表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

45/70

国を守る使命②

第45章

 遂に、7カ国会議が開催された。出席国は、カオ国、リカの国、センブルク国、アパレル国、サーシャ国と多民族の国のカガク国、そして、我が国。議長は、ルイ公国陛下だった。


 事前に会議の議題を外交担当によって決めてありますが、その議題でよろしいでしょうか?


 「各国共通の議題は、やはり、リカの国の閉鎖についてでした。今回、出席しているマリヒューイ嬢は、つい最近、自国に入り、国民の同意を得て、リカの国の国王に任命されました」


 「国民の総意で彼女に、リカの国を任せると決定されましたので、公国としても承認したいと思いますが、いかがでしょうか?」


 「しかし、彼女の両親を追放して、リカの国を治めていた人物は、どうしたのでしょうか?」


 「国民によって、撲殺されたようです。ご存じの通り、リカの国には、誰一人も入国する事が出来ませんでしたので、国民自身が判断を下す以外に、道はありませんでした」


 「国民が、正統な後継者であるマリヒューイ国王を、選出したのです」


 「それでは、マリヒューイ嬢が、あの封鎖を解いて、リカの国も我々と一緒に交易に参加するのでしょうか?」


 「それについては、本人から説明があります」


 「わたくしがリカの国の国王として承認され後も、リカの国の封鎖を解く事はしません。なぜなら、リカの国は、自力で国を運営することができると、この数年で証明されました」


 「では、公国を離脱するのですか?」


 「それも考えています。しかし、こちらのルイ公国陛下より、離脱する事を反対されていますので、どうしようかと、考えております」


 「ルイ陛下は、どうして反対されているのでしょうか?」とヒロヒロ宰相は質問する。


 「それについては、既に、サーシャ国より流行が始まってた病気の為です。交易を盛んにすると、どうしても流感は、広がります。数年前より、リカの国には、新しい流感の薬を作る仕事を担ってもらいたいと考えています」


 サーシャ国の国王が、

 「数年前から、サーシャ国で、流感が流行ると、どうしてわかっていたのですか?」


 「病気を作っている国があったからです。その国は、我が国の国民を騙し、その事実を隠す為に、マリヒューイの両親を殺し、病原菌をサーシャ国に持ち込んだのです」


 「サーシャ国より病気が広がれば、国王不在で、手に入れたリカの国は大きな収益を得ます。それが目的です」


 「しかし、サーシャ国の流感は、既に収まりました。どういう事でしょうか?」


 「それは、カオ国でも薬の製造を始めたからです」


 「カオ国・・・・、このような大変な時に・・・?」


 「はじめ、リカの国を封鎖したのは、薬がなければ、病原菌を撒かないと判断したからです。普通の人間は、自分だけ病気に罹らないと思いません。流感の勢いが収まらなければ自国民の命も失いかねません」


 「・・・・・・」


 「マリヒューイ国王が言いたいのは、ずっと、リカの国を、閉鎖して置けば、それだけ安全だと言う事です」


 「しかし・・。実際、薬は高価で、不足しています」


 「そのことは、私も承知しています。カオ国でも薬の生産を初めましたが、今後の事を考えると、リカの国に頼る事があると予想して公国に残るように説得しています」


 「リカの国の薬の生産量は、どのくらいですか?」


 「はい、今は、食料や綿花、森林の整備など自給自足をし、暮らしていますが、それなりに薬も生産しています。どこかで、薬不足になった時には、力を貸せると思います」


 「しかし、それでは、リカの国は、売るだけの国になってしまう・・・」


 「その事は、わたくしも危惧しました。そして、それでは、リカの国だけが、文化や教育が遅れると考えました。また、リカの国の人々にも色々な国を訪ねる権利はあります」


 「それなら・・、」


 マリヒューイは、大きな決断を初めて話す。


 「だから、この国のイレブン・ヴィンと言う領土との間に、橋を架けました。他国との交易は、主に船での移動が当たり前ですが、リカの国は、元々、この国とカガク国との間に建設した国で、港はありません」


 「わたくしは、イレブン・ヴィン領から他国の品物や文化を取り入れ、交易を行いたいと思っています。勿論、イレブン・ヴィン領の領主との合意が必要になりますが、いかがでしょう?」


 「薬の輸出もそこで行うのでしょうか?」


 「イレブン・ヴィン領には、テン・ヴィンと言う港の市場があります。そこで取引をしたいと考えています。イレブン・ヴィン領とリカの国と交易を、始めたいと考えています」


 「おおおおおぉ・・・。そうか、そうすれば、攻め入られる事もなく、交易が行われる」


 サーシャ国の国王が立ちあがり、

 「そんなことは、どうでもいい! 私が知りたいのは、誰が、我が国に病原菌を撒いたのかを知りたい。当然、犯人は、捕まっているのだろう?」


 そこで、センブルク国の国王が立ちあがり、サーシャ国の国王に頭を下げた。


 「それは、多分、我が国の第3皇子の・・コノハ皇子です。申し訳ない。すでに処刑して、罪を償わせました」


 「いいえ、コノハ皇子は、主犯ではありません。彼も、利用されただけでしょう」

 

 「そうでしょう?カガク国の国王陛下?」とルイ陛下は言う。


 「あなたの国は、何年も、作物の不作が続いていた。だからどうしてもリカの国が欲しかった。リカの国には、作物によく働く薬があります。それとマリヒューイが、目当てだったのですね」


 カガク国の国王は、立ち上がり抗議する。

 「公国陛下、そのような言いがかりは、おやめ下さい。何を証拠に・・・」


 「証拠は、マーチン公爵が、残していました。マリヒューイが生まれた時に、リカの国の国王は、あなたに書簡を送ったはずです。その書簡です」


 「『聖女誕生』とリカの国の国王のサインがありました」


 「それは、何を表しているか、カガク国でも言い伝えられていたのですね」


 「生まれたてのマリヒューイには、まだ、力がそんなにありませんでした。しかし、誕生と同時に言葉を話し、リカの国の国王は、親しくしていたカガク国の為にもなると思って、書簡を送ったのでしょう。しかし、それが、裏目に出てしまったのです。カガク国は、すぐに、リカの国に、人を送り、内情を探らせた」


 「その動向に気づいたリカの国の国王と王妃は、マリヒューイを我が国に送った。しかし、相手が、我が国と争う事もできず、マリヒューイを送り出したお二人を、追放するように扇動して、リカの国から追い出し、国を乗っ取る事を考えた」


 「予想外だったのは、あなた達の軍隊が、リカの国に侵入した後、リカの国は、封鎖されたのです」


 「知っていますか?カガク国王、リカの国の封鎖は、我が国が行った事ではありません」


 「そんな・・、では、誰が?」


 「まだ、幼かったマリヒューイが、一人で行った事です」


 ルイ公国陛下が、そう話した後、一斉にザワザワし始めた。


 「あなたは気が狂ったのですか?そのような事、できるはずはない!! 確か、昔から、リカの国の城壁は高く、入り口は、限られていて、港もない。それは、ずっと、ずっと、昔からだ!!」


 「では、なぜ、あなた方の国の人々は、入国した後、誰も、戻らないのでしょうか?」


 「ここにいる国の人々は、多分、リカの国に入る事を試したはずです。・・・・城壁は、完璧でしたか?」


 「カガク国の部隊、センブルク国のコノハ皇子の部隊、勿論、他国も、一度は、攻め入ろうと考えたはずです。しかし、入国も出来なけらば、出国も出来ません。その証拠に、カガク国のスパイたちは、誰一人戻っていません。彼らは、リカの国の国民に撲殺されたのですが・・」


 「すでに、数年前から皆さんは、気づいていたのでしょう。リカの国を開ける鍵は、マリヒューイだと・・、だから、彼女は、何度も狙われました。違いますか?みなさん?」


 「この事は、リカの国の国民でさえ、今は、気づいています。皆さんが気づかないハズはありません」


 「・・・・・・」


 カガク国の国王が訊ねる。「彼女は・・、やはり、予言者なのか?」


 その答えを、この会議の出席者たちが、一番知りたい事だった。


 「マリヒューイ・リカをリカの国の国王に承認しますか?返答はその後で行います」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ