2*「まぁ・・・・・・笑えませんわね。こんな森深く、それもセントアーの地方からルイス、あなたが来たというのなら、ありえないことではありませんもの・・・・・・。」
私、莉伊南は主役、テアーヌ姫。
それも急遽決まった即席。
小枝木君はテレッケン王子役。
由里ちゃんは姫の友達役。
そしてまた放送ナレーションが流れ出す。
いよいよ姫が昼下がりに出ることを決めました。
姫はメモ書きを残しておきました。
自分はセントアーにつかまったわけではないことを証明するためにです。
でももちろん居場所は書きません。早めに出ないと紅茶を運んでくるお茶係のメイドが来てしまいます。
姫!急いで!!
「あら、庶民の服って、だぼっとしていてとても着やすいのね。あら、もうこんな時間・・・・・・急がなきゃ・・・・・・。」
そうして姫はドレスからシンプルなものに着替えました。
それは姫たちのような貴族には下着や寝巻きのような格好でした。
城の中を急ぎ足で過ぎていく姫。
「まぁ、人目をしのいで歩くってとってもスリリングね。」
そして姫は見事に城を抜け出すことに成功しました。
その後すぐ、お茶とお菓子を運んできたメイドが部屋に姫がいないことに気づき、城内が大騒ぎになったことは言うまでもありません。
ですが、姫もいろいろと混乱していました。
栄えていると思ったロビアンスの国の町、姫だって町が楽しいことばかりだとは思っていませんでした。
でも、自分よりずっと小さな女の子が道端で自分に物乞いをしてきたり、身を切り売りして売春をしている子などを見ると、姫はただひたすらに誤り続けることしか出来ませんでした。
自分は平和のためにいろんなことをしてきたつもりだったと自信をなくす姫、森林の奥深くにいる姫のお友達、セリアンのところについたときにはすっかり落ち込んでいました。
「ごきげんよう。セリアン。」
「テアーヌ!?ちょ、ま、中に入って!」
「お邪魔しますわ。」
「あんた、姫様だろう!?大体今は、セントアーとの戦いで外には出してもらえないんじゃ・・・・・・。」
「あらセリアン、あなただってセントアーの血を引いているのよ?立派なお姫様じゃない。」
「そうじゃなくて!!」
「ええそうよ、セントアーとはまだ平和条約が結べていないの。お父様はこんな条約なら結ばなくて結構!って怒っていらっしゃって・・・・・・いつまであのお父様が持つか・・・・・・。」
「あっちゃぁー!あんたのお父さん国王だからね。邪険に扱われたと思ったらキレるよな。」
「そう・・・・・・それで今回はお忍びってわけなのよ。」
「そのお姫様がこんなところにいていいのか?」
「でも・・・・・・いろいろ考えたいのよ・・・・・・一人で。城の中では一人になることはなかなか出来ないわ。だいたい、窮屈すぎるのよ。それになんでお父様はあんなにもセリアンを嫌うのかしら。」
「それはあたしが正式なロビアンス家の血ではないからだよ。ほら、あんたと違ってあたしはがさつだし、いろいろと問題があるんだ。」
「そんなことないわ。ロビアンス家の一族の中で黒い髪の毛は聞いたことないけど、とっても綺麗よ?ふわっとカールしてて、肌が少し黒いのもまた似合っているのよね。」
そんなこんなで色々な話をしてセリアンとテアーヌはすごしていました。
森林の中の生活にもだいぶ慣れてテアーヌ姫は丘の上にいました。
そこには一人の男性がいて、木下で本を読んでいました。
姫はすぐ引き返そうとしましたが、呼び止められられました。
「そこのお方。」
「あ、あの・・・・・・おじゃまするつもりはなかったのですが・・・・・・。」
「ココの近くに住むところがおありですか?」
「え、ええ、ありますわ。」
「あなた様は平民より身分がお高いご様子で。ここらはロビアンスの領地では?」
「え・・・・・・?そんな、私はただの凡人ですわ。ええ、ここはたしかにロビアンスの領地です。ところであなた様はどちらからやってこられたのですか?」
「セントアー。」
「まぁ!セントアーですの!?」
「やはりこちらにも伝わっているのですね。セントアーがロビアンスに戦争を・・・・・・。」
「え、ええ。」
「でも私は戦争は好きではありません。少しばかりロビアンスを見てみたいのですが、そちらにおとまりしてもよろしいでしょうか?」
姫には戦争が嫌いというセントアーの男性は悪い人には見えませんでした。
落ち着いていて、優しそうな男性に名を聞くことを忘れて、テアーヌ姫は自分はシャナだと名乗り、男性は「ルイス」と名乗りました。
またそーやってすぐ人のこと信用するー!そんなんだからあまいんだよ!と後にセリアンからこってりしぼられてしまいますが・・・・・・二人ともルイスにすぐなじみ、ルイスもすぐになじみました。
ある日、二人で焚き木拾いに行くと王子は言いました。
ライトが切り替わり、私たちのほうを向くと、とてもまぶしくて、ついつい手を顔のあたりにかざしたくなるのを我慢して小枝木君を見た。
「シャナ、戦争など無ければいいと思うときはないかい?」
「もちろんありますわ。戦争など無意味です。破壊しか出来ないものに自由を奪われていく命など、私は見たくはありませんもの。」
「そう、それにこの空を舞っている鳥たちも木々も失われてしまう。」
「でも、私たちの力ではどうにもなりませんものね・・・・・・。」
「そうだね。シャナ、君は本当に落ち付いていて物事をよく判断できる。とてものびのびとしていて自由だね。うわさに聞くテアーヌ姫みたいだ。」
「そ、そんなことはありませんわ。私とテアーヌ姫とでは天地の差があるどころか天地がひっくり返よてしまいますわよ。」
「はは、そんなことはない。ねぇシャナ、もしもね、もしもだよ。私がテレッケン・セントアーだと言ったらどうする?」
「まぁ・・・・・・笑えませんわね。こんな森深く、それもセントアーの地方からルイス、あなたが来たというのなら、ありえないことではありませんもの・・・・・・。」
ライトが落ちでナレーションが入る。
姫はこのとき、この男性がテレッケンではないことを祈りました。
もしもテレッケンであったなら、芽生え始めた自分の気持ちはどうしたらいいのかと。
そして、自分がテアーヌ・ロビアンスだと名乗ったときにはルイスはどういう反応をするのだろうか・・・・・・と。
ですが、ルイスがただものではないと姫はうすうす気づいていました。
そんな中テレッケン王子の名が出てきたのですから、ルイスがテレッケンであることに90%の確信を得ました。
それでも姫は祈りました。
“どうかルイスがテレッケンではありませんように”と。
「はい第二幕終了ー!!」
「ふぃー。」
歯が浮くような台詞を本の中ではさらっと言っちゃうけど、現実で聞くと笑いそうになっちゃってだめだな・・・・・・。
このストーリーの大まかなあらすじはルイスはやはりテレッケンでテレッケンはシャナに恋をしていた。
シャナはテレッケンの前から姿を消し、テアーヌとして城に戻るとテレッケンが丸腰で城に来ることが決まり、中庭で二人が話をしている間にテレッケンが何者かにより殺されてしまう。
そのときのテアーヌの台詞が「あぁ、テレッケン。嫌です。私をおいていかないでください。こんなことになってしまうのならいっそのこと国も地位も名誉も捨ててあなたにこの想いを伝えてしまえばよかった・・・・・・!!」、つまりバットエンドの物語である。
この本はずいぶん昔に読んだ本だ。
ふっと下を見るとその本が落ちていた。
あれ?今までこんなところにこの本あったっけ?と思って思わず手を触れると訳のわからないことが起きてドサッと尻餅をついた。




