表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
~~私は転生しても社畜がいい~  作者: さんま_たけのこ
1/1

プロローグ

お話の内容は本編で書きます。

炭坑奴隷の暮らし、『あ~』とか『う~』と無意味な声を漏らしながら、無味無為に読んでいただけますと幸いです。


誠に感謝、共に拙い文章、お目汚し失礼します。



チュン、チチチチ・・・


日が昇る。

照らされた大地から雲が立つ、夜露はじきに乾くだろう。


カンッ! カンッ! カンッ!

  カンッ! カンッ! カンッ!


鐘楼から、朝を告げる音が響く


カンッ! カンッ! カンッ!

  カンッ! カンッ! カンッ!


「ふぁ~あ」

「イッキシ!」

「ぅあ”~~~」


雑魚寝の大部屋、至る所から朝の訪れを疎む声

ここは10人前後が横になれる雑魚寝部屋


誰彼なく近くの寝床を片付ける。


自分の手のひらより薄い敷布を巻き、砂利の詰まった枕を集め、掛布とは名ばかりの

腹かけの布を部屋隅の籠に投げ入れる。

統率こそされていない物の、皆一様に協力し、今日の朝飯について話をする。


???「今日は豆の日だったか?」

???「たしかそのはずだ」

???「ん?朝ションの時、山塩の匂いがしたから、葉物だと思うぞ」

???「うわ~ほんとかよ、力でねぇ」

???「まぁ、もうちっとしたら、いいもの出るさ秋前はあきらめろ」


ドタ・ドタドタ・・・・

寝巻は無い、常日頃身に着けっぱなしの腰巻と、申し訳程度のシャツを着た男たちが

ワラワラと廊下に歩み出る。

隣の雑魚寝部屋も片づけを終えたのか、同じような男たちが現れ、外に向けて歩き出

す。

廊下先の部屋から・・2階からも・・


外に出れば、似たような建屋から同じように男たちが湧き出す。

少し歩いた先にあるのは、開けた場所、2階建ての大きめの建屋、少し装飾もされて

いる2回には、

広場を見渡せるベランダがあった。

そこには若干やつれ気味だが、男たちとは違い衣服をまとい、禿げた頭を朝日に照ら

し、

涼しくなってきた秋前の早朝にもかかわらず、額に汗しながら必死に声を張り、何か

問答を繰り返す男がいた。


???「今日は筋変えでもあるのか・・」


一人の男がつぶやく


???「そうじゃないか?」


もう一人の男は興味なさげに返事を返す

そこに一人の男が歩み寄る。


???「なぁ、班長、本筋と脇、押しと堀、どうする?」

???「脇でいいんじゃないか? 割合は?」

???「本筋が4対6で、脇は9対1だ」

???「本筋の押しが多いな・・・大道でも見つけたか?」

???「余計に脇がいいな、うちの班は猿ばっかりだ、犬とかトカゲの多いところに

本筋は任せようぜ」

???「そうするか・・・」


無言の者もいる中、先の歩み寄ってきた男が踵を返し、建屋に向かっていく。

その背が人ごみに紛れるころには再び歩き始める。


ここは、創生大鉱山の一角、・・・・・炭山の6番

なんでも、この星が生まれたころにはすでにあったといわれる山脈で、ありとあらゆ

る鉱山資源が眠っている。

大鉱山の名は伊達ではなく、10国3世にまたがる広さを持ち、いくつかの山頂は空の

上を抜いているともいわれるほど。


そんな山の麓で、資源としての価値は薄く、需要こそあれ何方かといえば、刑罰用と

もとれる炭鉱に、今日も100を超える人々が従事していた。

ほぼすべてが奴隷、大体が借金奴隷か生活困窮者、ごく一部に軽微刑罰の罪人と恩赦

名目の大罪人で占めている。


ガヤガヤ・・

そこかしこで、今日の仕事について相談が交わされ


カチャカチャ・・・

そこかしこで、食器の上の蒸かし芋を口に運び、塩辛い豆を水で流し込む


そんな中に声が通る。


「食い終わったら現場へ向かえ! 仕事始めまで1時半~!」


広場を抜けた先、3件ほどの小屋と壁すらない雨よけと柱が立つだけの食事場に、

男たちはたどり着く、いつも通りの列に並び、芋と豆、少しばかりの葉物と干し肉を

受け取り、

やっとと、座れる席につく


芋を食う、豆を食う、水を飲んで、又芋を・・・

朝食も半ばで先の男も合流する。


???「脇でとれたぞ」

???「おう、ありがと、割はどうする?」

???「わるいが、この間のケガがまだ痛む、運びをやりたいんだが」

???「あぁ、やってくれるならありがたい、ほかのみんなは堀で良いか?」

???「たすかる」


また、一部の返事と無言の同意で話が進み、朝食が続けられる。


芋を食う、豆を食う、水を飲んで、葉物を食んで・・・


味は食えなくはない程度、量は十分、お代わりもできるが芋だけだ。

全てを腹に落とし、空になった器をもって席を立つ。


「食い終わったら現場へ向かえ! 仕事始めまで1時~!」


食事場を離れ、広場に向かう、改めて班員がすべてそろうのを待つ。


班長、アルタ、女に入れ込んで借金まみれになり奴隷に、そもそも名の経つ狩人で徴

兵参加経験もあるが、

のめり込むと自重できないたちが災いして、借金奴隷に身を窶した、すでに奴隷から

抜ける事をあきらめており、

奴隷労働は、すでに15年を超える


副班長、ビーツ、理由は知らないがここにいる、頭がよく回り立ち回りが上手い、班

の仕事取りなんかを受け持つ

奴隷労働は、まだそれほどでなく2年程度


似たり寄ったりの奴隷が他に8人、そして、その中に私もいた。




アルタ「で、今日の現場はどこだ?」

ビーツ「あぁ、西の4番坑道から脇道の10周りだ」


そう言うと、ざっくりとした地図を地面に指で書く。


ビーツ「先月掃除が終わったところで、館にノームから話が来たらしい、西の6番先

に溜まりが出てるから掘ってほしいんだと、

    そこで、西の4番坑道から下回りで・・・・・」


大まかな話が全員に伝えられる


アルタ「なるほど、まぁ、俺たちには関係ないな、猿しかいない班だし、脇道の残し

を穿って掃除で良いんだろ?」

ビーツ「あぁ、基本的にはそうなる」

アルタ「基本的にって、何をもったい付けてる?」

ビーツ「掲示板情報で、西は混ざりがあるかもしれないから気を付けろとさ」

アルタ「はぁ、面倒な、、、、せいぜい気を付けるか、うちの班で混ざりを知らない

のは?」


2人ほどから無言で手が上がる、最近入れ替わった2人だ


アルタ「おい、お前はいいのか?」


私の方を見て、班長が告げる


私  「1度現物を見ました、処理は別の人ですが、、、」

アルタ「そうか」


一言返事を確認すると視線を変えたアルタは、近くにいた年寄りに声をかける


アルタ「じゃぁ爺さん、あの2人に教えてやってくれ」

爺さん「ん、あぁ、わかった」


白髪を短く切りそろえ、程々に蓄えたひげ、顔に刻まれた深い皺がこの男を

相応の年齢であることをあらわしているが、似つかわしくないほどの張りのある体躯

は、

二の腕や太ももはもとより、全身に筋力を感じさせる言わば筋骨隆々の男だ。

名はドルフと言うらしいが、本人の性格が温厚を粘土で固めたような柔和で親しみや

すく、

ただ、けん引力があるかと言えばそうでもない、ある意味では奴隷として仕上がって

いる男だった。


アルタ「さて、向かうか・・・行くぞ」


班長の声一つで、地べたに座る者も立ち上がり歩き出す。

向かう先は道具小屋、6件の南北に延びる建屋には、それぞれ、用途に向けた道具が

整って居り、

南の入り口から入り、道具を取りながら北に抜ければ一式揃う作りになっている。


東側から【堀具小屋】が2件、【運び小屋】が1件【掃除具小屋】が1件

【調査小屋】が1件【武器防具小屋】が1件と並んでいる。


私は【堀具小屋】に向かった


入口すぐで、煤除けの鉢が値を取る

シュルッ

サイズはないのでその場でつけず首に巻いておく


奥に進み膝宛と、肘徹甲を選ぶ

ポフッポフッ

長い間世話になるのでなるべく肉の厚い柔らかい物を選ぶ


次いで工具ベルトを選ぶ

ギチッ

硬すぎず、道具の固定ベルトに劣化の無い物を選ぶ


そして最後、一番重要な堀具を選ぶ

当て針は、先端が指先程度に尖り、打ち根側の巻革がしっかりしている物を選ぶ

槌は、握りが痛んでおらず、首が曲がっていない物を選ぶ

ガチャガチャ・・・

カィンッ・・カィンッ・・カィンッ・・

試し打ちを数回行い固定ベルトに止めると堀役は整う


堀具小屋をでると、押し役をかって出た男はすでに待っていた。

厚底のグランドワームの革を張ったサンダルと膝宛、大きめの板がついた肩当と何か

を握るというよりは、

けがを防ぐためだけを目的にした厚く大きな手袋を腰ひもに結びつけていた。

この男名前をチョップと言う、明るい性格で仕事のさなかには歌始めなども得意、こ

の男は罪人奴隷だ。

何の罪かと聞けば、獣人複数と不倫関係を持ち、何人かに子供を腹ませては雲隠れし

ていた筋金入りの変人だ。


アルタ「おい、チョップ、お前その腰袋はまさか・・・」

チョップ「えへへ、その通りですよ。洞窟の君にプレゼントです。」


空のどこを見てるか知らないが、彼は腰袋に朝ご飯の干し肉を入れてぶら下げてい

た。

それ自体は咎めるものでもなく、中には仕事の最中小腹を満たすために持ち込む者も

いる。

ただこの男は、同じ奴隷の、しかも犬人の女に贈り物のつもりで用意している。

曰く、灰色の毛並み美しく、すれ違うたびに触れる尻尾は女神の手招きとか・・・・


チョップ「なぁ、副長、選んでくれただろ?なぁ、なぁ!」

ビーツ「しらん、あっちも仕事都合で場所を選ぶはずだ、都合聞いて合わせてはい

ねぇよ」

チョップ「くぅ~!なら出会えれば運命だな!」


あえて言おう、犬人の女はどう見ても犬だ、口は尖ってるし目も鋭く、体躯は猿人な

ど歯牙にもかけない整いようだ

個人の趣味ゆえに深くは言わないが、それぞれということだ


・・・もしや、指が云々は嘘で、出会い目当てで運びを選んだか?


薄暗い坑道での仕事、楽しみの一つも持ってる方がいいとはいえ、危ない事だけはし

てほしくないと思う。



爺さん「集まったぞ」

アルタ「そうか、行くぞ」

ザッザッザッ・・・


道具小屋

 伸びる道先

   眺めれば

 創生大鉱山の

  高さに息飲み

 裾野の穴倉

  奴隷を飲み込む


お調子者の技と調子を外した坑夫歌を聴きながら、穴倉へ向けて歩みを進める

100人いた奴隷は各担当の行動につながる道に分かれ次第に数を減らす。

目の前に坑道の穴が見えれば、お調子者も調子を整え気持ちを切り替える。



これは、坑夫になった私の数年にわたる記録の物語




週1投稿予定です

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ