美しい太もも
響子は、未だ興奮冷めやらぬその女性に「ごめん、友子…… あとは私があの子と話するから、今日のところは悪いけど帰ってくれる?」そんな風になだめていた。
「帰るのはいいけど…… あなた、一人で大丈夫? 殴られたりしない?」その、響子から友子と呼ばれたその女性は、響子を心配して、そんな言葉を響子に掛けた。
「大丈夫よ。あの子、そんな悪い子じゃないから…… この前、リョウがあの子に失礼なことしたから、だから、ちょっとツッパッて、すねてみせてるだけだから」
響子は、笑いながらその女性を立たせ、ドアの方に連れて行った。
その女性は、響子に誘われるまま席を立ち、ドアの方に向かったが、その間中、ずっと奥に座る和輝の方を睨んでいた。
「本当に大丈夫?」
ドアを出るときも、その友子という女性は心配そうに響子に再確認したが、その言葉にも響子は笑いながら「大丈夫だって」と言って、その女性を階段の下まで送って行った。
響子は、その女性を店の下で見送ると、店の看板の電気を消し、シャッターを下ろした。
響子が再び和輝の席に戻ってきた時には、和輝はすっかりしょぼくれて、ずっと下を向いたままだった。
「あ~あ、私が一生懸命、和輝君のために作ったのに、こんな風にして……」
響子は、そう、和輝に聞こえるよう独り言を言いながら、床に散らばったハムや卵やパンを拾い集め始めた。
その言葉に、和輝が伏せていた顔を少し上げ「ごめんなさい」と謝った時、和輝の目に、床に跪く響子の、ミニスカートから伸びる白い太ももが飛び込んできた。
ややもすれば、その奥さえも見えそうできわどく、十代の男子にとっては魅惑の光景だった。
それは、和輝がこれまでに見てきた何にも増して美しく思えた。
歯医者の待合室で見た葵の白く細い人差し指よりも……




