スフィと勇者と『オーパーツ』
ヒロインはネコミミにしたかったです(心の叫び)!!
2021.12.26
……といってたらネコミミ(スフィンクス)にしていただけました!!
絶対可憐なスフィちゃんはあとがきのあとでっ!!
「我は『宝物の番人・スフィンクス』。
我が謎を解き明かしたる者には、わが守護する宝物と、わが命を差し出すものなり」
白い衣の少女は粛々と、三つの小箱を並べた。
その手が小さく震えていることは、俺にだってわかった。
「箱の上には、それぞれひとつの名が記してある。
うちひとつは『仲間外れ』だ。
さあ、選べ。
正解の名が書かれた箱に、宝物が入っている」
箱の上には、今日も書かれている――『お味噌汁』『お菓子』『オーパーツ』。
「いやなんでこのチョイスよ」
「うっさい馬鹿とっとと選べっ」
選べるわけねえだろ。
俺たちは知らない仲じゃない。なんなら家も隣のおさななじみだ。
だがある日、村のしきたりが俺たちを引き裂いた。スフィは、世界の希望を封じた宝物の番人に。俺は、その謎を解いて宝物を手に入れ、世に光をもたらす勇者にされた。
けれど、謎を解けばスフィは。
だから俺は、詭弁を弄して謎解きを拒んできたのだが。
「今朝ね、新しい勇者が選ばれたんだって。
早ければ今日にも、ここに来るって。
勇者。わたし、わたしね、」
「こたえは『オーパーツ』だッ!!」
震える声がぶった切られた。
振り返れば、ドヤ顔でこちらを指さす男が一人。隣家の息子ジローだ。
「てめえ!!
わかってんのか!! なぞを解かれたら番人は、いやスフィは」
「ぶっぶー☆彡」
詰め寄る俺の後ろから響いてきたのは、たのしげなスフィの声だった。
「いやうそ?
だってそうだろ、これだけ漢字が入ってない、カタカナが入ってる、長音と半濁音だって入ってる、美化語の「お」もついていない。他二つは飲食物だ。これが仲間はずれでない理由が存在しな」
「それでも不正解です。さ、お帰りはあちらです☆」
陳述はあっさりとぶったぎられ、ジローはスフィんち、もとい祠の外につまみだされた。
二人きりになった俺たちの間に、静けさが流れる。
「……で。あんたはどれを選ぶの」
目を伏せるスフィ。俺はもちろん、『オーパーツ』の箱を指さした。
「せーいか――い!!」
「はあああ?!」
スフィがふたを開ければ、そこには給料の三か月分で手に入れる『Oの型をしたパーツ』が入っていた。
鈍感野郎の俺でもわかった。これが村中を巻き込んだドッキリだったと。
煮え切らない俺に、はっぱをかけるための。
以下、おまけです!
「いやお味噌汁とかお菓子選んでたらどうなってたんだよ?」
「まず、お菓子はマリトッツォ。指輪を仕込んでプロポーズに使う伝説のお菓子ね。
で、お味噌汁はトーゼン、分かるでしょ?
指輪を仕込んでプロポーズに使う、伝説のソイスープよ!」
「仕込まねえよッ!!」
「そうなの?!
私毎日この箱の中に入れるために新しくお味噌汁作ってたのに!!」
「だからなんかここ味噌の香りがしてたんかあっ!!
っていうか全部正解か――いっ!!」
突っ込みながらも俺は、正直なところ思っていた。
そんなスフィも、可愛らしいと。
だから、言ったのだ。
「まあ。
今まで待たせた分。その。
……幸せにしてみせるから」
きらきら光る『オーパーツ』を、彼女の細い指にそっとはめながら。
2021.12.26
お味噌汁スフィちゃんです(*´ω`)bカワイイ!!
金目猫先生、誠にありがとうございましたっ!!