表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
下妻サーキット  作者: のーでーく
53/62

チェッカーフラッグ

52.チェッカーフラッグ

アジアコーナーから第2ヘアピンを抜け、バックストレッチに突入。

スリップから岡島が外から並びかかってくる。ジローも中野のスリップストリームについている。その後ろにもピタリと五木田が張り付いている。中野は、後ろの3台に引っ張られるようにスピードが載らない。

《トップの青木がホームストレートに帰ってくる。その後ろ、2位集団4台が入り乱れるように最終コーナーへ》

先に飛び込んだのは、ジローだ。しかし、外側から中野が上がってくる。五木田がクロスラインで内側に入ってくる。

コーナーの出口を睨み続けるジロー。「風が、止んだ……」マシンが、ジワジワとスピードを上げてゆく。

ピットから身を乗り出して、ジローたちのバトルを見つめるツバメ。

コーナー立ち上がり、ジローの目に飛び込んできたチェッカーフラッグ。並ぶようにゴールラインを抜けた。

《勝ったのは、ゼッケン24番青木卓也!2位以下は写真判定だ》 そうアナウンスされた後。電光掲示板のランプが、表示された。

《2位は、ゼッケン66番、斉藤次郎!3位が54番中野。以下、五木田、岡島、宇田川の順》


1コーナーをゆっくり回った。S字コーナー手前で、金網の向こうで手を振る観戦者たち。その中で、ピンクのタオルを振り回している。

「ツバメだ」

「ジロー、やったね!2位だよ」叫んでいる声は聞こえない。しかし、ツバメの指さす先の電光掲示板の上から二番目に66が点灯している。

「前だったんじゃないかと思ったけど、間違いじゃなかった」ジローが、遠慮がちに、軽く左手の拳を上げた。


ゼッケン66番斉藤次郎。シモツマ2サウザンオールスターズバイクフェス

決勝2位フィニッシュ。サーキットのオフィシャルたちが、旗を振ってたたえてくれる。歓喜と疲労が混ざり合った身体で、手を振りながら、さっきまで必死で走っていたコース上を、ゆっくりと見回しながら走り続ける。 

そして、ウイニングラップを終えてグランドスタンド前に帰ってきた。

ツバメや賀茂田がグリッド上に迎えに来てくれた。

「おめでとう。バトルに勝っての2位だよ。凄いよ。頑張ったね」ストップしたマシンを支えてジローがバイクから降りた。

「ホントにスゲエな。まさか、2位になっちまうとは思わなかったぜ。おめでとう」少しふらつくジローを支え、ツバメからマシンを受け取った。

「オレも、思ってなかった。いやー、うれしいなー」

「オメデト」ジローが外したヘルメットとリムーバーを受け取った。

「ありがとう。ツバメコーチのおかげです。」そう言った後、大きく息を吐いた。

「ツバメはオレにとってのバイクの神様だ」

「ううん、ジローこそアタシのバイクの神様だよ。バイクが楽しいから、バイクに乗りたいって思ったのはジローのおかげだから」そう言って笑うツバメの顔を見られたのが、何よりもうれしかった。


表彰式が始まり、インタビューを受けるジロー

《凄いバトルでしたが、それを制し2位になったお気持ちはいかがですか?》

「まさか自分がこんな場所に立てるなんて、思っていませんでした。一緒にレースに来てくれた仲間と、コーチに本当に感謝します」

ツバメや賀茂田、トシ、ケンちゃん、バレが拍手で称えてくれる。みんなの笑顔がはじけた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ