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農民ライフのお約束  作者: 一宮 カエデ
4/10

農業魔法調べたった

不思議な毒舌女性プレイヤーと出会ってから俺はしばらく唖然としているだけだった。


「寝るか……」


完全に現実逃避である。


実際明日は会社に行く日である。


その日は明日に向けて早くゲームを切り上げて寝ることにした。







新しい朝が来た。


憂鬱な朝だ。


それが出勤日だとなおさらだ。


「め、飯……」


昨日はゲームを切り上げたあと、なにも食べずにベッドで寝たのでお腹が空いている。


しかし俺は飯を食べることはできなかった。


簡単なことだ────


「寝坊したァァアアアア」







「ぎ、ギリギリ間に合った……」


「朝から大の大人が全力疾走、滑り込みセーフなんて恥ずかしくないんですか? 先輩?」


「琴乃葉、お前先輩に向かって──」


「これ、私が朝早く(・・)来てまとめた資料です。 何かあったら言って下さい」


「あ、ありがとう」


この毒舌女は俺の会社の後輩である琴乃葉 継未(ことのは つぐみ)


俺の1年下の後輩である。


見た目ちっこくて高校生だと言われても納得してしまうレベルである。


仕事しているときは髪をポニーテールにしていて綺麗な顔がはっきり見えている。


本人には絶対に言わないがかなり可愛い。


しかも会社の先輩達や同僚からも人気が高く、仕事もできて何より愛想がいいと評判である。


俺以外には…………。


まぁ、これが終われば家に帰ってゲームが出来る。


会社からもこの嫌みな後輩とも解放される。


昨日の魔法について調べなければ……。


昨日助けてくれた人にもお礼を言いたいんだけど。


そう言えば琴乃葉と性格似てるよな────


「川野、これよろしく!」


上司から俺が休んでいた間の仕事が渡される。


「あ……はい…………」


俺は今日帰れるのだろうか?







「ただいま……」


誰もいるはずがないのだが一応家に帰ると決まってしている。


もちろん返事なんて返ってくるはずもない。


現在時刻は3時である。


明日起きるのが6時だとするとそのぐらいがベストだろう。


一時間睡眠時間をとるとして…………


「あと二時間ぐらいはプレイできるかな?」


俺は飯も食わずにゲームを始める。


「ゲーム スタート!」


視界が一瞬ぼやけるといつもの『フリーライフ』のセーブ場所である始まりの町、『コックの宿屋』のベッドに横たわっていた。


「よし、やるか!」


何時も通りに大きな声を出し、やる気を出していく。


そういえば宿屋で大声出して大丈夫なのかな?


まぁ、大丈夫だろう。


この世界はゲームだ。


そこら辺はちゃんと配慮されているだろう……。


配慮されてているよな?


そんな事はどうだっていいか……。


今日は昨日の検証だ!


昨日手に入れた魔法、『農業魔法』を使うのである。


明日は会社だが徹夜になってしまうだろう……。


とりあえずスライムをブッパしていこう。







「オラァァァアアアア!」


俺は今スライムを殴り殺している。


「は、はぁ、はぁ、疲れた……」


殴り続けるにしても体力が必要となってくる。


要するにめっちゃ疲れる。


なんでゲームにスタミナなんて付けたんだろうか?


でもスタミナってゲージはないし……。


そう言えばこのゲームの動く時と、現実で動くときのスタミナの減りは殆ど変わりないよな?


もしかしてこのゲームのスタミナは現実でのスタミナと同じなのかもしれない……。


と言うことは?


中高大と、帰宅部に所属している俺にとってはこのゲームは全然合って────


「これ以上考えるのは止めよう……」


と言うか検証だ。


さっき殴ったのは他でもない、スライムを魔法無しで倒した場合のかかる時間を計っていたのだ。


次は魔法を使う。


手頃なスライムが50メートル前方に見えたので走って行く。


ある程度近づいたら勢い良く魔草の種をスライムに向かって投げる。


『魔法!』


この前の様に呪文?を発言する。


体の中にある何かが抜けていくのが分かる。


抜いていくものが止まったかと思うと、一瞬にしてスライムから魔草が生えてきて、スライムが絶命した。


「よし、とりあえず……」


発動した……。


昨日の事がバグだったり、夢だったりしたら怖かった。


実際最弱職と言われている農民が次のステップに進むための道が開けたのだ。


次はいよいよゴブリンだ。


農業魔法について今までの体験で分かったことは、『トロールすら一発でおさらばの攻撃力』『発動までに約3秒のロスタイムが応じる』ということだ。


一言────超強い。


昨日のトロールとの戦闘でもう少しでレベルが上がるが、現在のレベルは7だ。


しかも生産職だとする。


トロールがレベル15の戦闘職が4人パーティーを組んだとする。


このゲームのパーティーの大まかな要素はタンク、アタッカー、ヒーラー、マジシャンで組まれる。


この四人で適正。 それがトロールである。


それをたった一撃、それも時間3秒……


強すぎる。


この情報は隠した方がいいかもしれない。


このゲームではPK推奨である。


妬ましく思った他のプレイヤーに嫌がらせも受けるかもしれない。


そう考えるとこの事は誰にも言わない方がいいな。


そう言えば魔草は魔力を回復してくれるんだよな?


どうやったら魔力が回復するんだ?


何はともあれ、とりあえず食ってみるか。


魔草の種は食えたから大丈夫だとは思うが……。


俺はスライムから出ている魔草を1つ摘んで口にいれた。


「苦い……」


マズイ……。 魔力はどうなったんだ?


「ステータス! MP」


【MP 88】


減っていない!?


いや、そんなことはないはずだ。


さっきスライムに使ったし……


と言うことは────


「魔草はそのまま食べても魔力が回復するのか……」


良いことを知った。


時間を見る。


「今日はもう切り上げた方がいいかな……」


時刻は5:30──残された睡眠時間は約30分。


「いや、今日からレベル上げをやっていくか……」


やっとスライム以外のモンスターを倒せるようになったんだ。


農業魔法がどこまで通用するかわかんないけど頑張るしかないな……。

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