7-8.アキ、女湯へ連行される!
レジストを出発して2時間ぐらい経った。そろそろ昼食の時間だね。
今日の昼食はレジストで仕込んでおいたこんがり肉だ!丸ごとはさすがに多すぎるので、ナイフで削ぎ落としてケバブっぽくして食べたよ。
この食べ方は結構イケた!在庫はたんまりとあるから当分は楽しめそうだよ。
そうそう、実はギアさんから肉焼きセットをもらっちゃったんだ。『今後の旅でリオが仕留めた魔獣を調理するのに役立つぞー!』ってことでいただいちゃったのだ。
さらにこの肉焼きセットは3本同時に焼けるのだ!
某狩猟ゲームだと10本なんてのがあるらしいけど、現実的じゃないね。
それに3本って事は鍋やフライパンを置いての調理もできるんだよ!これはありがたいね。
これでいつでもあのBGMを脳内で再生しつつ、楽しく料理ができそうだよ!キャンプにはもってこいだね。次の街で調味料を買い込んでおこう!
さて、昼食も終わって今日の宿をどうするかだね。
「リオ、今日の宿はどうする?」
「んー?近くに宿場町とかってあるのかー?」
「そうだね···。おっ?12km先ぐらいに宿場町があって、温泉マークがあるよ!ここにする?」
「そうだなー。ここ最近戦いっぱなしだったからちょうどよさそうだなー」
「じゃあ、今日は温泉で一泊だね!戦闘し過ぎてちょっと筋肉痛が辛かったから癒やすぞ〜!」
「おう!体を休めるのも大事だからなー!」
というわけで、今日は温泉だ!
そういえば、この世界の宿場町って温泉付きが結構多いね。火山活動が活発なのかな?
まぁ、ボクとしてはその恩恵にあずかれるからありがたいんだけどね。
気分がちょっと舞い上がってペースが上がったのか、2時間半で到着して今は午後2時前。チェックインにはまだ早すぎるので、先に食料を調達した。
ここの街道はピムエム皇国と大陸の東端にあるエイテ帝国を結ぶ主要な街道だそうで、物流が活発なんだ。
おかげで宿場町の食料品店は物価がレオナード王国よりも安かった。
だからといって大量に買い込むと他の商人に顰蹙買ってしまうから、そこそこ多め程度にしておいたよ。
ちょうど買い物を終えたらチェックインの時間になったので、フロントに行った。
「いらっしゃい!···って、えらい若いお客さんだね?親御さんは買い物中かい?」
「いえ、親はいなくてボクたちは二人で旅してるんですよ。ピムエム皇国に向かってるんですけど、1泊『ツイン』空いてますか?」
「え〜!その若さで旅をしてるのかい!?いやはや、スゴイ子どもがいるもんだねぇ~。そうそう、ツインだね?空いてるけど···。ツインで『本当に』いいんだね?」
「はい!男二人旅なのでツインでお願いします!」
「···えっ!?···これは失礼したね。じゃあ、これが部屋のカギだよ。1泊12000ジールだね」
「リオ、決済をお願い」
「おう!」
「どうも!そうそう、ここは温泉があるんだけど、混浴なんだよ。脱衣所は男女別なんだけど大浴場の湯船のみ混浴となってるんだ。
『間違い』が起きないように湯船にはロープが張ってるんだけど、それを越えないのがルールなんだ。
もし越えてトラブルがあっても自己責任だから注意して欲しい。
あと、湯船は結構深いからアンタたちだと厳しい箇所があるから、足元には気をつけて溺れないようにしてくれよ!」
「わかりました。ありがとうございます」
「じゃあ、ゆっくりとくつろいでくれなー!」
ロープかぁ。青森の雪深い山中にある温泉と一緒だね。硫化水素の臭いがするから硫黄泉だし、薄いエメラルドグリーン色の濁り湯だから混浴が可能なんだね。
立ち湯の混浴ってのも鹿児島空港近くの温泉にあったなぁ~。
これはなかなか立派な温泉だぞ!楽しみだなぁ~。
さて、荷物を置いてすぐにボクたちは大浴場にやって来た!
服をサッと脱いで突入だ〜!!
ふぅ~、極楽極楽。
えっ!?何度も言っておっさんくさいって?別にいいじゃん!ちゃんとマナー守って気持ちよく入ってるんだから!
温泉は楽しみながら心も体も癒やす場所なんだよ?楽しんだもの勝ちだね。
「あぁぁ〜、リオぉ〜。気持ちいいねェ〜」
「そーだなー。あんだけ暴れたから気づいてなかった疲れが溶けていく気がするぞぉー」
立ち湯だから座らずに立ったまま入るんだ。腰とか膝が悪くて座りづらい人なんかはいいんだけど、必要な湯量がハンパないからほとんどないんだよね。
これはいい温泉を知ったぞ!転移でいつでも来れるから、また来ようっと!
のんびり入っていたら、少しずつ他のお客さんも入りだしてきたよ。
「おっ!?先客がいたか。あー、イチャついてるところ悪かったな。おじさんは隅っこの方でくつろがせてもらうからゆっくりたのしんでくれよ」
「···いや、ボクたち男だからそういう関係じゃないんで、気にしないで入ってくださいね」
「···は?そ、そうなのか!?マジで?」
「マジですよ。ウソついてどうするんです?誰もトクしないですよ?」
「あー、これは本当に悪かったなぁ。失礼したよ。ゆっくりくつろいでくれよ」
「わかってくれて助かりますよ。なかなか信じてくれない人が多いので大変なんですよ」
「苦労してんだなぁ~。パッと見じゃわからなかったんだ。すまんな」
···まぁ、この程度はね。これまでの事を思えばまだ紳士的だったよ。
···ところが、女性が入ってきてからは大騒ぎになってしまった!
「あら?かわいいアツアツなカップルがいるわね~!こんにちは!ここは混浴だから一緒に入れるからいいでしょ~!?」
「···あの~、ボク男なんですけど?カップルじゃないですよ?男二人で旅してるんです」
「···え?お、と、こ?···ウソでしょ~~!!こんなかわいい男の子なんて見たことないんだけど!?えっ!?ホントに!?そう見えないんだけど!」
「そんな事言われてもボクは男です。証拠が必要ですか?」
「···ホントなのね?いやぁ~ビックリだわ。···でも、そんなかわいい顔してるなら堂々と女湯に入っても違和感ないわよ?···そうだわ!せっかくだからお姉さんが洗ってあげるわよ!気に入っちゃったわ~。さあ、一緒にこっちへ来なさいな!」
「ち、ちょっと!引っ張らないでくださいよ~!助けて~!リオ~!」
「あー、ロープのそっち側に行ってしまうとオレが怒られそうなんだけど···。どうしたらいいんだー!?」
リオがロープの端でどうしたらいいか困惑している間に、ボクはお姉さんに手を引っ張られて女湯エリアに連行されてしまった!
今回は不可抗力だよ!?連行されちゃったんだもん!···いや、前回も不可抗力だったけどね。
どうして···、どうしてこんな事に···。
なんと、今回は混浴風呂だったのですが、見知らぬ女性がアキくんを女湯へ連れて行ってしまいました!
本編に書いてある通り、実在する温泉2か所をくっつけてみました。ネタバレ集で紹介しますが、どちらも作者お気に入りの温泉なんですよ~。
作者が住んでいるかんさいちほーは火山がないため、火山性の泉質である硫黄泉がほとんどないんですよね~。
さて次回予告ですが、女湯に連行されてしまったアキくんに、人生最悪のトラブルが襲います!そのトラブルは意図されたものだったのです···。
明日も21時過ぎぐらいに投稿しますので、お楽しみに~!




