表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

70/70

最終章

第70章


 リキュルは、カオ国に転生される前に、色々な研修を受けて来たらしく、マリヒューイが、出産祝いにくれたウォシュレットやシャワーを見ても、驚かなかった。


 「しかし、流石に今回は、驚いていた・・・、そうだよね」


 その日の夜、サルベーセンが執務している部屋に現われたのは、マリヒューイとマリヒューイ兄上、そして、幽霊のリリアール・・・。


 「リリアール、リキュルに戻って、最近、リキュルに慣れてしまって、その姿に違和感がある」


 「そう?わたくしは、全然ないのですけど・・・」


 リリアールは、人間のリキュルに戻り、マリヒューイの兄上は、見るからに不機嫌そうな様子で、サルベーセンは、マリヒューイに小声で、


 「あの・・・あなたのお兄様、どうしたのですか?」と聞いた。


 「どうやら、すべての灰が、回収できなかったそうです」


 「!!!! やっぱり、突然、イレブン・ヴィン領の近くに誕生した島は・・・」


 「はい、カオ国の灰や各国から出た災害ゴミで出来ています」


 「リカの国には、川も海もなく、橋が架けられません。だから、兄上は、気に入ったイレブン・ヴィン領の港の近くに橋を架け、そこをご自分のプライベート島にする事にしたようです」


 「??????」


 「ごめん、もう少し、わかりやすく説明してくれる?」


 「兄は、元の国の二番目の皇子ですが、もっと前の国では、唯一の皇子でした。しかし、その国は、閉鎖され、今は、幻の国に変わり果てていて、現在、ご自分が、継承する国はありません」


 「ーーーーーー」


「兄とわたくしは、魔王とこの国の子孫の間に生まれた本当の兄弟で、上の兄は違います。上の兄は、今の国の正当な後継者で、魔力はほんの少しです」


 「だから、父上は、この2兄をわたくしを助ける為に、派遣して下さったと思っていました。それに、本当に、今回のカオ国の災害は、わたくしの力だけでは、止められませんでした。だから、2兄には、本当に感謝しています」


 「元々、2兄の力は、父上によって、封じられているのですが、このようなウルトラ級の災害の為に、今回だけ、少し、父上も魔力を開放したと思われます。しかし、兄が灰を回収し始めたと同時に、もう一人、灰を回収し始めた人間がいたそうです。それも、強力な魔力で・・・」


 「◎✖▼#$&!!ええええええ!!!! どこに?どこに、その様にスゴイ力が、この公国に?」


 「この公国ではありません。その人物は、この世界のどこかの国の人間らしく、本当に、今は、正体がわかりません」


 「だから、本来なら、もっと、早くに、灰などを回収できたのですが、兄上は、そのもう一人と、ずっと、取り合いをしていて・・・、この国まで覆うような、大きな災害になってしまいました」


 「しかし、今回、こちらのお兄様が、もしも不在だったらと思うと・・・、」


 「はい、多くの命が奪われたでしょう。しかし、父上は、怒り、兄上はふてくされ、その相手の正体もわからない状況で・・・。だから、サルベーセン王妃へのご報告が遅れまして申し訳ありません」


 「そ、そんな、お二人には、すべての国王、国民が、いくら感謝しても足りないくらいです。本当にありがとうございました。マリヒューイもリカの国の国民たちが、心配して待っているのに、今も、来てもらってすいませんでした」


 「いいえ、公王様には、今回、こちらに寄り、リカの国に戻る事を伝えてカオ国を出発しましたので、丁度、いい時期でした。それに、カオ国も落ち着き始め、各国も撤退が始まり、ルイ公王も、きっと、もうすぐご出発します」


 「本当?」


 「はい、本当です。王妃にそう伝えて欲しいと、ご伝言を頂きました」


 サルベーセンは、嬉しくて仕方がないが、今は、その様な雰囲気でないので、ぐっと堪えた。


 ーーーその場の3人は、ふてくされている気難しそうなこの2兄を見て、小声で話す。


 「問題は、もう一人、魔力がある人物がいる事・・・・?なの?」


 何も語らない兄に代わって、マリヒューイが、説明する。


 「わたくしは、まだ、魔力が足りず、ずっと、カオ国や公国のすべての国を、救える事が出来るのかが、幼い頃より不安で仕方がありませんでした。だから、サルベーセンさん達に、初めて出会った時に、一筋の光が見えたようでした」


 「しかし、サルベーセンさん達とカオ国に行っても、どのようなアドバイスをもらっても、その不安は、消える事はなかったのです」


 「わたくしのこの不安は、父上とこの2兄には、どんなに遠く離れていても、伝わっていたと思われます」


 「その度に、彼らに、心配をかけていた事も、今回、初めて知りました」


 「それで、今後は、どうなさるの?その島にお住まいになるのですか?」


 不機嫌で無口な2兄の魔王は話し出す。


 「あの日、この国に来てから、もう、元の国に帰る事は考えていない」


 「??????」


 マリヒューイが、


 「2兄は・・・、このような性格ですが、前世でも、わたくしの事が大好きでして・・・、」


 リキュルが、


 「シスコン?なの・・・・?」


 再び沈んだ空気をどうにかする為に、サルベーセンが提案する。


 「あの島や橋は、当然、お兄様の物ですが、これからあそこで生活するとなると、それなりに生活費が必要になります。その生活費は、今回のこのご活躍の給金として、公国としてお支払いするように、国王陛下に進言いたします。それでよろしいでしょうか?」


 2兄は、言葉も発しないで、頷き、そのまま自分の島にマリヒューイと共に移動して行った。


 二人が消えて、リキュルとサルベーセンは、顔を見合わせて


 「まだまだ、不思議な事があるんだね・・?」


 「わたくし自身に起きた事、リリアールの中で起こった事、元のサルベーセンさんの事など、不思議な事でいっぱいですが、この世界は、確かに存在して、わたくし達は今も生きています」


 「ーーーわたくしとあなたが出会って、あなたが王太子殿下を攻略しろ! って、おかしな話をしたことから始まっていますが、どうやらその無謀は命令は、正しかったのでしょう。ありがとうございます。わたくしが出会った優しい幽霊、わたくしとルイ陛下を会わせて下さって、公国全土を救った事、全国民を代表してお礼を述べます」


 「サルベーセン・・・・。わたくしも、今、どんなに幸せかわかる?信頼できる友達がいて、この国の為に少しでも役立って、わたくしが、あの時、処刑された意味が、今のこの公国にあるのなら・・・その意味を、今なら、受け入れられます」


 二人は抱き合いながら、再び喜び合った。


 「本当に良かった。この国も、公国も、すべての人々も、どうにか存在しています! 」




 それから数週間後に、ルイ国王陛下は、大勢の軍隊と共に凱旋した。


 街は、紙吹雪で溢れかえり、歓喜する大勢の国民に迎えられ、王宮ではサルベーセン王妃が、バルコニーから、まだか、まだかと、その勇姿を発見する為に、待っている。


 「母上、ずるいです。今度は、僕の番です」


 「しかし、ホハバ皇子、まだ、父上の馬列は見えませんよ・・」


 「貸して下さい。僕が探します」


 二人は、魔王の2兄からもらった望遠鏡で、凱旋するルイ国王を、探しながらすでに1時間以上もこの場で待っていた。


 「王妃、・・皇子、一度、お部屋に戻って下さい。このままでは、お風邪を引きます」


 二人は、エフピイのその言葉で、振り向き、納得して部屋に戻り、「リキュルは?」と聞くと、「はい、今回、お父上も、ご一緒にお迎えに来ると聞き、お生まれになった弟君の為に、プレゼントの用意をなさっています」


 「そうね。リキュルは、もうすぐ、帰国するのね・・・」


 「母上、見えました。物凄く遠くですが、父上のお姿が見えます。笑って、民衆に手を振っています。素晴らしいご勇姿です」


 サルベーセン王妃は、急いでまた、バルコニーに出て、本当に、遠くに小さな姿の愛する夫を、発見する事が出来た。


 「ルイ公王陛下、あなたは、この公国を残す事をやり遂げました。おめでとうございます」



         ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 月夜の下、お気に入りのバルコニーで、サルベーセン王妃は、マリヒューイとリキュルと3人で、楽しそうに、ケーキを頬張り、お茶を飲み、おしゃべりをしている。


 「王妃、まだ、そのワイン飲んでいるのですか?」


 「まったく・・・、ハハハハ・・・」


 「そうそう、あれから・・・・、弟が・・」



 サルベーセン王妃は、二人が、王宮に現われる事を、誰にも知られない為に、3人でのお茶会は、月夜の下で行っているが、ルイ陛下は、片目を開けて、そっとベットから離れるサルベーセン王妃を、いつも笑顔で送り出していた。


 「ああ、今宵も、大好きなお茶(?)会ですね」


 そして、月夜に映し出された美しい後ろ姿に向かって、


 「風邪を引かないで下さいね。あなた方は、大切な方々です」と、呟く。




 この小説を、読んでくださったすべての方に、感謝します。この後、誤字等の修正を行う事がありますが、内容の変更はない予定です。



  本当にありがとうございました。感謝で、いっぱいです。


  ーーーーーto be continuedーーーーー  


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ