お詫びSS「ユークリフの朝」
リアルが多忙につき、明日まで引き伸ばしても書き終えられないと判断したので、今週の更新は以前息抜きに書いたSSを代わりとさせていただきます。
申し訳ありません。
「あー。ねむ」
私、ユークリフ=カノンの一日は学院に備え付けられた職員宿舎の私室から幕を開ける。
朝食用にと用意しておいた林檎を平らげると如雨露に霊力を馴染ませた水を注ぎ、ベランダへ出た。
陽は今日も照っていて、植物達にはさぞ過ごしやすそうな日和である。
鉢に植わった花達に霊力入りの水と普通の水の割合を変えながら与えると霊力の割合の大きい方から発色が良くなり、グラデーションの様な並びになった。
「・・・やはり霊力とは生命の源の様な物なのか」
まだ植物での実験しか行っていないためはっきりとはしないが、その可能性は高いと見られる。
『おいおい、それじゃ私があんたの寿命を吸い取ってるみたいじゃねぇか』
「おはよう。テリフタ」
『おう』
限りなく細く延ばした金属を束ねた様な彼女の髪が揺れる。
「・・・いかに霊力が生命の源だとしても外部から摂取出来るのだから寿命に直結はしないと思う」
『そうかい。そりゃ良かった』
テリフタが金属製の窓枠を指でなぞるとその手に金属で造られた花が握られていた。
『毎日毎日、性懲りもなくキチッと着こなして学校に来るのはだるくはないのかねぇ?』
「流石その粗暴さで男神として描かれる事もあるくらいだ、服装に頓着が無いのも理解出来る」
『・・・あんた、人の事言えねぇじゃねぇかよ』
「それはそれ。これはこれだ」
『・・・ちっ』
テリフタは舌打ちしてそのまま消えてしまった。
その銀髪も、勝ち気な吊目の緋金の瞳も誰しもが振り返る美しさだと言うのにその性格で男神として描かれてしまう程の彼女だ。その怒りの壺だなんて分かる筈が無い。
「まぁ、それとなく分かってしまうのが契約者なんだけどね・・・」
我が冶金の女神は存外乙女な一面も持っているらしかった。
来週・・・来週こそは一章終わらせるぞ。