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クリスマス特別編 家族

「きろ...起きろー 朝じゃぞー」


俺は目覚ましとは違う可愛らしい声で目を覚ます。

新しい目覚ましボイスでも設定したかなと思いながら目を擦る。


「分かったよ起きればいいん...だろ!?」


目を開け最初に入ってきた光景は赤い装束に身を包んだメドピアだった。



「ふふふ、可愛かろう?」


そういいながらターンをし、サンタクロースの服を見せびらかすメドピア。

悔しかったが凄く可愛らしいと思った。

クリスマスの父親の気持ちが少し分かった気がした。

だがそう言うとまた調子に乗りそうなので俺は嘘をつく。


「似合わねぇー」


「そうか...」


似合わないと言う言葉を聞いたメドピアは凄く残念そうだった。

その悲しい顔に俺は嘘をついた事を後悔し真実を告げる。


「嘘だよ嘘!凄く似合ってる!」


「そうか!まぁ、似合ってるのもどうかと思うが。」


「それもそうだな。まぁ、とにかくなんだ...メリークリスマス。」


「うむメリークリスマス! ほらさっさと顔洗って飾り付けするぞ。」


メドピアはタオルを渡しながらそう告げる。

飾り付け?

家に飾るものなんてあったか?

その疑問が心によぎる。


「飾りつけって家にはツリーもなにも...!?」


そう言った俺の目に入ってきたのは天井より少し低いツリーだった。



「ふふーんどうじゃ?アマゾネスとやらで買ってみたのじゃ!」


誇らしげにそういい放つメドピア。

相変わらずこのどや顔はうざい。


「まぁまぁでかくていいな...あれお前お金なんて持ってたっけ?」


こいつに渡していたお金は週に2000円ほど。

メドピアは貯金するタイプではないし気になった。

本当は貯金するタイプだったのだろうか。


「そこは...」


メドピアは顔を下に向け、小さな声でゴニョゴニョとささやく。


「え?なんて?聞こえねぇよ。いつものような大きな声で言えよ。」


「お主のくれじっとかーどを使ったんじゃ!」


メドピアはクレジットカードを持ちながらそう大声で叫ぶ。


「!?このでかいツリーいくらしたんだよ!!」


こんなツリーが安いわけがない。

それにクリスマスシーズンだ。

高くなっているだろう。


「...円。」

「いくらだよ!!」

「10000円じゃ!悪いか!?」


メドピアは逆ギレしながらそう叫ぶ。

一万円!?

諭吉さん一人!?


「わりぃよ!一万円あったら何十日の食事が出来ると思ってんだ!」


少なくても半月はもたせることはできるだろう。


「あーもう一万円ぐらいでがたがたうるさいのぉ!

使ってしまったもんはしょうがないじゃろ!

それに食事なんぞは狩りでもすればいいじゃろ!」


「勝手にカード使われたらだれだって文句言いたくなるわ!それにお前が居た神殿と違って狩りは専用の免許とかいんの!」


「そうなのか!?今の時代不便じゃのー。」


「まぁ、気にするな金は天下の回り物というそうじゃないか。使わなければ経済は回らないっててれびかなんかで言っておったわ。」


メドピアは悪びれる様子もなく。

笑顔でそう言い放つ。


「それお前の台詞じゃなくて俺の台詞!はぁ。もう怒るのも疲れたわ。」


「まぁ、これでも飲んで落ち着け。」


そう言いながら紫色の飲み物が入ったコップを渡す。

うまい。

家にこんな旨いブドウジュースあっただろうか?


「おぉ、ありがとよ。うまいなこれ。」


「そうじゃろ?奮発した回が有ったわ!」


メドピアはそういいながら笑顔でビンからジュースを注ぎ飲む。

ビン!?

もしかしてあの色とラベルは。


「お前それ!ワインじゃねぇか!また勝手に!!」


「いやーつりーを買った時に関連に出てきたもんじゃからそれに海底で熟成したワインじゃぞ?気にならないわけなくない?」


「なくないじゃねぇんだよ! しかもそれたけぇやつじゃねぇか!」


俺も気になりはしていたが手を出せなかった代物だ。まさかこんな風に飲むことになるとは。


「まぁ、飲んでしまったものはしょうがない!楽しもうぞ!」


顔を赤くしながらワインをまた飲む。


「だからそれは俺の台詞だっていってんだろうが!!」

「まぁ、飲んで忘れようぞ。」

「だから!はぁもういいよ...」

 

こいつにいくら言っても無駄だと言うことを忘れていた。

こいつはそう言う奴だ。

俺は諦めてワインを貰い、行き良い良く飲む。

悔しいが旨い。




 「つぶれてしもうたか?なんとも情けない奴じゃ。こんなぷりちーな女はまだまだいけるというのに...」


テーブルで突っ伏している隆一をつまみに酒をふたたび喉へと通す。


「すまんの、色々使ってしまって。代金は利子をつけてそのうち返してやる。」


本当に申し訳ない。

我のわがままに付き合わせてしまって。


「クリスマスか...改めて似合わんの。こんな滑稽な姿とはしゃぎよう姉様達が見ていたら笑われてしまうわ。」


床で笑い転げる姉様達をイメージするには簡単だった。

我でも姉様のどちらかそんなことをやっていたら笑い転げる。


「姉様。あなたたちと供にこのクリスマスを祝いたかった。」


私はツリーからかわいい女の子の飾りを手に取り、

そう悲しく喋りかける。

姉様とは似てもにつかないのに


「それは叶わぬ夢か...我は捕食者。クリスマスとは相容れぬ悪。そんなことは分かっているのに、

酒のせいかの...」


クリスマスとは優しき子に褒美をあげる行事だと聞いた。

我はあやつとは違い絶対悪。

あやつに見られていないのが唯一の救いか。

あやつが見ていたら必ず煽ってくる。

それが●●●神だ。


「弱くなったものじゃ。しかもこんな似合わぬ日にやけ酒とは...」


我と真逆のような行事に笑いながら酒を傾ける。

今宵は眠れそうにない。




 「ほら起きろー もう夜だぞ!いつまで寝てるんだ全く。」


「ううーん もう少し待ってくれ姉様ー。すぐにご飯作るからー」


「まったくどんな夢見てんだか...起きろ!」


眠っていた我の耳元で隆一が叫ぶ。

その声はまるで昨日の自分の用だった。


「あーもううるさいのぉ!折角熟睡しておったのに!」


我が目を開けたその先には似合わぬえぷろんを付けた隆一がたっていた。


「こんな日に熟睡してるお前が悪い。それに冷めちまうだろうが。」


「冷めるって何が?」


「これだよこれ!」


そういって隆一はテーブルの鳥を指差す。


「鳥!?もしやこれはろーすとたーきーとやらか!?」


昨日調べた料理でクリスマスに家族で食べる鳥の丸焼き。

それがなぜ?



「お隣さんがなんか福引きで当たったけど鳥アレルギーとかで食べれないとかで置いていってよ...勿体ねぇし作ってみた。そこまで旨くできてねぇだろうが。一緒に食べたら量減らせるし。」


「随分太っ腹の福引きもあったもんじゃの。」


こんな我にも嘘は分かる。

隆一が大枚をはたいて買ったのだろう。

もしや昨日の独り言を聞かれていたのか?

そう思いながら私は席に着く。


「うるせーさっさと食べるぞ冷めちまう。」


「そうじゃのいただきます!」


「こら家主より先に食うな!」


「ありがとう隆一。」


我は小声で感謝を告げる。

こうやって席を囲んで祝いながら食べるのは初めてだがよく知っている。

これは私が夢描いた物。

姉様達と違いむさい男だが、それもまた雅であろう。

私はそう照れ隠して食べる。

相変わらず我も難儀な性格をしているらしい。

こんな風に育てた姉様達。

許しませぬぞ。



「ん?なんか言ったか?」


「旨いなぁ!流石鳥肉じゃ!」


「こら、全部食うな!俺にもよこせ!」


「お主が遅いのが行けないんじゃ!」


「なんだとぉ!?」


そんな他愛ない会話が続く。

これもまたクリスマス。

家族と絆を紡ぐ日。

サンタは居ないけれどそこにプレゼントはあったのだ。


               メリークリスマス







良いクリスマスをメリークリスマス。


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