ジロー、走行準備する
45.ジロー、走行準備する
また、大手バイク用品のモトモット筑波店に、ライディングスーツの上から着られる首から脛まで全身カバーできるようなオーバーサイズのモトクロス用プロテクターを用意した。
マシンは、モトピット・マルヤでオーバーホールした。
「全然、ちゃんとした点検とかってしてなかったんでしたっけ」桃川が担当してまずは外装やタンク、シートカウルなどを外した。それから、次々と作業を進めていく。
エンジンはヘッドカバーを開けて確認。フロントフォークはステムレースを打ち替えて交換、
「どんな転び方したんでしたっけ?フォーク、インナーもちょっと曲がってますよ。結構重症ですね」ブレーキキャリパーの洗浄、オイル交換、ホイールも、ブレーキディスクもフロントアクスルも曲がっていた。チェーンは固着していた。リアスイングアームは、洗浄点検、給油。リアブレーキキャリパーの洗浄、ハンガーピンの交換。エキパイのガスケット交換。ミッションの点検。
「フレームに割れは無いですね。大丈夫みたいです」桃川は、バイクをすっかり組み上げてそう言った。「出来れば、定期的にメンテしたほうがいいですね。ジローさん、これ付けます?」桃川は最後にマルヤのステッカーを見せた。
「ああ、じゃあ、これからはそのステッカーにも恥ずかしくない走りしなくちゃな。」ジローは、仕上がったマシンの引き渡しを受け、早く走りたい衝動でウズウズした。
「斉藤さんのマシン、コケることが多かったバイクだから、各部がかなり痛んでいましたよ。もっとまめにメンテナンスが必要ですからね。それもバイクを速く走らせて、かつケガをしないためですから。タイヤも早めに変えましょう」社長の宮本から注意を受けた。