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食事と目覚め

「まだだ、まだ足りぬ。」

「あいつに復讐するには、力が足りぬ。」

「もっともっと食べなくては...」


大きな蜘蛛の化け物が鼠や虫などを喰らいながら腹を空かせている様子で苛立っている。

その様子を見かねたのか小さな蜘蛛が大蜘蛛の周りに集まる。


「どうした?我が子よ。」


子蜘蛛は目をモールス信号の用に光らせ母に伝える。



「何?強い力を感じる?」

「それは好都合だ。」

「ならこいつはもう不要だね。」


大蜘蛛は捕らえていた人間の死骸を蜘蛛の巣に投げ入れる。

その死骸に子蜘蛛たちは待っていましたとばかり群れ始める。

その数は多く百は越えていた。


「子供達、ご飯だよ。」


大蜘蛛の言葉聞き子蜘蛛達は一斉に食べ始める。

まさにその様子は死骸に群がるスカベンジャー。

みるみるうちに肉はなくなり骨だけになっていく。


「さて次の狩り場に向かおうか。」


食べ終わったのを確認した大蜘蛛は移動を開始する。

どこを目指していようと大きな被害になることは予想できる。

彼等が移動した後に残ったのは小さな骨だけだった。

彼等が移動を始めたすぐ後運命のいたずらが起きる。


「見たことがない天井だ。」


隆一が目が覚めた見たものは真っ白な天井と優しい照明の光だった。

隆一はゲームでよく聞いた台詞を自分が言うことになるとはと少し落ち込んでいた。

周りに目をまわすと白いカーテンや心臓の鼓動を感知する機械。

それでここが病院だとすぐに分かった。

目覚めて少しした後カーテンが開く。


「随分早いお目覚めだな。本当なら後数週間は眠ったままの筈なんだが...」


白髪の女性の医者がそういいながら聴診器を身体に当てようとしてくる。


「あんたは...?」


「見ての通り医者だ少し冷たいぞ。まぁ、凍傷になりかけていた君に言うことではないかもしれんが。」


凍傷。

その言葉を聞き、この前の戦いを思い出す。 


「アヤメは!?」


「安心しろ命に別状はない。興奮するな君はまだ病人だ。」


隆一はその医者の言葉を聞きほっとする。

彼女は無事か...


「わしの心配もせんかぁ!」


怒ったメドピアが俺に飛びかかってきた。

その様子は凄く元気そうでこの前より元気なのでは?と思わせるほどだった。


「悪かったよ!お前なら大丈夫だろうって信頼してたんだよ!!」


「信頼か...まぁ、わしは超人だし!お前らとは身体の作りが違うからのぉ!」


信頼と言う言葉に嬉しくなりメドピアはドヤ顔をする。

人なのか?という突っ込みは医者もみていたのでしなかった。


「こら小娘!病人にいつまでのしかかっているんだ。」


医者はメドピアを捕まえ、隆一の身体からおろす。

メドピアはふてくされながらも椅子に座って退屈そうに足をパタパタさせる。


「やっと目覚めたか。」


扉を開け口にたい焼きを加えながら園田が部屋にはいってくる。


「こら、ここは病人以外飲食禁止だといつまで言わせるんだ。」

 

呆れた顔で告げる医者。

そのやりとりで知り合いなのだと感じた隆一。


「これでいいんだろキリコ。」


隆一は加えていたたい焼きを口に頬張り食べる。


「そういう問題じゃ...お前に言っても無駄か私にも寄越せ」


キリコは袋を取り上げたい焼きを頬張る。


「お前も病人じゃねぇだろうが。」

「私はヘビースモーカーなんだから病人みたいなもんだろ。」

「あんたらおれを無視して話を展開してるんじゃ」


文句を言おうとしたその時隆一のお腹もなる。


「お前も腹減ってんだろ?色々聞きたいことはあるだろうが取り敢えず喰え、話はそれからだ。」

 

隆一の口にたい焼きを突っ込む園田。

そのたい焼きは甘いクリーム味だった。


「わしにも!わしにも!」


メドピアがたい焼きを求めて暴れだす。

その様子に呆れながら園田はたい焼きをメドピアにあげる。


「お前の契約主も案外大変だな。」


この男もやはり契約の事を知っている!

と隆一は確信した。


「また契約者なのか?まぁ、そんな気はしていたが迷惑はごめんだぞ。」


「大丈夫だよ今回こそは。」

「それこそ何回目だ。」


隆一は園田に色々聞こうと思ったが腹がまたなる。


「もうすぐ病院食が来る時間だ。話は食べてからで良かろう。」

「そうだな俺も何か食べてくるわ。」


そういい部屋を後にする園田。

早く聞きたかった隆一だが病院食を期待している自分もいた。


「いつからこんなに食いしん坊になっちまったんだ...」











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