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ひだまり童話館参加作品

ふわふわくもくも

「おばーちゃん、おじーちゃんはどこにいっちゃったの?」


手を繋いでいる孫がじいさんの棺の前で私に聞いた。


「おじーちゃんはねぇ」


孫から目を離して、真っ青に晴れ上がった空を見上げる。

ちょうど、ひとつだけふわふわ浮いている雲を指す。


「あのふわふわしてる雲の上にいったんだよ」


目頭が熱くなった。


「なんでおばーちゃんをおいてっちゃったの?

けんかしたの?」


「ケンカなんてしてないよ

ただ、おじーちゃんはアヤカもおばーちゃんもずーっと見守るために雲の上にいったんだよ」


小さな孫の頭を優しく撫でる







ばーちゃんが死んだ。

じーちゃんはずっと前に、私がちっちゃい時に死んだ。

だから私はおばーちゃん子に育った。


真っ白な棺に入って綺麗に化粧をされ、花で埋め尽くされたばーちゃんの寝ているような顔を見るたび涙がこぼれ落ちる。



「おばーちゃん、おじーちゃんはどこにいっちゃったの?」


私の声?


「おじーちゃんはねぇ」


おばーちゃんの声だ。


「あのふわふわしてる雲の上にいったんだよ」


空には雲がひとつだけふわふわ漂っている


「なんでおばーちゃんをおいてっちゃったの?

けんかしたの?」


「ケンカなんてしてないよ」


「アヤカをずーっと見守るために雲の上に行ったんだよ」



「ばーちゃん、そこに居るの?」

涙がとめどなく目から落ちる


『アヤカ、ずーっと見守ってるから、泣くのはやめて笑いなさい』


ふわふわな雲からばーちゃんの声が聞こえた気がした。


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― 新着の感想 ―
[一言] 身近な人は、死後は雲の上というちょっぴり遠いところへ行ってしまうわけですが、それでも見守ってくれていると考えることで、また身近に感じることができる……そんな温かさを感じました。
2015/08/10 20:52 退会済み
管理
[良い点] じんわりと胸に響きました。 命の連鎖を感じる作品ですね。
[良い点] 切ないけどあったかい、そんなお話を、どうもありがとうございした。 アヤカさんの思い出の中にいるじいちゃんと、それを優しく見送ったばあちゃん。そして、ばあちゃんのときには、それを見送るアヤ…
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