風呂場のリバース
和輝は、一向に収まらない自分の興奮に、ガンガンする頭を押さえながら一旦起き上がり、既に自分を締め付ける存在でしかないズボンを脱いで、再びソファーに横になった。
そして、悪心が収まっていないにもかかわらず、固くなった自分の一物に右手を持っていき、そのいきり立つ一物をなだめるようにゆっくりと上下になで始めた。
いつもであれば、その一物の先っぽに向かって、熱い液が押し寄せるのだが、この時は違った。
先ほどまではなんとか我慢のできていた悪心が一気に度を増して胃の底から上に向けて上がってきたのだ。
「あっ……だめだ」
そう思うと、一物を握っていた右手を放し、その手で口を押えた。
「うぇ うぇ」声にならない声を上げながら、何とか初めの胃からの進撃は押し返すことができた。
しかし、すぐに第二陣の進撃が開始され、これを再び押し返すことは既に不可能であった。
和輝は、右手で口を押えたまま、ソファーから飛び起きると、響子がシャワーを浴びているバスルームに駆け行った。
一刻の猶予もなかった。
奥に響子のいるバスルームのドアを「ドンドン」と乱暴にたたき、押し寄せる悪心を我慢しながら「響子さん、気分悪い……入っていいですか?」と、大声で訴えた。
中から聞こえていたシャワーの音がやんだ。
「なに? 覗いちゃダメって言ったじゃない?」
響子の返答は、至極もっともな冷静なものであった。
「だけど、俺、もう吐きそうで、ダメ……」すでに、和輝は泣きべそをかいていた。
「えっ? 気分が悪いの?」一刻を争う和輝とは対照的に、響子の返しは悠長なものであった。
「もうダメだって」
その時、初めて和輝の尋常でない様子に気づいた響子は慌てて、「吐きそうなの?カギ掛かってないから、早く入んなさい」と言ったが、その言葉が終わるか終わらないかの前に、右手で口を押えた和輝がその狭い部屋になだれ込んだ。
そして、便器に顔を持っていきながらも、そのフタを開ける余裕はなく「ブハ!」と必死に体内に留まらせていたアルコールの混ざった胃液を口を押えていた指の間からあたり一面にぶちまけた。
そのとたん、「シャー」という音とともにシャワーカーテンが開いた。
「なに? やっちゃった?」
和輝の頭の上から響子の声がした。
「ごめんなさい」
抑え込んでいた胃液を一気に吐き出してとりあえず気持ちの戻った和輝が、顔を声のした方に向けた。
そこには、響子の真っ白な裸体があった。
「あっ! ごめんなさい」和輝は急いで目を伏せた。
「あ~あっ 派手にやっちゃったわね。壁にまで飛び散ってるじゃん」
そう言うと、響子は持っていたシャワーの湯を、和輝が汚した壁に向けた。
和輝は、再び「ごめんなさい」と謝った。
そのとたん「シャー」というシャワーの音とともに、和輝の頭にシャワーの湯がかかった。
「わっ! わっ!」あわてる和輝を無視して、そのシャワーの湯は和輝の身体にまで下がった。
着ているTシャツとパンツがびしょ濡れになった。
「わっ わっ わっ」という和輝の声に「もう、全部洗ったげるから、そこで全部脱いで、こっち来なさい」
シャワーの湯を和輝に浴びせながら響子は大笑いをしていた。




