生徒会長は子犬のような後輩クンを飼っている
生徒会長の少女×子犬みたいな後輩クン。
可愛い後輩クンが会長に飼われる話です。
「10月、1日」
水曜日。
「や、やった、学校ある」
テーブルの下で拳をグッと握る。
朝ごはん食べて早く登校しよう。
放課後、楽しみだ。会長から課題をもらえる。
今日も、放課後に会長と話す以外は、誰とも話さない。いや、話せない。
会話をする度胸がないから。
けど、会長と放課後に話せる。だから、ボクは学校に行ける。
「楽しみだ…」
小声。
つい、足をパタパタしてしまう。
毎月初日はワクワクする。
「はい、今月の課題図書」
「あ、ありがとうございます」
放課後の図書室。笑顔の会長から、3冊受け取る。
小説を2冊、小さな絵本を1冊。
絵本、助かる…。
本、苦手だから。
「オペラ座の怪人と、ロミオとジュリエットと、あと、お化けの絵本」
「は、はい」
「今月、文化祭があるからね。オペラ座の怪人はそれっぽいし、ロミオとジュリエットは文化祭の劇の定番じゃない? 漫画とかだったらさ」
マンガ読まないから分かんない…。
会長が言うから定番なんだ。
「そっちの絵本は、ハロウィンぽいから。怖い内容だけど大丈夫?」
「が、がんばります」
表紙から怖そうだ、白いお化け。
会長が選んでくれたんだ、読もう。
「ロミオとジュリエット…」
ボクは呟く。
ロミオとジュリエット、存在は知っている。禁断の恋の話だったような。ロミオ、なぜあなたはロミオなの。何でそんなこと言ってるのかは、分かんない。哲学なのかな。哲学は難しい。
「後輩クンも劇でやってみたい?」
「ボ、ボクは、恥ずかしがり屋なんで」
「ロミオを堂々としたらギャップ萌えだね、いつもは子犬みたいだから。喧嘩の所とかとか特にギャップ萌え」
ケンカ怖い…。
「3冊きちんと読んでね、で、感想書いて? いつもみたいに。
小説家になるために、頑張ろう?」
「は、はいっ」
ボクは、会長に近付きたい、それだけなんだ。
だから、あの日、「ボクは小説家を目指している」て嘘をついた。
書いたことなかったのに、本も教科書以外読んだことなかったのに。
でも、ボクは、小説家になりたいと思っている。
会長と少しでも長くいたいから。
両親の方針で、会長は東大に行かないといけないらしい。
東大、ボクが行けるはずがない。ボクは勉強も、運動もできないんだから。推薦もムリだ。
小説家になれたら…。
3冊、受け取った。
読もう。
オペラ座の怪人は厚く、ロミオとジュリエットは薄い。絵本も頑張る。
本は、今でも苦手だ。
でも。
近付きたい、ただそれだけなんだ。
ちなみに、名前は出しませんでしたが、絵本は『ねないこだれだ』です。少し怖い話でハロウィンにピッタリですね、同じ作者の『けんかしないで(?)』もオススメです。




