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そして、祝! 結婚

第62章

 その日の夜、泣きながら眠るサルベーセンの元に、マリヒューイが、やって来て、何やらリリアールと相談している。


 「サルベーセンさん、明日、大丈夫でしょうか?」


 「ここのところ、忙しくて、お酒も飲んでいなかったけど、今日は流石に飲んで、眠った。でも、どうにかなるから大丈夫、こっちは、エフピイの部隊がいるから、マリヒューイは、王宮で待機して待っていて!」


 「はい、わかりました。とにかく、明日の朝が、勝負ですよ」


 「うん、わかっている。マリヒューイ、今まで、本当に、ありがとう。これからも、サルベーセンの事、よろしくね。彼女、意外に寂しがり屋だからね」


 「はい、知っています。絶対に、寂しい思いはさせません」

 「うん、ありがとう」


 マリヒューイとリリアールは、見つめ合って、そして、二人の願いは、サルベーセンの幸せだと、確認した。



 次の日、朝から、王都の街は花火が上がり、国王陛下の誕生日をお祝いしている。


 エフピイが、特性の黄色い粉の薬と、朝食、新聞を持って、サルベーセンの新しい部屋にやって来て、カーテンを開け、

 「おはようございます。今日は、晴天で、素晴らしい日ですよ」


 サルベーセンは、眩しいと思いながら、飲みすぎ用の薬を飲み、いつもの柑橘系のお茶を飲み、新聞に目を通す。そして、新聞には・・・!!!



 『カオ国、サリーサリー王女は、第1皇子であると正体を明かし、カオ国の新しい国王に就任する事が決定した。』と大きな見出しが躍っていた。


 『え??どういう事?』(お茶がこぼれて、アチッチチ!! )


 その記事をじっくり読んでいくと、カオ国の皇子は、庶子も含めると総勢10人以上いて、第1、第2皇子だけが、ご正室の息子にあたり、その二人の争いを避ける為に、カオ国の国王陛下は、第1皇子を、王女として育てていたが、今回の内戦により、最も優秀な第1皇子が、正式に王位を継承する事が、発表され、カオ国の国王に即位が決まった。


 『決まったって?どういう事?リリアール?』


 周りを見回すと、リリアールはどこにもいなくて、

 (こんな大事な時に、マリヒューイの所に行っているのかしら?サリーサリー王女、あんなに美しい男性・・・なの?イヤイヤ、本当に男性?え~~~~~!!!! )


 『おとこ! 』

 『男!』

 『男なの?男性???』


 ひとしきり驚いて、その後、また、見出しから、読み返し、どんどん、読み進めていると・・・・?


 『う! 』


 そこに記載された記事には、サリーサリー王女は、男性で、カオ国の国王に即位された為、今回、我が国の国王陛下は、婚約者を失い、一刻も早く、次の王太子殿下を望んでいた国民の落胆は大きい。その為、本日、国王陛下の誕生日パーティーには、大勢の女性をご招待して、大掛かりな婚活パーティーとなる事が予想される。


 「リリアール・・?リリアール・・、いない・・の?本当にどこ行っているの?」


 探しても、呼んでも、リリアールを見つける事が出来ないので、片づけをしているエフピイに聞く

 「エフピイ、ルイ国王陛下は、王宮にお戻りなの?」


 「はい、昨晩、戻られ、今日の正午より、誕生日パーティーが催されるようです。サルベーセン様もご出席なさいますか?」


 (リリアール! いないの?どうして、こんな一大事に相談できないの?)


 「ーーーとにかく、お風呂に入って、それから考えます」


 ケガの後、入浴の時も、エフピイの部隊は、手伝うと言ってくれるが、今は、一人になって、リリアールを呼び出す事に、専念したかったので、

 「大丈夫です。一人で、ゆっくり考えてながら入浴します。だから、手伝いは要りません。・・しばらく一人にしてくれる?」


 「はい、では、外でお待ちしています」


 この世界の女性は、美容院に行かないのか、多くの女性は、物凄く長い髪の毛で、シャンプーするのが大変だ。それでも、体を洗い、シャンプーをして、カオ国製品のリンスもして、カオ国製品のオイルも体に塗って、その間、何度も、リリアールを呼ぶが、リリアールは、決して現れない。


 『リリアール!!!! 意地悪しないで出て来て!! 私、どうしたらいいの?リリアール!! 』


 1時間以上、お風呂で考えて、バスタオルを巻いて出ると、エフピイの部隊は、準備万端で、サルベーセンの答えを待っていた。


 『王宮へ向かいましょう! 』


 それからは、どのように下着をつけて、どのようなドレスを着たのかも覚えていないが、化粧も髪も、されるがままで、靴までも出されているのを穿いて、馬車に乗り、王宮へ向かった。


 王宮に到着すると、びっくりする程の花の飾りが、ほどこされ、至る所に、大きな布のリボンなども飾られ、馬車が到着した、車止めからは、赤いカーペットが長い階段からずっと続いていて、豪華の一言に尽きた。


 「ーーー夜会とは全く違う。これは、王宮職員、婚約者探しに、本気を出しているな?」と、サルベーセンは、憤慨しながら、馬車を降り、ドレスの裾を持ち上げ、制服姿のエフピイ部隊に囲まれながら、その長い階段を登り、制服姿のイケメンが、サルベーセンの為に、ドアを開けると・・・・。


 サルベーセンのドレスは、その瞬間、ウエディングドレスに変わり、そこには、真っ白な正装をしたルイ国王陛下が待っていた。


 一斉に、大きな音楽が流れ、サルベーセンは、驚きながらも、嬉しくて、涙が目に溜まっている。そして、花びらを撒くエフピイ部隊の祝福を受けながら、一歩一歩、サルベーセンを待つ、陛下に近づいて行く。


 『え????』

 『え~~~~!! 』


 ルイ国王陛下の向こうには、やっと姿を見せたリリアールが浮かんでいて、嬉しそうにサルベーセンを見ていた。


 『サルベーセン・ヴィン嬢、返事を頂けるかな?』


 『はい、喜んでお受けします。』

 (はにかみながらも、はっきりとした口調で返事が言えた。)


 その後、大司教の前で、二人は誓い、キスを交わし、大勢の顔見知りの人々の祝福を受け、今日の事を、知らなかったのは、サルベーセンだけだったと知った。


 結婚式が一通り終わると、ルイ陛下より、サリーツー国王を紹介される。その青年は、まさに化粧を落としたサリーサリー王女で、男性の装いでも美しかった。


 サルベーセンは、小声で、サリーツー国王に聞く。

 「サリーツー国王陛下、本当に、ルイ殿下と婚約解消しても、よろしいのでしょうか?わたくし、その辺は、理解を示しますが・・・?」


 サリーツー国王は、笑いながら、

 「ふふ、残念ながら、僕は、女性の方が好きで、しかし、いつもの周りのメイド達は、すべて恋人で、今は、そちらの争いに手を焼いています」


 サルベーセンは、笑顔でサリーツー国王と話をしているが、心の中では『クズだな! 』と思っていた。


 その後、あの美しいレットカーペットの上に二人で立ち、国民の祝福を受け、特性の真っ白な馬車に乗り、王都の街を回った。


 「陛下、サプライズが過ぎます。わたくしがどんなに心を痛めたか、ご存じですか?」


 「しかし、君は、プロポーズしてから、一度も手紙をよこさない。僕がどれ程、心配したか、知っていたか?」


 「て、て、手紙・・、国王陛下に、手紙を差し上げても、よろしかったのでしょうか?」


 「勿論だ。イカルノなんて、1週間に1度は、受け取っている」


 「さようですか・・、それは、本当に、知りませんでした」


 「サルベーセン王妃、ほら、君のモールも僕たちを祝福してくれている」


 サルベーセンが、自分の屋敷を見上げると、モールも昨日とは変わっていて、真っ白な布で覆われ、ご成婚記念と書かれ、記念の鐘までも設置されていた。


 「昨日は、花婿として、どうしても、会えなかったすまない、これで許してくれ」


 サルベーセンは、ルイ陛下に抱きつき、「昨日の自分に、今日のこの日を教えてあげたいです」


 その後、パレードから戻り、夜、誕生日とご成婚のパーティーが開かれ、そこには、ジンやケンティなども参加して、リカの国からは、マリヒューイ、長老などもお祝いに駆け付けてくれた。


 ご成婚祝賀の宴は、2日間も続き、サルベーセンは、忙しく大勢の人々たちと挨拶をして、やっと落ち着いた時に、リリアールがいない事に気が付いた。


 その時、マリヒューイは、現われ、

 「王妃、リリアールさんは、現れません。彼女は、黄泉の国に行かれました」と告げた。




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