アスクレピオスとアルゴー
「ふむ、体温は普通やはり普通の人間と変わらないか。」
体に様々な機械が繋げられまるで重患者。
「こ、ここは...」
「おっとようやく目を覚ましたかい?すまないね03は少し暴力的で面倒な事を嫌うタイプなんでこうゆう連れてきかたになって。」
目が覚めた事を気づいた医者風の男が隆一に話しかけてくる。
隆一は黒い服の女に殴られ気を失った事を思いだし、後頭部を擦る。
だが、ここはどうみても病院と言った感じではなかった。
訳の分からない器具が多くならびまるで実験室のよう。
「どういう事なんだ、俺を誘拐してモルモット扱い!」
「まぁ、そう思われても仕方ないだが私達は君をモルモットだなんて思っていない仲間なのだから。」
「仲間?」
隆一は理解出来なかった。
気絶させて無理矢理連れてきたのに仲間?
隆一がそういった不信感を露にしていると
それを感じ取ったのか医者風の男はペンを取り出す。
「証明しよう。」
そういうとペンを床に落とし踏み潰した。
「それの何処が説明...!?」
バラバラに壊れ破片になって散乱していたペンが独りでに動きだし、まるで磁石に集まる砂鉄のように大きな破片の元へと集まりだし元のペンへと戻っていく。
「これが契約によって得た私の力。傷を治す事が出来る。」
「契約...傷を治す力!」
この医者も神殿を攻略し、力を得た様子だった。
だが、その力は隆一の物とは大きく違っていた。
隆一の力は肉体を強化する簡単な物だったが、
医者の力は違う。
「その驚き方を見ると本質にはまだ踏み入れていないと見えるまぁ、まだ3日程度なら気付かないのも無理はないか。」
本質?
隆一は手に入れた力はまだ一部に過ぎないと言われ少し動揺する。
その動揺を感じ取ったのか機械が音を奏で始める。
「動揺しているようだな。まぁ無理もない、メインディッシュかと思っていたらまだ前菜だと明かされたような物だからね。だがすぐに受け入れられる。他の仲間達も同じ事を感じていたのだから。」
「他の仲間達?」
「やはり気になるようだね私もそうだったすぐに会えるさ。その前に我らがボスに会わせよう。」
医者風な男は体についていた機材を外し始める。
「こっちだ。」
扉を開け、医者風の男は隆一を案内しようとする。
ついていく前に隆一は気になっていた事を聞く。
「ここは何処であんたは誰なんだ?」
「当然の疑問だ。私の事はアスクレピオスとでも呼びなさい。そしてここは」
アスクレピオスと名乗った男は歩きながらマークを指差す。
そのマークは黄金の船と剣のマークだった。
「ここはアルゴー。」
「アルゴー?」
「まぁ、我々のような契約者を集めて管理する組織だと思ってくれればいい。」
アスクレピオスは大きな扉を開ける。
そこはまるで社長室のような豪華な部屋で、見ただけで偉い人の部屋だとわかる。
「よくきたな新たな戦士。
私はアルゴーのリーダー黒井だ。どうぞよろしく」
「あ、どうも俺は...」
「須藤隆一君だろ?君のことは調べさせて貰った。悪いがこれも仕事なのでね。」
社長椅子に座っている男はタブレットを見ながら顔を変えずそう語る。
本当に悪いと思っているのだろうか?
隆一はこの男はどこか信用できない感じを感じた。
何故だか分からない。
優しい声と目をしているのに...
「落ち着きたまえ私は敵ではない。」
隆一の不信を感じ取ったのか
男は私にそう話しかける。
「まずは一杯どうだね?」
男はワイングラスを持ち隆一に渡してくる。
「おれはまだ未成年ですし遠慮させてもらいます。」
「そうかならこれだな。」
男は指を鳴らすと扉が開き、メイドのような人がワインを持って入ってくる。
「ワインのように見えるかも知れないが、これはただのジュースだ。」
そういい男はそれをグラスに入れ、隆一に向けてくる。
「新しい戦士に。」
「戦士に?」
隆一は断るのも無理な雰囲気を感じ渋々乾杯する。
「なんだ...これ」
それは恐ろしいほど変な味だが、甘露な味。
隆一はこんなものは今まで飲んだことがなかった。
「ほぉ...まだ君はまだ神殿から出たのが3日前の筈だが...」
「あぁ、すまない。また自分の世界に入ってしまったようだ。私の悪い癖だ悪く思わないでくれ。それでどこから教えようか。」
男は少し黙り考え始める。
その様子をみかねた隆一は一番気になっていた疑問を投げ掛ける。
「俺はこれからどうなるんです?」
アスクレピオスはこの組織を契約者を管理するものだと言っていた。
なら隆一は監禁や監視などをされるのだろうか?
それは当然の疑問。
これからにも関係するものだ。
「どうなるとは?あぁ、そうかアスクレピオスがまた言ったのか。安心したまえ。我々は名目上管理する組織と謳っているがそれはあくまで問題を起こした者だけだ。」
「問題?」
「そうさ。人間とはつくづく厄介なものでね。
力を持った途端、その力を見せびらかそうとしたり欲を叶えようとする。少しならいいかも知れないが逸脱した欲は世界を滅ぼす。それを対策するのに生まれたのがアルゴーだ。」
確かにそうだ。
悲しいが人間とはそういう生き物だ。
力を得た皇帝や独裁者が世界をかき乱したりするものだ。
ならここはそれを対策する警察のような組織なのだろう。
そう理解したが何故か心の奥では隆一納得して出来ていなかった。
「君が問題を起こさぬ限り我々も干渉はしない。」
「そうですか...なら俺はこれで。」
隆一はこれ以上この男と会話したくなかった。
優しいと感じていた男に変かもしれないが、
妙な恐怖もある男だ。
こいつと長くいてはいけない。
隆一の感がそう告げている。
隆一はその感にしたがいこの場所を足早に後にしようとする。
「そうか、君には興味があったのだが仕方ない。何かあればまた来るといい。」
そういい男は扉を開ける。
「良かったのか?あれは...」
「分かっているさ、だが新たな友の門出だ。悪くはなかろう。」
「友となるかはまだ分からないだろう?」
「なるさ、彼には他の道はない。」
選択という道は分岐をしているように見えているが、道は運命によって決定されている。
エドワウ・ジョン