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伝説の島――鬼が島

お久しぶりですね。そして、ごめんなさいっ。(スラインでぃんぐ土下座)



鬼ヶ島に着いてから、桃太郎は血走った目でとりあえず、頂上を目指した。

そこから桃マンの甘い匂いがかすかに漂ってきていたからだ。


あの可愛らしいピンク色のフォルム、蒸しあげた時に香る香ばしい小麦粉の香り、…。指で真ん中から二つに割り、口に入れた時にとろけるほど広がる甘く上品な餡。想像するだけで桃太郎の口に唾液が広がり、今すぐにでも食べたくなる一口サイズ!………だというのにその大好きな桃まんが鼠如きに奪われた。墨で描いたような奇妙奇天烈な鼠に奪われてしまったのだ。


許すまじ鼠妖怪っ!! 死にさらせ鬼っ!! ネズミが逃げ込んだのは鬼ヶ島だ。鬼たちがネズミに命じてボクの桃まんを盗ませたに決まっている!! だからネズミたちはここで消えたのだ!!


「打倒! 鬼退治!!」


食い物の恨みに燃える桃太郎は、完ぺきに勘違いという名の“思い込み”をしていた。ご存じのように、桃太郎のきび団子ならぬ桃マンは、猫の妖怪が手下のネズミに命じて盗ませたのだ。

それを知らない桃太郎は、偶然にも鬼の頭領たちのいる部屋に直行した。



扉を蹴破ると大太刀を振り上げている蒼い鬼と偶然拾ったらしき桃まんを手に、前かがみでこちらを見ている赤鬼が居た。その鬼はちょうど処刑されるところだった。


桃太郎はこの状況を見て一瞬で見事に誤算した。――そう、蒼い鬼はボクの桃まんを食べようとした赤い鬼を殺そうとしてくれているのだ――という勘違いを。


実際の所は機会を見計らってた青鬼が隙を見て赤鬼を殺しにかかっただけなのだ。そこに桃太郎が来たという単純なモノ。落ちていた点心は、鼠たちが落していったのだが…。


そして話は前回に戻る。


「お前がボクの桃まんをぉぉ……っ!!」と襲い掛かる桃太郎。

「は?違う違う!嬢ちゃん、俺だよ俺!」


俺おれ詐欺?――とにかく桃太郎は赤ら顔のおっさん鬼に攻め続けます。


「おっちゃん、ここではボクは嬢ちゃんじゃなくてボウズなのっ。いいから桃マンよこせやっ!」


何言っちゃてるの桃太郎!?そこは裏方事情でぼかし……げふんげふんっ、桃太郎は刀を抜き、青鬼と連携して赤鬼を追い詰めようとしています。赤鬼は冷汗をかき、懸命に逃げます。


「…というか人の話聞けっ、刀仕舞えっ、青鬼はどさくさに紛れてこうげきしてくんなっ……って、なんで俺青鬼にまで攻撃されてんのっ?」


「黙れ赤鬼。全部お前が悪いっ。大人しくその子に殺されちまえっ。お前、俺の分まで桃マンくっただろ?食ったよな。食ったんだな。だったら死ねぇぇええええええ!!!」


「どわぁぁあっ!?」


青鬼はその長身痩躯からは想像できない力でもって、赤鬼を一刀両断、抹殺せんと動きます。





少し経って、隣の部屋から爆発音が聞こえてきました。


「死ねェぇぇ――っ! 赤鬼ィっ!!」

「桃マン返せぇーー!!」

「だから、なんでお前が俺を狙うんだよっ! 桃まんなんて俺は食ってないっつってんだろうがっ」


死闘も交えた追いかけっこに発展した仁義なき戦い――桃太郎+青鬼VS赤鬼。


「なんだこの状況は…? なんで敵の青鬼と桃太郎が協力して赤鬼を退治しようとしているんだ…」


「あははははははははっ!――ぃぃーーひっひっひっひっひぃっ…ひゃははははははははははっ!――」


呆然と戦況を見つめ、一人冷静な鵺と床を叩き、涙を流し、大笑いする猫。扉から溢れて襲い掛かってくる幽鬼らを撃退しつつ、二人は結果を見守るようだ。


「なにあの人、さいっこう! あのサディスティックな外道っぷりには惚れ惚れするというか、爆笑を送るよ…あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!」


なにがツボったのか、猫は青鬼を指さし、終いには呼吸困難に陥るまで笑い転げ、地面をたたいて咳き込んだ。すかさず鵺にハリセンで頭をはたかれ、背中を摩って貰っていた。


「笑い過ぎだボケ猫が。」


「ご、ごめん…。でも面白くってさ、つい、ね?」


桃太郎と幽鬼たちによって壁が全部破壊され、中から財宝とネズミたちが出てきてしまった。


「あ、やっべ、(鼠たちを仕舞い)忘れてた。」


「げっ、壁が…」


「も、桃まんがぁぁ……っ!」


壁の向こうには、無残に転がった桃マン数十個…。桃太郎はキレた。キレて何処からかミサイルを取り出した。


「喰らえクソ鼠っ! ファイアっ!!!」


チュッ――逃げ惑う鼠、驚き顔の青鬼さん、鵺、爆風に巻き込まれた形の赤鬼さん、既に逃走済みの猫。


最後に、何かをやり遂げた顔の桃太郎がいた。



その日、鬼が島は地図から消滅した。


ぐっだぐだ。次で最終回。

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