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下妻サーキット  作者: のーでーく
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事務長ライダー、五木田

49.事務長ライダー、五木田

「こんちわ、いつもお世話になってます。中曽根設備です」

「アレ、水道屋さん。そんな格好で、どうしたんですか」知っていたんだろうが、とぼけた様子でそう言う五木田。

「いや、事務長さんにいろいろ教えてもらったおかげで、レースにまで出るようになっちゃいましたよ」営業トークも交じりながらそう言ったジロー。

「アレッ、私なんか言いましたっけ?」

「サーキットを走るなら、覚悟が必要だって」

「エッ、そんなこと言いましたか。それは生意気なこと言って、失礼しました」五木田は笑ってそう言った。「それでは、水道屋さんも覚悟ができたんですね」

「私も一度鎖骨骨折しまして」

「やっぱり、みんなやるんですよね」

「その後事務長さんに言われた覚悟っていうのが必要だって思いました。なんで、自分なりに覚悟を決めました。有難うございました」そう言い、ぺこりとお辞儀をした。「それでは、またよろしくお願いします。お手柔らかに」

「仕事は、よろしくできますが、レースは厳しくいきますので、お手柔らかにはできません」五木田の目に冗談ではない光が見えた。

「はい、では、厳しくお願いします」ジローは、自分の緊張が集中に変わったことを感じた。


下妻レースクイーンにより、レース1分前のプラカードが掲げられた。

「まずは、スタート。何としても、ダッシュ決めるのよ。そして、バックストレートから1コーナーまでの直線、最終コーナーは、なるべくバイク立てたまま抜けないと失速するから気を付けて。スリップストリーム使って、マシンに負担かけないように」ツバメのアドバイスを聞きながら、ヘルメットの顎ひもを確認した。賀茂田がエンジンを始動させ、スタンドを外し、マシンに跨る。ツバメと賀茂田が急いでコースの外に飛び出る。

グリーンフラッグが振られ、1周のウォームアップラップが開始された。

ジローも走り出した。「スタートを決める。1コーナーは、外側から。立ち上がりからS字で、ラインにマシンを乗せて、ヘアピンは、頂点から加速して、ダンロップからアジアコーナー。切り返しをスムーズに。第2ヘアピンを立ち上がり意識して、シフトアップ。非力なミニバイクは、すぐにピークパワーになるから、身体を極限まで小さくして、空気抵抗を減らし、フルスロットル。そのまま最終コーナーで力を落とさないように。エンジンが出す力を逃がさないようにタイヤでしっかり路面を蹴りだすことを意識して、コーナーを回っていく。」ジローは、イメージから抜け出し、そのままスロットルを緩め、15番のスターティング・グリッドに着いた。


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