協力
トバが咳払いをし、俺達を集めて、話しを始めた。
「こんな所まで来て、追い返すようなことして本当にすまないと思っている」
トバは俺達に、頭を下げてきた。ラバルが焦って喋る。
「いや、そんな女王様が頭を下げることはないですよ」
ラバルは、そうやって優しくトバに言葉をかけた。
「そんなことでは私の気が収まらない!お前達は身体を張ってこの街を守ろうとしていたその心に、私は人間に対する考えが変わったんだ!何かお礼をさせてほしいのだ」
トバそうやって俺達に向かってそう言った。
「ラバル。とりあえず手紙を渡してみたらどうだ?」
俺はラバルに言った。
「そうだな、王女様。これは我が王からの手紙です。」
ラバルが王様から貰った手紙をトバに渡した。
「…ふむふむ、なるほど…そこまで考えていたのか…」
トバは手紙の内容を読んでいた。
「なぁ?ラバル、手紙の内容にはなんて書いてあったんだ?」
俺は小さい声でラバルに聞いてみた。
「フン、俺には勝手に人の手紙を見る趣味はないからな」
っち!なんだよ、こいつ真面目かよ。
「手紙の内容は大体わかった。人間達の王はまるでこうなるのを知っているかのような内容だった。」
俺達の王様は一体どんな内容だったんだろう。
「私は、不覚にもあの黒いローブの男に脅され、邪神の封印場所を喋ってしまったのだ。」
黒いローブの男…クロマのことか。
「やっぱり、クロマって男は邪神を復活させようとしているんすか!?」
ショウはそう言った。
「その可能性、大いにある。お前達に今から邪神の封印場所を教える、そしてこのことをお前達の王様に教えてやってくれ。」
俺達はトバに邪神の封印場所が印された地図を貰った。
「我は…どうしたらいいのだ」
ラドは凄く暗い顔をしていた、そうとう落ち込んでいるようだ。
「事情はわかっている、お前はあの男に騙されていたのであろう、仕方ないことだ」
トバはそうってラドの事を許しくれている様子だった。
「我は、今回の件で本当の敵がわかった!人間達に力を貸す!」
どうやら、ラドは人間の味方についてくれるようだ。
「私達も協力をするぞ、手紙には邪神の事で何あったらお互いに協力しようと書いてあったからな」
トバはそう言ってきた。
「よし、とにかく俺達もホワイト城に帰り、この事を王様に伝えにいくぞ」
ラバルが俺達にそう言った。
そして俺達は船に乗った。
「ああ、人間の街が楽しみだぜ!」
ドクは船に乗っていた。
「あれ?なんで着いてくるんっす?」
ショウがドクに向かってそう言った。
「あぁ?お前ら、俺との約束を忘れたとは言わせないぜ?」
俺は思い出した、最初のトバに会わせてくれるときにドクと約束したことを思い出した。
「あぁーあれだよな、人間の街の料理を奢るって約束だよな…」
俺は、そういってショウの方を見た。
「え?なんで俺の方を見てるんっすか…兄貴もしかして金ないんっすか?」
そう俺には金が無い。今思えば、俺はこの異世界に来てからお金をもったことがなかった。
「そういえばラドも、この船に乗っていたよな…?」
俺はその場を逃げるようにして、ラドを探していた。
「お?いたいたってラバルのいるのかよ」
でもなんだがラドの様子がおかしい!あいつ何かしやがったのか!
「おい!ラバル!お前!何かしたのか!」
俺はラバルに対してそう言った。
「何もしていない!ラドさんは船酔いをしたんだ」
え?船酔い?
「うぅ…なんだこの不思議な感覚は、気分がもの凄く悪い…人間達はこんな物に普段から乗っているのか…」
ラドはとても気分が悪そうだった。空中に飛んだりするのに船酔いはするんだなっと俺は思った。
「はぁ…なんか、俺疲れたからちょっと休むわ」
俺はその場を離れ、一人でゆっくりとすることにした。
「…さすがに今回は疲れたな…」
俺は、今回の戦いでそうとう無茶をしたいたなっと思い返していた。まず最初にドクと戦って血だらけになって、一日休んだが、その次の日は、白竜と戦ってその後にザブって子供とも戦ったな…
「…神に力を貰ってなかったら、俺、確実に死んでいたな…」
俺はこの世界で来る前の元の世界にいたことを思い出した。自分一人では立てない身体、病弱で独りぼっちの日々を。
「兄貴!なにしんみりしてるんすか?似合ってないっすよ」
ショウが俺に声をかけてきた、せっかく色々考えていたのに。
「まぁ、今回は無茶しすぎたなって思ってな」
俺は少し笑いながらショウに言った。
「…今回だけじゃないっすよ…いつもいつも!兄貴は無茶をしすぎっす!」
ショウは急に俺に対して怒ってきた。
「なんだよ、急に…」
「兄貴!もっと自分を大事にしてくださいっす!いっつも見てるこっちの身にもなってくださいっす!兄貴は一人じゃないっすから!」
ショウが俺に対してそう言ってきた。そうか俺はもう一人じゃないのか…
「大丈夫だショウ!俺はなんたって主人公だからな!なんかんだこうして生きている!」
俺は胸を張ってショウに言った。
「はぁ…真面目に語った俺がなんか馬鹿見たいっすよ」
ショウは俺に対して呆れてそう言ってきた。
ブゥウーーー!
船の音が鳴り、俺達はどうやら港街についたらしい。