4*「テレッケン!?」
「どうして?」
「私は・・・・・・私は、あなたに好かれる資格など無いのです。ああ、なんと言ったらよいものか・・・・・・一日だけ時間をくださいませんか。」
「私が嫌いですか?シャナ。」
「嫌いではありません・・・・・・断じてそれはありえません。でも、どうしたらよいか・・・・・・どうかお願いです。時間をください。」
「・・・・・・分かりました、待ちましょう。あなたが夜に逃げ出そうとしなければ。」
ああ、やっぱり自分の気持ちをシャナに伝えたときから確信していたんだ。
テレッケンはシャナがテアーヌであると。
「そ、そんなことしませんわ。」
思考が読まれてる。
でも、どうしよう。
帰らなくちゃ。
話を変えちゃったら私が今度はちゃんと地球に帰れるか分からなくなっちゃうんだから。
それに、私はテレッケンのことなんてなんとも・・・・・・なんとも・・・・・・想ってない・・・・・・はず・・・・・・なんだから。
行かなくちゃダメよ。
逃げなくちゃ。
早く。早く、とらわれてしまう前に。
夜になって外をのぞくとテレッケンが見回りをしていた。
どうして?
この日、テレッケンは安らかに眠りに付いたはず。
テアーヌはテレッケンの寝顔を眺め、小さく「さようなら」とつぶやいてからセリアンに「本当にそれでいいのか?」と見送られて玄関から城に戻るはずなのに。
これは、少々無理してでも行かなくちゃ行けないみたいね。
そろりと窓から抜け出し、テレッケンが過ぎ去った道を走っていく。
ごめんなさい、ごめんなさい。
あなたの気持ちを“私は”受け取ることが出来ないの。
テアーヌだったらまだ良かったかもしれない。
でも、私はテアーヌなんかじゃないの。
どうか、ああ、出来るならどうか早く元の世界に私を返して。
「お父様!」
「おおテアーヌ!こんのバカ娘が!!」
「お怒りはあとでお受けいたします!それより、セントアー家にテレッケン王子がいらっしゃらないようです!もしこちらが人質にとったとされ、戦争を吹っかけられても困るのはこちらですわ!」
「それはまことか!?」
「ええ!」
そうしてそれなりにまだ平和を維持していた頃、テレッケンがテアーヌに丸腰で会いたいという用件が来た。
「会いたくありませんわ・・・・・・お父様。でも、戦争はしたくありません。」
「あちらは丸腰なのだぞ?それに今までのイメージとはだいぶ違う。」
「ええ、知っています・・・・・・。」
知っているからダメなの。
会いたくないの。
会ってしまったら、テレッケンは死んでしまう。
私一人では物語を変えられない。
変えちゃいけないし、もどれなくなるかもしれない。
戻りたくなくなるかもしれない。
だからダメなの。
会いたくない。
「どうする?」
「わかり・・・・・・ました。」
ダメだ。
会わなくちゃ、殺さなくちゃ、私は戻らなくちゃいけないんだから。
そしてテレッケンは浮かない顔の私をみて人払いをするために庭にいくと私は物語上、テレッケンが立っていた位置にたった。
見殺しになんて。出来ないから。
「やはりテアーヌだったんだね。」
「あなたこそ。」
「私はすべてをすててもかまわないよ。」
「・・・・・・あなたがすきなのは私ではありませんわ。ええ、私ではないのです。」
「何を言っているんでのすか?」
「私は・・・・・・テアーヌでもシャナでもないのです。」
「そんなの知らない。私の前にはあなたが居るのに!」
銃が引かれる音が聞こえる。
銃を握っていたのは貴族への反乱軍だった。
打たれるのは別にテレッケンでなくてもかまわなかった。
なのに物語ではテレッケンが打たれ、死んだ。
でも、打たれた音で護衛の人たちが駆けつけ反乱軍はあっという間に沈静し、つかまってしまうのである。
なら、打たれるのは私であってもかまわないはずだ。
カチンっと音と同時に「危ない!!」というテレッケンの声が聞こえ、気づけば出来事は一瞬で、私は尻餅をつき、テレッケンは倒れこみ、護衛の人たちが犯人を見つけ出す。
「う・・・・・・そ・・・・・・テレッケン?いや・・・・・・いやぁぁぁああああ!!」
テレッケンを抱きかかえ、ボロボロ涙をこぼす。
「・・・・・・う。い、痛い・・・・・・テアーヌ姫・・・・・・痛いです。」
「!?ぶ、無事でしたの?」
「ええ、でもまさか姫がここまで私を好いてくれていたとは知りませんでした。」
「ば、バカなことを言わないでください。」
「では、その目から流れているものは何ですか?」
弱弱しくテレッケンは笑った。
「涙・・・・・・ですわ。」
「あなたが、無事でよかった。」
私の顔に触れる。
「や、やめてください。私はテアーヌでなければシャナでもないのです。あなたを受け入れるわけには。」
「何故拒むのです。私たちはお互いを求めています。それなのに何故?」
「・・・・・・お話いたしましょう。私は、信じられないでしょうが、この世界の人間ではありません。この世界は一冊の本の中でその本を手にとった私がここになぜか来てしまったのです。」
そして本を手に取るまでの一部始終を話した。
「・・・・・・ですから、私は高瀬莉伊南という人間であって、本来、ここに居てはならない人間なのです。」
だんだんと体が透けてきた。
「そんな・・・・・・バカな・・・・・・。」
「さよならが近いみたいですね。私もあなたが・・・・・・無事で・・・・・・良かった・・・・・・。」
そして気づけば涙を流しながら本を持って座り込んでいた。
「莉伊南ちゃん?3幕初めていいかな?」
「え?あ!はい!今、何時だろ?」
時計をみるとぜんぜん時間は進んでいなかった。
「じゃあ小枝木君、用意してー。」
「はい。」
え?この声って・・・・・・。
振り向くとそこには髪の毛などが黒くなったテレッケンがいた。
「テレッケン!?」
「そうだよ。」
人目がつかないところに駆け込むと話し込んだ。
「なんでテレッケンがこっちに居るの!?」
「あの後、ストーリーがだいぶ変わってしまったようでね、僕は魔女にたのんで君の世界に贈ってもらうことになったんだ。本をみてごらん。」
手に持っていた本を開くと今までのお話とはだいぶ変わってしまった。
テレッケンは私が消えた後にさ迷い歩き、魔女にたのんで私の世界に来るという謎の終わり方で終わり、今ここに居るテレッケンには小枝木君の記憶もテレッケンの記憶もあるけど、元いた小枝木君はテレッケンの記憶しかなく、今のテレッケンが前から居た小枝木君に入れ替わり、前に居た小枝木君はもともといたテレッケンに入れ替わってしまっていたのだ。
それに私の名前まで出ていて幽霊部員にも関わらず主役は私しか居ないということになっていた。
「わけ・・・・・・わかんない・・・・・・無茶しすぎだよ・・・・・・テレッケン。」
「いいんだ、僕は君に会いたかったんだから。」
そう言ってテレッケンは微笑むと私の手をとって舞台へと出た。
舞台は大成功を収め、第二話がやることに決まった。(その後はみんなの妄想編)
そうやって私たちの物語りは続いてく。
どうなるかは私たちにもわからない。
でも、楽しみだよ。
テレッケン、あなたがいるから―――…・・。
ありがとうございました。




