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雨と、忘れものたちについて

作者: amefuri


 僕たちは「またね」をきっと守れない 頼りない瞳に巡る雨季


 泣いたあとこころに虹が架かるまで いつも通りにかける掃除機


 省エネを極めて山でひとりきり灯盗蛾ヒトリガを躍らせる自販機


 乾電池みたいに君をセットして「酸素はサラダ」と歌う飛行機


 台風が僕の右目に重なって 見下ろす 岩波文庫の古事記


 火の中でエイジングしたほっぺたを点検しあう月下の陶器


 原因がなんだったのかわからないまま愛してる 雨の降る音


 時刻表どおりに来ないあかちゃんが心音だけで伝える強気


 愛情を貸方に寄せつじつまのあわないままを受け止める簿記


 雨の日も ネイルアートが本体のモビリティだと思えば無敵


 食べるたび さまよっていた魂の誰かが入る わたしは居抜き


 口笛を先行させてさかのぼる 暗い列車のしっぽのほうへ


 歩くのも踊りのひとつだからゆけ 君の命はまだ生乾き


 まっしろな闇を抱えてつぷつぷと知らない文字を吐く炊飯器


 小説の地の文がうるさくなって 見上げれば星空もうるさい


 かかげると先が幽かに光りだすわたしの傘とまたすれ違う

 

 去年までコンビニだった思い出が 君にたばこを吸わせているね


 コンタクトレンズは雨と同じくらい落ちてるのかも 涙とともに




            了


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公式企画「俳人・歌人になろう!2023」参加作品です。


▼小説家になろう 公式企画サイト

https://syosetu.com/event/haikutanka2023/

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