7-12.きのうはおたのしみでしたね!
本日は土曜日なので2話投稿しています。
ここは本日2話目!今日はここから読んだんだけど?という方は朝に1話投稿していますので、先にそちらを御覧下さいね!
グロー歴505年2月6日 晴れ
今日もいつもより早く起きた。
まずは朝のチェックだ!···うん、今日もなかったよ。いつまで続くんだよ、これ?いい加減にしてほしいんだけど。
リオはなぜかベッド横の壁にもたれかかるようにして寝ていた。···どうしてそうなるの?
最近、だんだん寝相が悪くなる一方だなぁ。昨日は押し潰されそうになったし、体調悪いのかな?とりあえず起こそうか。
「リオ、おはよう。もう朝だよ!そろそろ起きないと朝食食べ逃しちゃうよ?」
「···んんー。···あと50分ー」
「···じゃあ、ボクだけで朝食に行ってくるね。何か軽めのものを持ち帰ってくるよ」
「···んー。···なんでーどうしてー?」
···今日は一段と寝ボケてるなぁ~。どうしちゃったんだろうね?とりあえずボクだけで朝食に向かったんだ。そしたらとんでもない事になったんだ!
なんだかみんなボクを見て穏やかな目をしているよ?こういった視線はいつものことなんだけど、今日はヤケに見つめられているなぁ。そしたら隣のテーブルに座ったおじさんが、
「おう!おはよう、新婚さん!きのうはおたのしみだったなぁ~!しかもかなり激しかったようだな!?」
「···はあっ!?ち、ちょっと待って下さい!どういう意味ですか!?ボクたちは新婚じゃないですよ!?一緒に旅をしてるだけですよ!!」
「えっ!?昨日の夜、廊下までかなり激しい声が聞こえていたぞ?『動かないで』とか『のしかからないで!』とか『キツイ!キツイって!!』って、オレは隣の部屋だったけど生々しかったぞ···。かなり情熱的な夜を過ごしてるんだなぁ~とおじさんは思っちゃったんだけど···。違うのか?」
···昨日リオが寝ぼけてボクにのしかかってきた時の声が思ったより大きかったようだ。リオの体重がかなり重いからベッドがギシギシと音を立てていたのも、余計に変な妄想をさせてしまっていたんだな。潰されないように必死だったからなぁ。
···これは恥ずかしい!!隣の部屋でそんな声聞いたら確かに妄想しちゃうわ。今度防音の魔法を開発しよう!!
「···ご迷惑をおかけしました。ただ相方の寝相が悪いだけだったので、そういう事はしてないです」
「···そうだったのか?それは悪いことしたな。じゃあ、詫びとしてお前さんたちは北へ向かうのだろ?この先の街道で数日前に崖崩れがあって、狭い旧道しか通行ができなくなってるんだ。
お前さんたちは見たところ軽装の旅人のようだから旧道でも問題なさそうだけど、荷馬車が通る時とかはぶつからないよう気をつけろよ」
「情報ありがとうございました。今後の参考にさせてもらいますね」
「ははは!気を付けてあんちゃんと旅をしなよ!」
···恥ずかしい思いと引換えに街道の情報を得れたよ。通行止めかぁ~。そういった情報って地図アプリでは表示されないから、ありがたかったね。
ボクが部屋に戻ると、リオはまだ寝ていた。
···今度はベッドの下に潜り込んでいたわ。狭いのによく入ったなぁ~。
さすがにもう起きてもらわないとチェックアウトに間に合わないよ。
「リオ〜!!起きなって!もうすぐしたらチェックアウトの時間だよ!?」
「ううーん···。アキ···?えっと、もう朝かー?」
「···朝どころかもうすぐ9時半だよ。すぐに出発準備しないといけないよ!早く人型になって準備して!」
「···えーー!?もうそんな時間なのかー!?朝食食いそこねたぞー!」
「ちゃんと軽めの食事を持ち帰ってるよ。宿を出たら食べたらいいからね」
「あー、悪かったなー。すぐに準備するぞー!」
ドタバタでギリギリにチェックアウトしたボクたちは、宿場町の広場でリオの遅い朝食を終えてから出発したんだ。
「昨日の夜からおかしかったけど、体調悪いの?」
「うーん。夕食からなんかダルかったんだよなー。疲れが出たのかなー?」
「まぁ、ムーオとの決戦やバトルロイヤルとか、緊張の連続だったからね。···でも食事からって事は、もしかしてリオってアレルギーあるの?」
「なんだー?そのアレルギーって?」
「特定のものを食べたりすると体に変な反応したりすることだよ。かゆくなったり吹き出ものができたり、ひどい場合は命に関わったりすることも元の世界にはあったんだよ」
「それだと、もしかして海産物のなにかかなー?」
「初めて口にしたものが怪しいと思うけどね。思い当たるものってあるの?」
「···うーん、貝かなー?魚は食べた事あったけど貝は初めてなような気がするぞー」
「だったら、貝を避けたらいいんじゃないかな?次食べる時に気をつけてみようか」
「おう!そうだなー。ところで、オレが寝てる時って他に変な事なかったかー?」
「···寝相がいつも以上に酷かったよ。上にのしかかられてボク、潰されそうになったし」
「···ゴメンなー。意識なかったからワザとではないんだけど、悪い事したぞー」
「じゃあ、お詫びとして、今日もモフモフぬいぐるみフォームでボクを癒やしてね!のしかかってくるのは禁止で!」
「おう!お安い御用だぞー!貝食べなきゃオレは大人しいぞー」
「···普段でも結構酷い方だけどね。じゃあよろしくね」
そして街道を進んでいくと、昼過ぎに旧道との分岐点にやってきた。
親切な事に『この先がけ崩れで通行止!旧道へ迂回すること』と看板があったよ。
「アキ?ここから旧道に行けって酒場で聞いたんだよなー?」
「うん。あのおじさんの言った通りだったね。···引換えに恥ずかしい思いしたけどね」
「それは災難だったなー。···って、原因はオレかー!?悪い事したぞー···」
「もういいよ。じゃあ、旧道ヘ行こうか」
分岐点から旧道に入ってかれこれ1時間経った。
···おかしいぞ?反対方向から誰も来ないんだ。
さっきの分岐点まではそこそこすれ違ったのに、分岐点を過ぎてから1人もすれ違わないなんて。
もしかして道間違えた?
地図アプリを確認しても怪しいところはなく、魔獣レーダーでも魔獣の反応がなかった。
う〜ん。とりあえず、今の地点をブックマークしておこう。
そしてさらに1時間経ったけど、まだ誰にもすれ違わなかった。
地図アプリを見てみると···さっきのブックマークした地点より戻っていた!
「リオ!ボクたち、ワナにハマっているみたいだ!」
「な、なんだってー!?どういうワナなんだ?」
「進んでも進んでも戻ってしまっているみたいだ!無限ループにハマってる!」
「無限ループ?って今の状況みたいな言葉か?」
「そう、正しいルートを進まないと元の場所に戻されちゃうんだよ!」
「ということは旧道をハズレないといけないのか?」
「旧道が正しくない以上、そういう事になるね」
いつの間にハマッたんだろう?これは大変なことになったぞ!
この世界には回復魔法があるので、アレルギーはあまり強く考えられていません。
『具合が悪い?とりあえず回復魔法かけとくか!』って考えなんです。
極論を言えば、猛毒の食べ物を食べて死ぬまでに回復魔法をかけて食べる!なんて事も理論上は可能です。
猛毒の食べ物って『天に上るぐらい絶品の美味さ』らしいですからね。
回復魔法をかけながら食べるという猛者もいるのかもしれませんね。
もちろん!現実世界でやっちゃダメですからね!
さて次回予告ですが、知らない間に無限ループのワナにかかってしまったアキくんたちは、どのように脱出するのでしょうか?そして、ワナにかけた人物は誰なのか!?
明日も朝と夜に1話ずつ投稿しますので、お楽しみに!




