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下妻サーキット  作者: のーでーく
55/62

打ち上げパーティー

54.打ち上げパーティー

いこいサーキット、シーズン終了打ち上げパーティー。下妻サーキット行ってた賀茂田にトシ、ケンちゃんとバレが、先に帰ってきた。いこいサーキットで留守番してくれてた、バイトの樋口、派手なシュシュのポニーテール。ツバメの母、幸音も参加した。

その場に遅れてきたツバメとジローは、遅れた理由を報告した。


「実は、帰って来る途中、二人で話しをしまして、いろいろあって、結婚の約束をしました」みんなに向かっていった。「そこで、急ではありますが、幸音さん、バツイチで成人した子供がいる47歳の中年男ですが、どうかツバメさんとの結婚を許してください」ジローは、ツバメの母の幸音に向き直り、腰を折って頭を下げた。「お願いします」ツバメもそう言い頭を下げた。

驚いた様子で二人の下げた頭を見下ろす幸音。大きく息を吐いた。「あなたたちが、いつも一緒にいるとこ見てて、そんなこともあるのかなって思ったことはあった。でも、本当になるなんて」あきらめともつかない表情でジローを見た。「一つお願いしていい?ツバメの食事。ちゃんと毎日栄養取って、大食いとか無理なダイエットとかしないように気を付けてくれる?それができれば、きっとこの子、健康でいられるから。」そう言って右手を差し出した。

ジローは、その右手が承諾のしるしだと自分も右手を出し、軽く握った。「いや、オレがひとり者でいい加減だったから、ツバメさんのほうがすごく気を付けてくれてます。だから、心配は無いです。大丈夫です。」ツバメも自信ありげにうなずいた。

「そう、良かった。これからもよろしくお願いしますね」そう言ってにっこりとした。その笑顔にジローとツバメはホッとした。

「結婚式はどうすんだ」ケンちゃんが唐突に聞いた。「俺、葬式ばっかみてっから、たまには結婚式とかみたいじゃん」

「そんな事、しないよ」ツバメがすぐにそう言った。

「なんだよ、なあ」バレに同意を求めるようにそう言った。「そうか。じゃあ、ウエディングドレスは無理でも、来シーズンに着る新品のライディングスーツ出来てたろ。それを着てこいよ。それでみんなで記念写真撮ろうぜ」

「えー、本気?」

「あったりめえじゃん。なあ」そういってまたバレに同意を求め、「なあ」トシにも同意を求めた。

「ジローさん、うちの家族も呼んでいいですか」

「ああ、もちろん。ずっと世話になってるから、来てくれたらうれしいよ」その答えを聞きながら、トシは外に出て行った。

「幸音さん」そう賀茂田が呼んだ。そして何か耳打ちする。

「じゃあ、着替えてこようか」そう言ってツバメと控室に入った。

「新郎は」そう言って見回した。

「バレ、お前のネクタイ貸してみろ」そう言って、ジローに渡した。

「俺もいつもネクタイ持ってるけど、黒だかんな」ケンちゃんがそう言った。


ジローは、息子の典行に電話をした。「なんか、急だけどこんなことになっちゃった。ノリをまた巻き込んじゃうことになって、悪かったな」

「いや、僕もツバメさんと会った時から、そんな予感、有ったから。」そう言って笑い「でも、きっと母さんも女の感ってやつだったんだね」ハハっと声に出して笑った。


ツバメが幸音の白いシュシュにピンクのいこいサーキットのタオルでブーケに似せて花飾りを造り、真新しいライディングスーツで出てきた。簡単な化粧をしたツバメは、綺麗だった。

「ほら、ジローちゃん、横に立って」ケンちゃんに促されて照れながら並んで見せた。

「おい、バレ、お前神父やれよ」

「エー無理だよ」ケンちゃんが無茶を言う。

「みんな、知ってます?こいつ司法試験とかいうの、受かってんですよ。法律の専門家。親も弁護士。」

みんな、へーとかえーとか言って驚いた。

「だからって、無理だよ」

「しょうがねえな。じゃあ、俺が言ってやるよ」そう言ってジローとツバメに向き直った。

「斉藤次郎君、浅野つばめさん。お互いに結婚することを誓いますか。」唐突に言ったケンちゃんの言葉に、一瞬顔を見合わせた後頷いた。

「ハイ!」二人は声を合わせてそう答えた。

「オメデトー」「オメデトーー」賀茂田、トシ、幸音、ケンちゃん、バレ、翔馬、智子、茉莉、桃川、バイト。みながお祝いを言ってくれる。

「ありがとうございます」二人でそう言い、もう一度目を合わせたあと頭を下げた。

「まさかこの子が結婚できるなんて。でも、その相手がこんなに年が離れたおじさんだなんて。あたしのほうが歳が近いんじゃない。あっという間に未亡人になっちゃうんじゃないか。」

「ヤナこと言わないでよ!」

「さっき、ツバメにもそう言われたんだ」ジローはそうバラした。みなが笑った。


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