった。
ハルもナナもなんとか無傷でやり過ごせたようだった。爆発が起こったのは、窓の外にいた鳥型の魔獣だった!炎魔法を放ってきたようだ。
さすがに城壁での戦闘では空を飛ぶ魔獣まで対応はできなかったようだね。トベルク上空にはかなりの数の魔獣が入り込んでいた。
避難を呼びかける鐘が鳴り響く中、ボクたちは目の前の魔獣を退治することを暗黙の了解で決定した!
『空飛ぶ魔獣から攻撃を受けたので迎撃します。上空の敵はボクたちに任せて下さい!』
『ごめんなさい!こちらは地上の魔獣で手いっぱいだわ!申し訳ないけどお願いね!』
よし!パスさんから許可が出たぞ!上空の敵を殲滅して手助けしようね!
「ボクたちは変身して一気に叩くよ!ハルはナナとで撃ち漏らした魔獣の迎撃をお願いね!」
「···うん!個別撃破は私の得意領分」
「多めに撃ち漏らしても大丈夫よ!あたしたちにまっかせなさーい!」
「ありがとう!じゃあ、リオ!お掃除を始めようか!」
「おう!今日も派手にいくぞー!せーの!!」
「「インテグレーション!!!」」
部屋の中で眩しい光に満たされて変身が完了すると、すぐに部屋を飛び出した!続いて青竜になったナナにハルが乗って後をついてきた。
さて迎撃するのはいいんだけど、撃墜すると街に被害が及ぶんだよなぁ。街の外に誘導するか、吹っ飛ばすか完全消滅させるか···
完全消滅って可能だろうけど、さすがに消費魔力量がとんでもなさそうなんだよなぁ~。
知ってるのは『全部光に変換』しちゃう究極技だし。
とりあえず、吹っ飛ばすか!12体だけだしね。風系の魔法ってのもいいんだけど、ここはアレを使ってみようかな?
そう考えて、ボクは『炎系』の魔法を使うことにした。
イメージはジェットエンジンだ。
飛行機の大型機だと、軽くふかしただけで大型トラックが簡単に吹っ飛んでしまうほどだからね!
300トン近くある機体を一気に加速させる力はハンパないぞ!
ちなみにエンジンのうち、ガソリンとディーゼルは爆発力で力を得るものなんだけど、ガスタービンは爆風で力を得るものなんだよ。仕組みが違うんだね~。
さてと、『魔力』という燃料を炎系魔法で爆発させて、爆風に方向性を持たせて魔獣に向かって放ってやった!!
すると、ブロアーで落ち葉を吹き飛ばすように面白いように遠くまで吹っ飛ばされていったよ。翼があるからなおさら爆風を受けちゃったみたいだね!
街の外まで魔獣を追い出したボクは、ハルたちと一緒に追いかけた。
この時点で残り4分。ボクたちだけで殲滅はちょっと厳しいから、ハルたちに半分以上お願いした。
さてと、ボクはいつも通り魔力剣で相手だ。魔獣も吹っ飛ばされた衝撃で目を回していたようで、動きが緩慢だったよ。
特に抵抗もなく討伐できてしまった。
ただ、変身時間が残り2分となったあたりで変身が解けてしまったんだ!
「えっ!?なんでこんな早く解けちゃうの?」
「アキ、やっぱり空気中の魔力濃度が薄いからみたいだな。ほとんど回復できなかったから早めに解けたんだと思うぞ」
「なるほどね。という事は、いつもと同じ感覚でやってるとマズいね」
「そうだな。ハルたちに頑張ってもらうしかなさそうだぞ」
「そういえばハルたちは?どこだろう?」
「右でやってるぞ。凄腕ってのは本当みたいだな。あと1体だけになってるぞ」
ボクたちは5体やっつけれたけど、ハルたちは7体も受け持ってもらった。
ハルたちは数をものともせず、ナナはどういう視界をしているのか、後ろからの攻撃すら避けていたよ。まるでニュータイプみたいかな?
そしてハルは魔力弾を放って牽制しつつ、ナナから飛び降りて魔獣にショートソードでトドメをさしていた!しかも一撃でだよ···。
墜ちていく魔獣からハルが跳ぶと、着地点にはナナがいるんだよ!とんでもない連携プレーだね!!
まるで変身中のボクたちみたいに、相手との呼吸がピッタリだよ。魔力共有魔法の副作用かな?
全て討伐が完了して、合流した。
「···ん。任務完了」
「久々に大暴れしたわね~。魔力がかなり減ったわ」
「それはおそらく皇国が魔動車の魔石の魔力回復のために吸収しているので、このあたりの魔力が薄いからっぽいね。だから、明日朝にボクたちの魔力が全快になってないかもね」
「これって、ちょっとマズいなー。連戦はムリだぞー」
「なるほどね!まぁ、空飛ぶ魔獣なんてそんなに数いないから大丈夫だと思うけどね」
「それってフラグになりそうなんで、やめてほしいんだけどなぁ~。さてと、どうやって帰ろう?」
「···アキの転移は?」
「魔力がほとんど残ってないんだよね。う〜ん、あんまり使いたくないけど、この腕輪をちょっとだけ使うか」
「その腕輪って何かの魔道具だったのね?」
「うん。『蓄魔の腕輪』って言って、事前に魔力を蓄えておいて、いざって時に回復させることができるものなんだよ。ボクとは別の世界の『外の理の者』の人からもらったんだ」
「便利ね〜。あたしも欲しいなぁ~」
「これ1つしかないからね。さて、ホテルに戻る分だけ回復させて···。じゃあ、みんな!ボクに捕まって!いっくよ~!」
転移でホテルに戻ってきたボクたちは、とりあえず被害の少なかった寝室でくつろぐ事にした。
ホテルの人は呼んだらビックリしてたね。しばらくして被害がなかった部屋に案内されたよ。
ところで、パスさんはどうだったんだろうね?チャットで聞いてみるか!
『パスさん。空飛ぶ魔獣は討伐完了です。そちらはどうですか?』
メッセージを送って1時間以上経っても返事はなかったんだ。忙しいのかな?
とりあえず夕食の時間になったけど、ホテルの厨房に被害が出たようで、食事はボクの保存食で凌いだんだ。
そして寝る時間になったその時!パスさんから連絡が来たんだけど···
『ゴメン。捕まった』
都市部で魔道具を大量に使用しているので、大気中の魔力が少なすぎて戦闘中に回収できる魔力量が極端に少ないため、変身時間が短くなってしまいました。
変身に限らず、トベルク周辺では魔力の回復が困難という実情が技術発展の闇となっています。
この点については現代社会でもエネルギー問題として同じですね。
さて次回予告ですが、捕まってしまったパスさんですが、ついにその正体すべてが明かされます!
明日は春分の日で祝日のため、宿をチェックアウトする前と、夜にそれぞれ1話ずつ投稿します。
お楽しみに!




