表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
下妻サーキット  作者: のーでーく
59/62

決勝レース

58.決勝レース

ツバメはスターティング・グリッドからピットに駆け戻った。

「あっ、来てくれたんだ」そこには、ジローの息子の典行がいた。

「1回くらい観てもいいかなって、たまたま時間できたから」

「始まるよ。ジローさん、速いんだからね」ツバメは自慢げにそう言って、スタートラインを見つめた。


ストートの合図のレッドシグナルが消えてスタート!

スタートダッシュを決めたジロー。しかし、更に絶妙のスタートを見せ、ホールショットを決めたのは北野だ。しかし、ジローもすぐに追いすがる。2位で追走する。

「ウッソー!すげっじゃんジローさん」ケンちゃんが驚いて叫んだ。

レースは、3位以下のライダーの接触コースアウトがあったせいで、ジローと北野の二人が抜け出し抜きつ抜かれつ、一騎打ちのバトルになった。

メインストレートに帰ってくるたび、大きな声でジローを応援する仲間たち。

ジローもみんなのアクションで応援を感じ、それを力に変えて走り続ける。

インフィールドでは、北野にかわされるものの、マシンの性能差のおかげで、バックストレートで抜き返し、コントロールラインを抜けるまでは常に先行する有利なレース展開となった。

インフィールドでも少しでも離されまいとギリギリの速さで必死に食らいつく。

そしてラストラップ。

第2ヘアピンを立ち上がり加速重視で、しかも、スリップに着くことに成功。

「やった!行けるよ!」ピット上の観戦エリアに駆け上がって観ていたツバメが叫んだ。

バックストレートで先行をさせても最終コーナー入口でインに飛び込める。

北野がギリギリまでブレーキングを遅らせブロックラインを通る。


ツバメからは、コントロールタワーが死角になって見えない。

祈るように手を組みコーナー出口を見つめ続ける。


タイヤのグリップ力が下がっている。アクセルをギリギリまで開けて前を行く北野。ジワジワと外側に膨らむマシン。コーナーイン側に隙間ができる。

その内側を北野よりも速いスピードでコーナリングに入るジロー。

インとアウトが入れ替わりながらコーナリングしていく2台のマシン。

コーナー出口。

北野が外に膨らむ。

ジローがまた内側から立ち上がる。


その二人の前にエンジンの不調でペースの遅い周回遅れのマシンがいた。

ブルーフラッグに気づいたそのマシンは、外側の北野のマシンに気づき急激にスピードを緩めた。

そのせいで、ジローの進路を遮る。

ジローは追突を防ぐため、アクセルを緩める。間一髪接触を避けるものの北野を抜くタイミングを失する。

ジローはそのまま逃すまいとアクセルをワイドオープン。

リアタイヤが滑りアクセルを戻した次の瞬間、ハイサイドでジローの体が飛ばされた。

最終コーナー出口の外側路面にたたきつけられたと同時に、ジローの体にマシンが激突した。

「ジロー!!!」

ツバメの悲鳴が響き渡った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ