悪夢と理想郷
投稿遅れてます結衣です。
はい、今久しぶりに投稿しました
ロリコン。それは日本において最も忌み嫌われる性的嗜好の一種である。
正式名称はロリータ・コンプレックスで、
この言葉が使われるようになったのは1970年代からだとされている。
そもそもロリータとはある文学作品のタイトルでありヒロインの呼び名であったこともあり、概念としてはかなり古いものである。
そして何より、小児性愛病と混同されがちである。いわば思春期前の年下の女児に対する劣情というのは精神疾患であれども、そうでなかれども、けしからん、というのだろう。
そうして日本における最悪の嗜好という烙印を押されてもなお生き続けているこの概念だが、実はこの嗜好を持っている人間は全人口の0.1~0.5%とされている。そしてその内半数はこの嗜好が原因で自殺を考えたことがあるというのだから驚きだ。では残りの半数はどうなるのだろうか。彼らの「夢」はどこに行くのだろうか。
「ま、魔法?!」
そう驚く二人をよそに恍惚とした表情で玲唯が語り出す。「やっぱりファンタジー小説では魔法ってベタじゃない?私も一度は使ってみたかったの!でも魔法をどんな種類にするか迷ってて…あっ!そうだ!精霊使いとかどう?!」
「えぇ?というか流石に精霊使いはベタすぎないか、うん。」そう反応しても聞く耳を持たず、「あー、でも精霊使いは自分一人では出来ないからなぁ…やっぱ魔法使いかなぁ。」と話を進める。「玲唯?聞いてる?」もう一度確認したところでようやくこちらに気づいたようで「へ?どうしたの?」とさっきまでの熱弁ぶりはどうしたやら、急に元のテンションに戻る。「いや…えっと魔法使いになりたい…ってこと?」もう一度聞き直すと、「そうだよ、でも何の魔法がいいかわからなくて…」と自信なさげに答える。本当にさっきまでの熱弁ぶりは何だったのか…。
「うーん無難に風魔法とかでいいんじゃない?」そうわからないなりの知識を振り絞って提案すると、「うーん、風かぁ…できれば回復できるのがいいなぁ」とさりげなく却下される。「回復できる魔法…水魔法とか聖魔法とかってこと?」
読んだことのあるファンタジー系小説では大体そういうタイプの魔法だけ回復要素を持っていたような気がする。
「そうだね…水魔法にしようかなぁ、でも聖魔法も…いいよねぇ。」色々迷った末、どの魔法にするか決めたらしく、顔を上げ、口を開こうとして、やめた。
「…女神様?なんだか浮かない顔をしてますが…大丈夫ですか?」そう玲唯が訊ねると、女神さまは驚いたように目を見開いて、何かを言おうと口を開きかけ、再び閉じ、もう一度口を開く。「何でもないわ、で、あなたの願い事を言ってごらんなさい?」そう言う彼女の言葉節には、何かを堪えているようなものがある。すると、玲唯が、「もしかして女神さま、魔法に対して何か嫌な思い出があるんですか…?」とさらっと真実に辿り着き、女神さまの顔がさっとこわばる。
「そ、そんなわけないでしょう?ほら、早く教えなさい?」平静を装い答えるが、誰が聞いても疑うであろう、うわずった声である。
「…もしかして今まで自分のお気に入りの魔法を選んでもらったことがない的な…?」玲唯が恐る恐る訊ねるが、流石にそんなことはないだろうと「流石にそんな…」と言いかけたところで「そうなの。」と一言、女神さまが答えた。思わず女神さまを凝視する。「昔、はるか昔、まあ500年ぐらい前ぐらいかしらね、魔法を求めてこの世界にやって来た冒険者たちがいたの。みんな次々と来るんだけど、全員水魔法とか火魔法とか光魔法とか陰魔法とか風魔法とか聖魔法とか自然魔法とかばかりもらっていって、一度も私の魔法をもらおうとしてくれなかったの。まあ私の名前を知らないひとも多いみたいだしね…。」そう僕を見ながら続ける。玲唯は少し瞠目し、目を大きく開いて「じゃあ私がその魔法を選びます!」と高々と宣言した。唐突な決断に面食らう僕をよそに、女神さまの顔がぱっとあかるくなり、「わ、わかったわ!」と嬉々として「じゃあついでに私の加護と、あ、あと元々欲しがってた魔法も…」と至れり尽せりの大サービスをする。よっぽど自分の魔法を選んでくれる人が出て来てくれたことが嬉しいのだろう。
そして晴れて魔法使いとなった玲唯は幻想魔法なる魔法と幻想の女神の加護、そして聖魔法を操れるようになった。「すごーい!」そう無邪気に笑いながら杖から特大の魔法弾を撃ちまくっているが、ふと気になってこれってマナとかなくなったりしないのか、玲唯に訊ねる。そう言った瞬間、玲唯が魔法を撃つ手をとめ、こちらを見る。「あっ…」と苦笑いをする彼女の手はわなわなと震えている。しかし、そこで女神さまが「マナのことなら心配しなくてもいいわ、私の加護に【マナ消費-99%】【マナ吸収+55%】がついてるから〜」とフォローする。そんなチートじみた加護があっていいのかと思ったが、まあ彼女なりのご厚意なのだとして受け取っておく。こんな感じでトントン拍子で話が進んでいるのは、おかしい気もするのだが、そもそも異世界に飛ばされてる時点で十分におかしいので大丈夫だなと一人合点して違和感を相殺する。それがこの世界の恐ろしさだとは知らずに。
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