7-9.アキ、女の子にされてしまう!
見知らぬお姉さんによって混浴の大浴場から女湯へ連行されてしまったボク。
こんな展開は全くの予想外だよ!?ボクどうなっちゃうの!?
「う~ん、確かに男の子なのよね。でも、顔つきといい体つき···、胸がないことと下以外はどうみても女の子なのよね~」
「あ、あの~。ボク戻りたいんですけど···」
「ダ~メ!もうここまで連れてきちゃったんだから、あきらめなさい!なに、悪いことしないからね。ちょっとだけお姉さんに付き合ってくれればいいからね!そうそう、私はリアっていうの。あなたのお名前は?」
「···アキです」
「アキくんね~!いい名前じゃないの。男の子でも女の子でもどっちでもいけるわ!じゃあ、さっそく体を洗ってあげるわね!じっとしていててね~。そうそう、恥ずかしいところは自分で洗ってもらったらいいからね~」
「はぁ、それはどうも」
できることなら身体強化6倍で逃げだしたいんだけどね。女湯に連れてこられてから、他の女性もボクに大注目していて、ボクが男なのに構わず微笑ましくやりとりを見ていたよ。
···誰も止めてくれないのね。これはされるがままの方が波風立たなさそうだわ。仕方ない、あきらめよう。その方が精神的に楽だ。
特に変なこともされず、本当に普通に体を洗って終わりだったよ。リアさんはめっちゃ満足した顔で混浴の大浴場まで連れて行ってくれた。
大浴場ではリオがどうしたらいいのか、オロオロしていたけど、ボクの姿を見てホッと安心したよ。
「アキ!変なことされなかったかー!?」
「うん、普通に洗ってもらって終わったよ」
「ごめんなさいね~!お連れさんを勝手に連れ出しちゃって!···さすがにあなたは女湯に連れていけないけどね。アキくん!ありがとね~。お姉さん、楽しかったわ~」
「ホントにいったい何だったんだよー、あの女はー!」
「とんでもない人がいたもんだね。下手に抵抗したらマズいと思ってされるがままにしたから早めに解放してもらえたのかもね」
「それもどうかと思うけどなー。とりあえずもう出るぞー」
「うん。···はぁ~~、なんで宿場町の温泉だとくつろげないんだろうなぁ~···」
さんざんな目にあったよ。精神的に疲れちゃったので、酒場が開いたらすぐに夕食にして部屋に帰ってきてすぐに寝ることにしたんだ。
···事件は翌日の朝に起きたんだ。
グロー歴505年2月2日 曇
翌朝、日の出とともに起きた。いつもよりちょっとだけ早いかな?
リオはまだぐっすり寝ているね。上半身がベッドから落ちてるけど···、腰にこないのかな?あの態勢ってきつそうに見えるんだけど?
さて、ボクは先に着替えたりして出発の準備をしようとトイレに行ったんだ。···そこで違和感に気づいてしまったんだ。
···え?···あれ?···えっ!?···な、ないぃ~~!?
落ち着け落ち着け!!まずは深呼吸だ!スゥ~~、ハァ~~、スゥ~~、ハァ~~。よし、再確認だ!寝ぼけてないよな!?
···やっぱり、ないぞ!!
どういうこと!?昨日何かあったっけ!?変わったことと言えば、リアさんに女湯に連れ込まれて体洗ってもらっただけだよ!?
わけがわからないよ···。どうしてこんな事になったんだ!?とにかくリオに相談だ!!
「リオ!リオ!!起きて!!緊急事態だよ!!起きて~!!」
「んぁー?アキ?···どうしたんだー?そんなに慌ててー?」
「緊急事態だよ!!ボクの···、ボクのあれがなくなってるんだ!!」
「···あー、あれ?···あれってなんだー?」
「あれはあれだよ!とにかく起きてよ~!!」
「うーん、わかったぞー。ちょっと待ってろー」
そう言ってリオは寝ぼけながら起きだしてきた。
朝食前ぐらいにやっと目が覚めたようで、やっとボクの身に起きたことの重大さに気づいてくれた。
「···これは邪法の一種かもな。アキ、昨日変わったことといえば女湯に連れ込まれただけだよな?」
「そうだね。リアさんに体洗ってもらったぐらいだよ?でも、変なことはされてないんだけどなぁ~。至って普通だったよ。まぁ、連れ込まれた時点で普通じゃないけどね」
「···もしかしたら、その洗剤が何かの魔法薬だった可能性があるぞ。洗剤はこの宿のものだったか?」
「それはちょっとわからないなぁ。あの時はパニックになってたから、そんなところまでは気にしてないよ」
「それもそうか。でも、アキに邪法がかけられている可能性が高い。どうしてアキを狙ったのかがわからないな」
「邪法って、真の名が知られるとマズいって前に言ってたよね?ボク、しゃべってないんだけど?」
「邪法と一言で言ってもいろいろあるんだ。一般的には真の名が知られるのが致命的だけど、効果が非常に緩くて命にあまり影響がないものはかけられるものもあるらしい。もしかしたらアキにはそういった緩めの邪法をかけられた可能性がありそうだぞ」
「···どうしよう?解除する方法ってあるのかな?」
「こればかりはわからないな。ただ、命に別条がないものだと効果が長続きしない場合もあるんだ。仮にそうだとしたら、数日程度で元に戻るかもしれないぞ」
「そうなんだね。じゃあ、とりあえずしばらくは心は男でも『体は女の子』でいるしかないんだね?」
「そうなるな。朝食後にアイリに相談するぞ。今後の対策もしなきゃならんしな」
「うん、そうしようね」
なんてこった!本当に女の子になってしまうなんて!!どうしてこんな目に合わなきゃならないんだよ?これも神様が仕込んだトラブルなの!?勘弁してよ~~!!
···フフッ、いいおもちゃを見つけてしまったわね。
あの方から敵対する存在について聞かされたけど、まさかこんなに早く見つかるなんて思ってもいなかったわね~。
今回はちょっとしたあいさつよ。長く続かない呪いではあるけども、楽しいひと時を過ごしなさいな。また会いましょうね。
ついに···、恐れていた事態になってしまいました!
アキくん、ついに女の子に期間限定でされてしまいましたぁ~!!
男の娘の姿でいつも女の子に間違えられまくっていたのに、ついに間違えられても正しくされてしまったのです!これはアキくんにとって最大のピンチになってしまいました。···主に精神的に。
さて次回予告ですが、邪法には少し詳しいアイリさんにアキくんは涙目になりながら相談しますが、その結果はあまりにも残酷すぎたのです···。どうする!?アキくん!?
明日も21時頃の投稿を予定しています。




