同窓会と仲違い
「二人の具合はどうだ?」
病院でリンゴを食べながら医者の女性に聞く男。
「突然患者を連れてきてどっかに行って、帰ってきたらそれか園田。」
「わりぃわりぃ、お前しか思い付かなかったもんでよ。それで体調は?」
「命はなんとかなるだろう。」
医者は呆れながらカルテを見て二人の状況を説明し始める。
「そのレベルか?」
「そりゃあなぁ、アラスカレベルの凍傷を日本で負ってるんだ。どうすればいいか私にも分からんさ。それにこの傷の理由も聞くなと言う。」
「慣れっこだろ?」
「あぁ、お前のせいでな。」
呆れた様子で文句を垂れながら仕事を進める。
「悪い悪い。今度焼き肉でも奢ってやるから。」
「焼肉って...スイーツだ。糖分がないとやってられん。」
「分かったよ。いつもの羊羮でいいか?」
「今回は栗饅頭もつけろ、って何処かいくのか?」
「あぁ、同窓会の誘いが来てな。」
「そうか...死ぬなよ。」
園田の顔を見て、なにかを察したのか心配する医者。
「縁起でもないこというな。ただ昔の仲間に会うだけだ。」
「止めても止まらんのがお前だからな無理には止めないが約束を忘れるなよ。」
「わーてるよ。」
「お前が一番分かってるんだろ?お前らはもう敵同士って事ぐらい。」
そう言いながら彼女は窓の外を見て悲しそうな顔をする。
倉庫で待っていた黒井は園田が来たと感じタバコを消し呟く。
「遅刻癖は相変わらずか。」
遅れてきた園田は扉を開ける。
「そういうなって俺にも用事があんだ。トップのお前レベルじゃねぇがな。」
反省していない顔で謝る園田にそこも変わらずかと思う黒井。
「風のように自由に生きてた男が用事とはな。お前も変わったな。」
「お前レベルじゃねぇがな。」
「それもそうか...要件は分かってるだろ?」
「いきなりかい。久々に会ったんだもっと世間話ぐらいしようぜ。」
「世間話する関係でもないだろうに。」
「俺はまだ仲間だと思ってるぜ?」
真剣な顔で黒井を見ながらそう言い放つ園田。
その顔を見て黒井は表情を曇らせる。
「離反したお前がよく言う。」
「まぁ、そこは方向性の違いってやつだろ。」
「そうだな。お前は組織という物には合わないからな。」
「あぁ、俺は自由に生きていたいのさ。アルゴーとは合わねぇよ。」
自由に生きたい園田と管理を仕事にするアルゴーは合うわけがなかった。
「別にそこはとやかく言うつもりはない。李風の方がやらかして抜けたからな。だが、仲間を誘拐するのはいただけない。」
李芬という名前を言った後から顔が怒った風に変わる。
どうやら相当やらかして抜けたことがその顔からもよく分かる。
「仲間? あんな風にしておいてか?」
園田は自分が病院に連れて行ったアヤメを思い浮かべながら顔を怒りに染め、問い詰める。
「...知っていたか。仕方のない犠牲だ。」
黒井は顔色一つ変えず犠牲だと吐き捨てる。
その顔を見て園田は落胆する。
「変わったよお前。昔までそんな考えをするやつじゃなかっただろ!」
「立場が変われば考え方も変わる。」
「そうだな...お前の立場的には正しいかもしれないが俺は許さねぇ。」
園田は身体の周りから赤いオーラを出し、周りを揺らす。
「許される気はない罰は受けるさ、全て終わった後で。」
黒井もそれに対抗して黄金のオーラをだし対抗する。
二人のオーラがぶつかり合い周囲は大きくゆれる。
「...おめぇはそれでいいとしても彼女は...」
「おかしな事を言う。お前も気づいているんだろう?彼女の正体を。」
「あぁ、だから許せねぇんじゃねぇかよ。」
「お前の考えは理解できるが、止める気はない。」
「なら止めるぜ。」
「止められるか?お前は...」
「それで止まる俺じゃねぇってしってんだろ?」
「...愚問だったな。」
二人はより一層オーラを高め、臨戦態勢に入る。
「私抜キデ面白イコトヤルナヨ。」
そんな中、窓から入ってきたチャイナ服を来た女がそう言い止めに入る。
「チッ、守銭奴が来やがったか。」
その女の登場に黒井は苦虫を噛み潰したような面になり、明らかに不機嫌になる
「ソウイウナヨ。オ金ノ大事サ分カルダロ?社長サン。」
その顔を見ながらも飄々とした感じで、返答する。
「金を持ち逃げした奴に言われたくないな。」
「言ウダロ?金ハ天下ノ回リ物ッテ、ダカラ奪ワレテモソレハ天ノ意思ネ。」
「意味が違げぇよ李風。全く本当に同窓会になっちまったな。」
「興ざめだ。 こいつが出てくるってことは何かメリットがあるって事だ。こいつのメリットになることをしてやるつもりはない。」
黒井はオーラを止め、扉に向かって歩き始める。
「それもそうだな帰るか。」
園田もオーラを止め、鞄を持ち、帰ろうとする。
「送っていこうか?」
「敵宣言した奴に送って貰うほど自由じゃねぇよ。」
「それもそうか。」
「ソリャナイゼ、折角楽シミダッタノニ」
楽しみを邪魔された子供のように悲しそうな顔をする李風を横目に二人は帰っていく。
「良かったんですかい姉御?準備してきたのに帰しちまって。」
二人が帰った後お供の男がそう李風に話しかける。
折角装備や付近に仲間を読んでいたのにいいのかと
「イイノイイノ、アノ二人ハ、言イナガラモ警戒シテイツデモ臨戦態勢、鈍ッテナカッタ。
鈍ッテナイ二人相手ニ戦ッタラ只ジャスマナイ。
二人ダケナラソレデモ良イケドアルゴーノ相手モ考エルト損。」
「それもそうですね。悔しいが数ならあっちの方が上だ。」
「俺達もそろそろ帰りますか。」
「少シ一人ニシテクレル?」
「...分かりました。」
少し悲しそうな声から何かを察したのかお供の♂はその場を後にする。
「あの二人もついに対立か。いつかはそうなるって分かってたけど悲しい。...裏切った私が何をいってんだか、天下を取るんでしょ私。振り返らないって決めたでしょ。」
「イクゾ。仕事ダ。」
三人の仲には大きな溝を開いたと感じた李芬だが、彼女は感情を消し、仕事に取りかかろうとする。
それが今唯一彼女に出きることだから。
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